場所:田辺湾 カナヤ
条件:中潮 5:38満潮 11:24干潮 17:13満潮
釣果:チヌ 50.5センチ以下11匹 ヘダイ1匹 真鯛1匹
(チヌ6匹、ヘダイは放流と隣の釣り人に差し上げたので画像なし)
今日は年に1回の乗っ込みチヌ狙いだ。一昨年は4月21日、去年は4月6日。ここ3年を見てみると釣行日が少しずつ早くなってきている。一昨年は嫌なことがありすぎたようなことを書いているが、確かに大きいやつを狙いたければもう少し後のほうがいいのかもしれない。特に今年は春の訪れが遅い気がするので4月の半ば以降がベストなところだろうが、今の仕事場で休日の予定を組むと、週の中で必ず土、日を入れないといけなくなる。
そうなってくると山菜採りとの兼ね合いができない。SNSにもお腹がパンパンのチヌがアップされているし、これはすぐにでも行くしかないと今日の日を選んだ。
しかし、やっぱり、昔みたいに「明日行こう。」と発作的な行動はできなくなってきているのは事実だ、体力と財力は底を尽き、何日も前からモチベーションを上げていかないと行動に移せない。1回の釣行で加太への釣行4回分の費用がかかることもネックだ。今回も1週間ほど前から天気予報をにらみながら、31日は雨の予報になっていたのでそれをなにかと言い訳をつけ、強引に休日の予定を変更し今日に至った。
しかし、それでも相次ぐトラブルに見舞われる。第1は、高速に乗ろうとしたらETCカードの期限が切れてしまっていた。はじめて迂回路というところを通ったのだ。これはカードケースの中をまさぐったら期限内のカードが出てきたので再度ゲートを追加することで回避。
これで5分ほどタイムロスをしてしまった。次のトラブルは家とバイクと船の鍵を一緒にしたキーホルダーを失くしてしまった。家の扉の鍵を閉めたのは覚えているのだが、その後、どこにしまったかという記憶がなく、ポーチの中を探しても見つからないのだ・・。
そんなことなどでもたもたしながら田辺を目指した。
去年の記録を見てみると、午前2時半過ぎに家を出て相当早くに到着してしまったので今日は若干遅めの午前2時50分に出発した。一番船は午前5時半出港だ。
高速を走りながら思い出したのだが、印南インターまで4車線に拡張されていたのだ。これはものすごく快適である。ストレスなく南部インターまでたどり着いた。
しかし、ここで次のトラブル。高速も変わってきたが、地道も変わっていた。エサ屋からは海岸沿いの国道を走るのだが、いきなり道が変な方向に変わっていた。それも3方向に道ができているのでどの道を通ればいいのかがわからない。一方向は間違いなく山の方に行っているのだが、残りのふたつは微妙だ。もうひとつは急角度で海の方に曲がっているのでこれも違うんじゃないかと思い真ん中の道を選んだらえらく細い道に入り込んでしまった。南部の集落の中に迷い込んでしまったようだ。軽自動車でもぎりぎりな道をカーナビを頼りに進んでやっと国道に合流。あとで船頭に聞いたら、ごく最近開通した道路らしく、急角度で曲がっている道が正解だったようだ。
そんなことをしていて、結局4車線化の恩恵もなく、去年とほぼ同じ時刻に港に到着。
今年も客は多い。平日にも関わらず20人くらいは来ている。
紀州釣りの客も増え、今日も僕を含めて5人くらいは紀州釣りのようである。
ゆっくり釣りをしたいと思うがどこに行けばいいだろう。本命はよく釣れているというカグラなのだが・・。そんな気持ちを察してかどうか、珍しく船頭が「どこ行く?」と聞いてくれた。「カグラに行きたいんだけど・・」と答えると、「二人行くで・・。」という答え。
ここ数年、寝屋川市が拠点のクラブのメンバーたちが盛んにこの磯を訪れるようになり、まずはそいつらの行きたい磯が優先されるような暗黙の了解ができ上がってきているようなのだ。向こうも邪魔をされたくないのか、他の人がどこに行くのかということを気にしているようで、そういったことを船頭が調整しているという感じだ。
彼らは、とにかく数を釣るということに徹しているというような集団で、他人の都合のようなものはまったく関知しないという連中だ。まあ、それくらいの勢いがないと思い通りの釣果を得ることはできないのは確かだが・・。ちなみに彼らは釣ってきた魚を港まで持ち帰り、検寸したらそのあとは放流してしまっている。鉤を呑み込んでいる魚もいるだろうからそんな魚は遅かれ早かれ死んでしまうだろう。僕はそういうことはある意味、魚への冒涜ではないかと思っている。
そういうことで、今日も彼らを避けてカナヤに行くことにした。
