イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

水軒沖釣行

2024年05月04日 | 2024釣り
場所:水軒沖
条件:若潮3:35満潮
釣果:ボウズ

ゴールデンウィーク後半2日目。暦通りで連休しているとうれしくてついついゴールデンウィークという言葉を使ってしまう。

本当は加太に行こうと思っていて、道具もすべて用意していたのだが、いつもの「わかやま〇シェ」のショップのLINEからゴマ油の特売情報が流れてきた。じつは先週もこの商品が出ていたのだがアマダイを釣った後に行ってみたら売り切れてしまっていた。またラー油を作りたいと思っていたので残念だと思っていたから、今度こそは買わねばと急遽行き先を変更してというか、開店の午前8時までの暇つぶしのような形の釣行となった。

2時間ほどの釣りになるので港の目の前しか無理である。とりあえずルアーを持って夜明け前に出港。



どこでやっても釣れる気はあまりしないのでずっと気になっていたワカメポイントの近くからスタート。



海面は穏やかだがすこしだけ波紋が見える。ベイトがいるのかもしれない。大きめのミノーを取り付けていたが小さなリップレスミノー好感して投げていると着水直前にライズがあったと思ったら魚がヒットした。が、すぐバレてしまった。

午前7時には撤収しなければならないので次は沖の一文字の前に移動。



そのまま小さなリップレスミノーを投げているとすぐにヒット。竿の曲がりからするとちょっとましな型だったがこれもすぐにバレてしまった。フックの先がなまっているのかと思ったけれどもそうでもなさそうだったので運が悪かったということだろうか・・。
あとから知った情報では、この周辺ではハマチが回ってきているということだった。あの魚も多分ハマチであったのだろう。
食べて美味しいかどうかはわからないが姿を見ることができなかったのは残念だ。

午前6時50分に碇を上げ、帰投。前回のように燃料切れの心配がないように次回のための燃料補給。開店時間よりも少し早めに「わかやま〇シェ」に到着したがすでにたくさんの買い物客がやってきていた。



しかし、今日は無事にゴマ油をゲット今日のミッションを完了してゴールデンウィーク後半2日目を終了した。



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法隆寺へ行く

2024年05月03日 | Weblog

この本を読んでからずっと法隆寺に行きたいと思っていた。特に救世観音像が一般公開されている期間のたびに今度こそ絶対に行くのだと思いながら10年の時が過ぎていた。
そしてもうひとつ理由があった。それは50年前の出来事が原因である。多分、和歌山市内の小学校だけの行事だと思うが小学5年生になると“奈良遠足”というのがあった。バスに乗っての長距離の初めての遠足なのだ。バス酔い対策だといって事前に催眠術師を呼んで希望した生徒に催眠術をかけるなどというオカルトチックなこともやっていた。

どんな順序で奈良を巡ったのかというのはまったく覚えていないけれども法隆寺を訪れた時、僕はクラスの集団から迷子になってしまうという失態を演じてしまった。法隆寺という寺院はかなり広い寺院で、それも拝観場所というのが一か所ではなくて、夢殿などは一度伽藍を出てかなり歩いてゆくようなところなので、ボ~っとしている間にクラスの集団がどこかに行ってしまったのだと思う。
迷子になったのは僕だけではなく、その時のクラスで、スポーツ万能、勉強もトップという“クボくん”というクラスのヒーローとなぜか一緒に迷子になってしまった。彼も去年か今年還暦を迎えたのだと思う。僕は人生でも迷子になってしまったが、やっぱり彼はヒーローらしく立派な大人になっているのだろうか・・。
とにかくクラスのみんなを探さねば置いてきぼりになってしまうとクボくんとふたり、焦りながら(多分・・)あちこち探し回ってやっとみんなを見つけることができた。
あの時代は先生もおおらかというか、クラスの人数も多かったからふたりくらいいなくなっても知らんぷりだったのだろう。しれっと元の集団に紛れ込んで事なきを得たが、おかげで法隆寺では何を見ることもできなかった。もちろん、説明を受けながら見学したとしてもアホな小学生には何もわからないし何も記憶に残るものはなかったのだとは思う。

