早川いくを 寺西晃・絵 「へんないきもの三千里」読了
確かに変な本だ。
著者は「へんないきもの」という著作で人気が出たのだが、それを小説にしてしまった。
「へんないきもの」はおもしろそうな本だったのだが、左開きで横書きの本だったので敬遠していた。敬遠しているうちにこんな本に進化していたらしい。
要約すると、ディズニーか宮崎駿がファインディングニモみたいなロードムービーを変な生き物で作るとこんな感じになるのだろうというものだ。
毒ガエルの粘液を舐めて肉体と意識が分離してしまった少女がへんないきもの達とからみながら冒険をするというような内容だ。
やたらとルビがふられているので中学生くらいをターゲットにしているのかもしれないが、中身はアングラぽくってシュールな表現でおじさんにも楽しめる。たとえば、住血吸虫はボードレールばりの詩を吟じ、免疫細胞は軍隊組織し、ウオジラミは英国紳士のような振る舞いをする。
帯には、「夢、希望、友情といった虫歯の原因となる甘味成分は含まれていませんので、お子様はもちろん成人の方々にも安心してお読みいただけます。」書いているが、そのとおりだ。
こんな本は単純に楽しめばいいのだと思うが、もし、著者が主張したいことがあったとしたのなら、そのひとつは、ただ一片の迷いも、砂粒ほどの疑問もなく互いに食い合い、文字通り命を張って毎日を生きている生き物たちの様子に、鳥肌を立てつつも、奇妙な清々しさを覚えた。ということだろうか。人間は本能を失ったことによって生きる苦しみを味わうことになったそうだ。そう意味では、本能にのみ従って生きている生き物のほうがよほど幸せではないのだろうかということなのかもしれない。
そんなことを考えさせられる一冊であった。
確かに変な本だ。
著者は「へんないきもの」という著作で人気が出たのだが、それを小説にしてしまった。
「へんないきもの」はおもしろそうな本だったのだが、左開きで横書きの本だったので敬遠していた。敬遠しているうちにこんな本に進化していたらしい。
要約すると、ディズニーか宮崎駿がファインディングニモみたいなロードムービーを変な生き物で作るとこんな感じになるのだろうというものだ。
毒ガエルの粘液を舐めて肉体と意識が分離してしまった少女がへんないきもの達とからみながら冒険をするというような内容だ。
やたらとルビがふられているので中学生くらいをターゲットにしているのかもしれないが、中身はアングラぽくってシュールな表現でおじさんにも楽しめる。たとえば、住血吸虫はボードレールばりの詩を吟じ、免疫細胞は軍隊組織し、ウオジラミは英国紳士のような振る舞いをする。
帯には、「夢、希望、友情といった虫歯の原因となる甘味成分は含まれていませんので、お子様はもちろん成人の方々にも安心してお読みいただけます。」書いているが、そのとおりだ。
こんな本は単純に楽しめばいいのだと思うが、もし、著者が主張したいことがあったとしたのなら、そのひとつは、ただ一片の迷いも、砂粒ほどの疑問もなく互いに食い合い、文字通り命を張って毎日を生きている生き物たちの様子に、鳥肌を立てつつも、奇妙な清々しさを覚えた。ということだろうか。人間は本能を失ったことによって生きる苦しみを味わうことになったそうだ。そう意味では、本能にのみ従って生きている生き物のほうがよほど幸せではないのだろうかということなのかもしれない。
そんなことを考えさせられる一冊であった。