捨てる神あれば拾う神あり、いつも渡礁を手助けしてくれる船頭の息子であるが、走行中の船の上で、「今日はどの場所でやりたいの?」と聞いてくれた。おそらく彼はこの島に乗る予定の紀州釣りの釣り人は僕しかいないのを知っていて聞いてくれたようだ。紀州釣りのポイントはどの島でも限られているのでそこを外すと釣果は激減する。「磯の左側に行きたいんですよ。」というと、「荷物はあとで下したらいいから先に場所だけ取っておいで。」とアドバイスをくれた。これはありがたい。船が接岸すると同時に竿ケースを持って磯に飛び降り、目指す場所に突進した。
年に1回しか来ない、全然儲けにならない客なのにありがたいことだ。これでひと安心。この時間をうまく切り抜けることができればホッとするのはいつものことである。
そんなトラブル続きであるが天気は良すぎるほど良い。気温もほどほどで風はまったくない。それはありがたいのだが、ついでに潮も流れない。今日は大潮前の中潮だがこんなにも潮が動かないとは驚きだ。ウキはほぼその位置から動かない。少し長い目のトップが付いているウキなのでまるでヘラブナを釣っているかのようだ。底は取りやすいけれどもこれだけ動かないとまったく釣れないのではないかと不安になる。
ただ、隣の真鯛狙いのおじいさんたちは朝一から真鯛を釣り上げている。決して条件は悪くはないようだ。そしてこっちにもエサ取りの反応はある。いつかチヌが集まってくるということを信じてダンゴを投げ続ける。その後約1時間。答えは出た。エサ取りがいなくなった頃にモソっとウキが沈み、上がってきたのはでっぷりと太った50センチ近いチヌだ。まさしく乗っ込みチヌである。あまりにもお腹周りが大きくなっているので体が動かないのか、引きからするとこんなに大きいとは思わなかった。
その後は快調そのもの、午前9時を回る頃には真鯛を加えて生け簀の中がパンパンになってきた。これ以上は入れることができないのでここからは鉤のかえしを潰して逃がせるものは逃がしてゆく態勢だ。
釣った魚を逃がそうとしていると、隣のおじいさんが、逃がすくらいならもらってあげるというのでチヌとヘダイを差し上げた。このおじいさんはいくつくらいの人だろう。おそらく70半ばは軽くこ超えている感じがするひょっとしたら80歳近いのではないだろうか。腰もやや曲がり気味だがそれでも磯の上に立てるというのはうらやましい。あと2,3年で磯釣りは引退だと思っている僕とは大違いだ。
お昼を過ぎて南西の風が強くなるころまでは途切れることなくアタリは続いた。風が出てくるとやっと田辺の磯らしく底がわからなくなってきた。何度か修正をしながら我慢の釣りをしていると、午後2時を回ってやや風が落ち着き、またアタリが出てきた。
1匹は目の前でバラしたけれども2匹を釣り上げ魚の下処理をするため早めの午後3時15分に終了。午後4時の迎えを待つことにした。
0.5センチプラスなだけであるが、今年は年なしを釣り上げることができた。
チヌの真子はまだ成熟しておらず、少しピンクがかった色をしている。真鯛はというと、これはびっくりするほどの脂を蓄えていた。一体何を食べるとこんなに脂が溜まるのだろうと思えてくる。加太の真鯛を見慣れている僕にとってはまったく別物の魚に見えるが、これを専門で狙っているおじさんたちは、「いい形をしている。」と言う。ここで釣れる真鯛は近くの養殖筏から逃げ出した脱走真鯛なのだ。この人たちに本当の真鯛を見せてあげたいものだ。
いつものとおり近くの酒屋で「太平洋」を購入して一路我が家へ。4車線化の恩恵もあり、1時間足らずで帰宅できた。
そして、これからが疲れる。午後6時を前にして、これから魚をさばき始める。内臓と鱗を取って下処理をしているので作業は速いとはいえ、切り身にした魚を奥さんに渡して道具を洗い、食卓についたのは午後8時。この釣りが年に1回でいいというのはこのせいでもある。
誰に聞いてもチヌは美味しくないというのだが、僕はまったくそうは思えない。特にアラ炊きはおそらく真鯛よりも美味しいのではないだろうか。この時期のチヌは脂をたっぷり蓄えており、煮汁のコクといったらほかに並ぶものがないのではないかと思う。(僕が釣ることができる魚の範疇での話だが・・)
それをご飯にぶっかけてすすり込むとなんともいえない幸福感を味わえるのである。だから年に1回は必ず田辺を訪れるのである。
大量に出来上がった切り身は塩焼き、煮つけ、それにフライにして食べるのだ。
山菜もワカメもしかりだが、このチヌも我が家には欠かせない春の味なのである。