だからもう一度きちんと法隆寺を見ておくべきだとそれ以来50年間(というのでもないが・・)思っていたが、梅原先生の本を読んでその思いがもっと強くなってきていた。

拝観は午前8時からできるらしく、ゴールデンウィークの混雑を避けるため始発電車で法隆寺に向かった。



法隆寺までは意外と近くて、ちょうど2時間で到着してしまった。通勤時間とほとんど変わらない。

西院伽藍の金堂には国宝の釈迦三尊像が安置されている。



飛鳥仏独特の表情を持った仏様だが意外と小さな仏像であった。



順路では大宝蔵院が先なのだが人の少ない間に救世観音像を拝もうと先に夢殿に向かった。



初めて拝む救世観音像は厨子の奥にひっそりと佇んでおられるが暗くてあまりよく見えない。その分、秘仏の神秘がムンムンしている。



何かの力が働いているのか、やってはいけないと思いながらも写真に収めたくてシャッターを切ったのだが、なぜだか切れないのだ・・。少しゾッとした・・。

梅原先生の説では、救世観音像は聖徳太子の怨念を抑えるために造られたのだという。その証拠に、光背を支える支柱は仏像の後頭部に刺さっている。おまけに明治の時代まで秘仏として白帛でグルグル巻きにして誰の目にも触れないようにされていたというのだから定説ではないとはいえこっちのほうが正しいのだと思ってしまうのであるが、シャッターが切れないという現象はそれを裏付けてしまっているじゃないかと恐れおののいてしまうのだ・・。

最後に訪れたのは大宝蔵院。



ここは平成10年に開館したそうなので50年前にはなかったはずだ。ここには百済観音像が収められている。



この百済観音像であるが、法隆寺の記録に出てくるのははるか後、1698年だったそうだ。定まった安置場所もなく、いったいどこからやってきたのかもよくわかっていないそうだ。救世観音像とは立ち姿がよく似ているので双子のような存在かと思っていたのだが、実物をみてみると顔の様子は全然違っていてこれは素人が見ても同時代の仏像ではないなと確信できる。やっぱり普通の小学5年生が見ても何の感想も出てこないだろう。(みうらじゅんは別だろうが・・)

法隆寺を後にして藤ノ木古墳を見てきた。



この古墳は法隆寺から300メートルほどの位置にあり、近くには斑鳩文化財センターという施設があって発掘された資料の詳細がわかる。ここまで来る人はわずかのようで、ほぼ無人であった。人混みが嫌いな僕にはうってつけの施設であった。

午前11時過ぎに斑鳩の街を後にして帰宅したのは午後1時半ごろ。これくらいの行程なららくちんだ。電車での移動なので帰りは缶酎ハイを飲みながら旅気分も満喫できる。JRを利用すると途中までは定期があるので交通費も少なくて済む。

周辺の地図を見てみると少し先の駅からは唐招提寺と薬師寺が比較的近い。秋にはここを訪れてみたいと思い始めている・・。



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『世界はシンプルなほど正しい~「オッカムの剃刀」はいかに今日の科学をつくったか』読了

2024年05月01日 | 2024読書
ジョンジョー・マクファデン/著 水谷 淳/訳 『世界はシンプルなほど正しい~「オッカムの剃刀」はいかに今日の科学をつくったか』読了


科学読み物を読んでいると、「オッカムの剃刀」という言葉がよく出てくる。
“オッカム”という記憶しやすい語呂と”剃刀“というあまり科学とは関係のない単語の組み合わせが僕のボロボロの海馬の中に残り続けている。
そして、著者のプロフィールを読んでみて、以前にもこの人の著作を読んでいたことを知った。やはり僕の海馬はボロボロである・・。

「オッカムの剃刀」というのは、科学的な論考をするとき、それは単純なほど正しいということを表した箴言だ。
その意味だけでしか知ることはなかったが、きっとこの言葉が生まれたエピソードというものがあるはずで、この本にはそのことが書いているのだと思って読み始めた。

本編は458ページあるが、すべてがオッカムの剃刀について書かれている訳ではない。オッカムの剃刀というコンセプトを使って近代科学を作り上げた歴代の科学者たちの科学史という構成になっている。