条件:中潮 5:38満潮 11:24干潮 17:13満潮
釣果:チヌ 50.5センチ以下11匹 ヘダイ1匹 真鯛1匹
(チヌ6匹、ヘダイは放流と隣の釣り人に差し上げたので画像なし)
今日は年に1回の乗っ込みチヌ狙いだ。一昨年は4月21日、去年は4月6日。ここ3年を見てみると釣行日が少しずつ早くなってきている。一昨年は嫌なことがありすぎたようなことを書いているが、確かに大きいやつを狙いたければもう少し後のほうがいいのかもしれない。特に今年は春の訪れが遅い気がするので4月の半ば以降がベストなところだろうが、今の仕事場で休日の予定を組むと、週の中で必ず土、日を入れないといけなくなる。
そうなってくると山菜採りとの兼ね合いができない。SNSにもお腹がパンパンのチヌがアップされているし、これはすぐにでも行くしかないと今日の日を選んだ。
しかし、やっぱり、昔みたいに「明日行こう。」と発作的な行動はできなくなってきているのは事実だ、体力と財力は底を尽き、何日も前からモチベーションを上げていかないと行動に移せない。1回の釣行で加太への釣行4回分の費用がかかることもネックだ。今回も1週間ほど前から天気予報をにらみながら、31日は雨の予報になっていたのでそれをなにかと言い訳をつけ、強引に休日の予定を変更し今日に至った。
しかし、それでも相次ぐトラブルに見舞われる。第1は、高速に乗ろうとしたらETCカードの期限が切れてしまっていた。はじめて迂回路というところを通ったのだ。これはカードケースの中をまさぐったら期限内のカードが出てきたので再度ゲートを追加することで回避。
これで5分ほどタイムロスをしてしまった。次のトラブルは家とバイクと船の鍵を一緒にしたキーホルダーを失くしてしまった。家の扉の鍵を閉めたのは覚えているのだが、その後、どこにしまったかという記憶がなく、ポーチの中を探しても見つからないのだ・・。
そんなことなどでもたもたしながら田辺を目指した。
去年の記録を見てみると、午前2時半過ぎに家を出て相当早くに到着してしまったので今日は若干遅めの午前2時50分に出発した。一番船は午前5時半出港だ。
高速を走りながら思い出したのだが、印南インターまで4車線に拡張されていたのだ。これはものすごく快適である。ストレスなく南部インターまでたどり着いた。
しかし、ここで次のトラブル。高速も変わってきたが、地道も変わっていた。エサ屋からは海岸沿いの国道を走るのだが、いきなり道が変な方向に変わっていた。それも3方向に道ができているのでどの道を通ればいいのかがわからない。一方向は間違いなく山の方に行っているのだが、残りのふたつは微妙だ。もうひとつは急角度で海の方に曲がっているのでこれも違うんじゃないかと思い真ん中の道を選んだらえらく細い道に入り込んでしまった。南部の集落の中に迷い込んでしまったようだ。軽自動車でもぎりぎりな道をカーナビを頼りに進んでやっと国道に合流。あとで船頭に聞いたら、ごく最近開通した道路らしく、急角度で曲がっている道が正解だったようだ。
そんなことをしていて、結局4車線化の恩恵もなく、去年とほぼ同じ時刻に港に到着。
今年も客は多い。平日にも関わらず20人くらいは来ている。
紀州釣りの客も増え、今日も僕を含めて5人くらいは紀州釣りのようである。
ゆっくり釣りをしたいと思うがどこに行けばいいだろう。本命はよく釣れているというカグラなのだが・・。そんな気持ちを察してかどうか、珍しく船頭が「どこ行く?」と聞いてくれた。「カグラに行きたいんだけど・・」と答えると、「二人行くで・・。」という答え。
ここ数年、寝屋川市が拠点のクラブのメンバーたちが盛んにこの磯を訪れるようになり、まずはそいつらの行きたい磯が優先されるような暗黙の了解ができ上がってきているようなのだ。向こうも邪魔をされたくないのか、他の人がどこに行くのかということを気にしているようで、そういったことを船頭が調整しているという感じだ。
彼らは、とにかく数を釣るということに徹しているというような集団で、他人の都合のようなものはまったく関知しないという連中だ。まあ、それくらいの勢いがないと思い通りの釣果を得ることはできないのは確かだが・・。ちなみに彼らは釣ってきた魚を港まで持ち帰り、検寸したらそのあとは放流してしまっている。鉤を呑み込んでいる魚もいるだろうからそんな魚は遅かれ早かれ死んでしまうだろう。僕はそういうことはある意味、魚への冒涜ではないかと思っている。
そういうことで、今日も彼らを避けてカナヤに行くことにした。
捨てる神あれば拾う神あり、いつも渡礁を手助けしてくれる船頭の息子であるが、走行中の船の上で、「今日はどの場所でやりたいの?」と聞いてくれた。おそらく彼はこの島に乗る予定の紀州釣りの釣り人は僕しかいないのを知っていて聞いてくれたようだ。紀州釣りのポイントはどの島でも限られているのでそこを外すと釣果は激減する。「磯の左側に行きたいんですよ。」というと、「荷物はあとで下したらいいから先に場所だけ取っておいで。」とアドバイスをくれた。これはありがたい。船が接岸すると同時に竿ケースを持って磯に飛び降り、目指す場所に突進した。
年に1回しか来ない、全然儲けにならない客なのにありがたいことだ。これでひと安心。この時間をうまく切り抜けることができればホッとするのはいつものことである。
そんなトラブル続きであるが天気は良すぎるほど良い。気温もほどほどで風はまったくない。それはありがたいのだが、ついでに潮も流れない。今日は大潮前の中潮だがこんなにも潮が動かないとは驚きだ。ウキはほぼその位置から動かない。少し長い目のトップが付いているウキなのでまるでヘラブナを釣っているかのようだ。底は取りやすいけれどもこれだけ動かないとまったく釣れないのではないかと不安になる。
ただ、隣の真鯛狙いのおじいさんたちは朝一から真鯛を釣り上げている。決して条件は悪くはないようだ。そしてこっちにもエサ取りの反応はある。いつかチヌが集まってくるということを信じてダンゴを投げ続ける。その後約1時間。答えは出た。エサ取りがいなくなった頃にモソっとウキが沈み、上がってきたのはでっぷりと太った50センチ近いチヌだ。まさしく乗っ込みチヌである。あまりにもお腹周りが大きくなっているので体が動かないのか、引きからするとこんなに大きいとは思わなかった。
その後は快調そのもの、午前9時を回る頃には真鯛を加えて生け簀の中がパンパンになってきた。これ以上は入れることができないのでここからは鉤のかえしを潰して逃がせるものは逃がしてゆく態勢だ。
釣った魚を逃がそうとしていると、隣のおじいさんが、逃がすくらいならもらってあげるというのでチヌとヘダイを差し上げた。このおじいさんはいくつくらいの人だろう。おそらく70半ばは軽くこ超えている感じがするひょっとしたら80歳近いのではないだろうか。腰もやや曲がり気味だがそれでも磯の上に立てるというのはうらやましい。あと2,3年で磯釣りは引退だと思っている僕とは大違いだ。
お昼を過ぎて南西の風が強くなるころまでは途切れることなくアタリは続いた。風が出てくるとやっと田辺の磯らしく底がわからなくなってきた。何度か修正をしながら我慢の釣りをしていると、午後2時を回ってやや風が落ち着き、またアタリが出てきた。
1匹は目の前でバラしたけれども2匹を釣り上げ魚の下処理をするため早めの午後3時15分に終了。午後4時の迎えを待つことにした。
0.5センチプラスなだけであるが、今年は年なしを釣り上げることができた。
チヌの真子はまだ成熟しておらず、少しピンクがかった色をしている。真鯛はというと、これはびっくりするほどの脂を蓄えていた。一体何を食べるとこんなに脂が溜まるのだろうと思えてくる。加太の真鯛を見慣れている僕にとってはまったく別物の魚に見えるが、これを専門で狙っているおじさんたちは、「いい形をしている。」と言う。ここで釣れる真鯛は近くの養殖筏から逃げ出した脱走真鯛なのだ。この人たちに本当の真鯛を見せてあげたいものだ。
いつものとおり近くの酒屋で「太平洋」を購入して一路我が家へ。4車線化の恩恵もあり、1時間足らずで帰宅できた。
そして、これからが疲れる。午後6時を前にして、これから魚をさばき始める。内臓と鱗を取って下処理をしているので作業は速いとはいえ、切り身にした魚を奥さんに渡して道具を洗い、食卓についたのは午後8時。この釣りが年に1回でいいというのはこのせいでもある。
誰に聞いてもチヌは美味しくないというのだが、僕はまったくそうは思えない。特にアラ炊きはおそらく真鯛よりも美味しいのではないだろうか。この時期のチヌは脂をたっぷり蓄えており、煮汁のコクといったらほかに並ぶものがないのではないかと思う。(僕が釣ることができる魚の範疇での話だが・・)
それをご飯にぶっかけてすすり込むとなんともいえない幸福感を味わえるのである。だから年に1回は必ず田辺を訪れるのである。
大量に出来上がった切り身は塩焼き、煮つけ、それにフライにして食べるのだ。
山菜もワカメもしかりだが、このチヌも我が家には欠かせない春の味なのである。