まず、オッカムという人だが、この人についてのあまり詳しい記録は残っていないそうだ。1288年頃、ロンドンから馬に乗って南西に1日ほど進んだところにあるオッカム村で生まれ、ウイリアムという名前であった。オッカムで生まれたウイリアムで、オッカム・ウイリアムと名乗ることになる。
オッカムに関して具体的にわかっている最初の記録は11歳頃にフランシスコ会に入れられたということで、このことがオッカム・ウイリアムの運命を決める。
このフランシスコ会であるが、「清貧と学問」がモットーであり、オッカ・ウイリアムもその素性が優秀であったためオックスフォード大学で神学を学ぶことになる。その中で、「神学は科学であるか」という疑問にぶち当たる。当時の世界観というのは、世界のすべては神様が創り出したものであり、宇宙を含めた世界の摂理は神の意志によって成り立っているというものであったが、果たして本当のそうなのかと思ったのである。
神が創り出したものはそのひとつひとつが独立して存在しているものなのである。
そういういう考え方は、「存在論」と呼ばれ、スコラ派という哲学者や神学者が提唱していたものだ。現在に存在するものは何かの意味を持って存在していて、その意味を司っているのが神なのであるというのである。
それに反したオッカム・ウイリアムらの考え方は「唯名論(ゆいめいろん)」と言われる。なかなかよくわからない概念で、ウイキペディアの説明をそのままコピーすると、『普遍は個物から人間の理性が抽象したもので,個物をさす名にすぎないという考え。』となる。
僕なりに存在論と唯名論の違いを解釈すると、仮面ライダーにははいろいろなショッカーの怪人が登場したが彼らはひとりしか存在しない(たまに復活してふたり目ということがあるが・・)のでコウモリ男という存在はただ1体存在するということになるが、戦闘員はいっぱいいるので特定の戦闘員がいるというものではなく、戦闘員という名前だけがあるのだという違いがあると考えた。
別の例えで考えると、プロトタイプのレーシングカー(これもスペアでいくつも製造されるといえば製造されるが・・)が存在論的で、僕が乗っているN-VANなどは唯名論的であるといえるのではないだろうか・・。

存在論で代表的な科学者や哲学者はアリストテレス、プラトンやプトレマイオスだ。この人たちは存在するものすべてに意味を持たせてしまうということと、地球が世界の中心であるという地動説を信じる人たちなので世界の構造を考えるときにはとにかく複雑になってしまう。
星たちはそれぞれの天球の上を動いていると考えるのだが、プトレマイオスが考えた天球は80個ほどが重なったものであったそうだ。こんな複雑な構造は神様しか作れないということになる。エーテル、フロギストン、インペトゥスなどなど、神がこの世界に与えたものが世界を動かしている。

そういう複雑さに対してそれは本当なのだろうかとオッカム・ウイリアムは疑問を持つことになるのである。
神の存在を疑ったということでオッカムたちは時のローマ教皇・ヨハネス22世と対立し迫害を受けることになる。その後、同じくローマ教皇と対立する神聖ローマ帝国のルードヴィヒ四世の庇護を受けミュンヘンでペストに罹患して生涯を終えたそうだ。

この本の中盤以降の大部分はオッカムの思想を受け継いだ近代科学者たちの業績の紹介という科学史の部分で紹介されている科学者たちというのは、ニコラウス・コペルニクス、ヨハネス・ケプラー、ガリレオ・ガリレイ、ロバート・ボイル、ロバート・フック、アイザック・ニュートン、アントワーヌ・ラヴォアジエ、チャールズ・ダーウィン、アルフレッド・ラッセル・ウォレス、グレゴール・ヨハン・メンデル、アルベルト・アインシュタイン、ヴェルナー・ハイゼンベルク、マックス・プランク、ジェームズ・クラーク・マクスウェルたちだ。
この人たちの業績で宇宙の構造の源はクォークと重力に単純化され、生物は自然淘汰によって生きながらえてきたということに単純化された。
こういう部分はいろいろな本で読んできたので割愛するのだが、きっと、オッカ・ウイリアムがこの世に存在していなくてもこれらの科学者たちは世界を単純化させ真の世界の構造を解明していたのだろうが、なんでもその嚆矢となるというのはすごいことであったのだろうとは思う。
そして最も唸ってしまったのが、オッカ・ウイリアムを含めてこの科学者たちの行動は「神への挑戦」であったのではなかったのかということだ。初期の科学者たちは教会の顔色をうかがい迫害を恐れまたは実際に迫害を受けながら、世界は神が創り出したものではないのだということを証明するという辛い人生を送るのであるが、そんな科学者たちはきっとオッカ・ウイリアムの言葉があったからこそそれを支えにしてその苦境を生き抜くことができたのだとも思えるのである。そういうことからでもオッカ・ウイリアムという人の偉大さを思い知るのである。

しかし、著者が言うには、オッカム・ウイリアム以前の考え方、例えばプトレマイオスの宇宙モデルというのはこれはこれで現在でもきちんと宇宙の動きを説明できるという。
と、いうことはひょっとしたら神という存在が本当にいて、宇宙の成り立ちには実際に介在したのかも知れないと考えられるし、量子論が導くひも理論や多重宇宙論というものに対して素人が感じることは複雑そのものだ。こんな複雑さはやはり神にしか創れないとも思える。また、よく、“奇跡的”な出来事などということが起こるが、これも単なる確率の問題というわりにはこれはじつは必然でそれは神が導いた必然であるのではないかと思えてくるのである。

まだまだ、存在論と唯名論の対決、すなわち神と確率の闘いはいまだ終わっていないような気もするとこの本を読みながら思うのである。

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