MAYU CLUB ~学校司書まゆみの絵本棚~

子ども達が小さい頃から、絵本の読み聞かせを続けてきた、本について学び続ける学校司書MAYUの絵本リビング育児★

間違った絵本の読み聞かせ?

2014年02月28日 | 絵本・児童書の読み聞かせ
間違った絵本の読み聞かせとは、いったい何のことでしょう?

読み聞かせに正しい間違いがあるのか?と聞き返したくなります。

私は読み聞かせに関しては「100人いれば100通りの読み方があるのでは?」
と思うので「こちらが正しい!」「あちらは間違っている!」と
断言するのがあまり好きではありません。

記事タイトルを見て、不快に感じる方がいたら申し訳ないのですが
「どうしてもこれだけは伝えておきたい」
と思うことがあり、今回は少し奇抜なタイトルをつけました。


昨日、実家の両親が久しぶりに家に遊びに来てくれた時のことです。

息子はじいじばあばのことはよく知っていますが
娘は数ヶ月会っていないと、誰なのかわからず警戒をします。

けれど、おやつを食べさせてもらったり、会話をしたりすることで
だんだんばあばへの警戒心がなくなっていったのか
大好きな絵本をばあばに手渡し、読んでくれとアピールしてきました。

すると、ばあばは喜んで絵本を読み始めました。

「ぶたさんが手に持っているのは何かな?」

「しょうぼうじどうしゃ」

「そうだね。じゃあうさぎさんが手に持っているのは何かな?」

「しょうぼうじどうしゃ」

と娘に質問をし、質問に答えると次のページをめくります。

「ぶたさん後ろに何か隠しているね。何かな?」

「ひこうき」

「そうだね。うさぎさんも何か隠しているよ。何かな?」

「ひこうき」

そうだね、二人とも飛行機を隠しているんだね」

とまた娘に質問をし、質問に答えるとページをめくる・・・
この繰り返しは絵本を読み終えるまで続きました。

いつもなら絵本を読んでもらうと嬉しそうにする娘が
なんだか浮かない顔をしていました。
私もなんだかモヤモヤした気分になったので

「その読み方だと絵本のストーリーを楽しめないよ」

と、母(ばあば)に自分の考えを伝えたところ

「絵本のストーリーなんていいのよ。どんな読み方をしたっていいでしょう?」

と言うのです。

その時、私は自分が幼かった頃の絵本体験を思い出しました。

絵本のストーリーは全く覚えていません。
けれど、家にあった数少ない絵本の絵のことは少し覚えており
絵の印象だけが記憶に残っていました。

今思うと、絵本のストーリーを覚えていないのは
絵本が知育のアイテムとして使われていたからだと思います。

毎ページ読む度に、どこに何がいくつあるかなどという質問をされ
物語が中断するので、絵本の世界がが私の心に届かなかったのです。(1)

思えば、少し前に父(じいじ)が娘に絵本を読んでとねだった時も
母と同じようにストーリーは完全に無視され
知能テストをするような質問ばかりをしていました。

「絵本作家さんは言葉を選んで絵本を作っているから
その言葉を信じて読めば、それだけで十分楽しいの。
絵本を使って子どもに何か勉強させようとしなくていいんだよ」

と、私が母に伝えると、母はハッとしたようで

「MAYUに言われて初めて気が付いた。
今までの読み方が絵本の読み方だと思いこんでいた・・・」

と言ってきました。

絵本は子どもを躾けるためや、勉強を教えるためのツールだと
母はずっと思い込んでおり、
子どもと一緒に絵本の世界を楽しむという考え方が、全くなかったのです。

そもそも小さい子が絵本のストーリーを楽しめるわけがないと
思い込んでいたところもあります。
知育テストのよう質問をして、全部の質問に正確に答えると
「頭がいいわ!」と喜ぶようなタイプだったので。

私は小さい頃、絵本に全く興味を示さなかったと母は言っていましたが
それはいつも質問攻めだったから興味がなかったのでは?
と思ってしまいました。

ブックファーストなどの活動が盛んになり
最近は自治体から絵本をもらえるような地域もあります。
出産祝いに絵本をもらう人もいるでしょう。

しかし、良質な絵本をいくら読んだとしても
このような質問だらけの読み聞かせをしていては
子ども達は絵本の世界を楽しむことができません。

絵本を通じて親子のコミュニケーションがとれればいいじゃないか!

と思う人もいるでしょう。
確かに質問攻めの読み方だって、親子のコミュニケーションはとれます。

しかし、絵本読み聞かせの楽しさを知ってしまった今
母と一緒に絵本の世界を旅することができたら、どれだけ楽しかっただろう・・・
母との思い出の一冊があったら・・・と、思わずにはいられません。

母だって、絵本は知育玩具ではなく、普通に読んで楽しむものなんだよと
助言してくれる人がいたら、知能テストの様な質問ばかりをしないで
きっと普通に絵本の文章を読んでくれたと思うのです。

何かを子どもに教えようとしなくてもいい。
親子で楽しむだけでいいのだとわかっていれば・・・

私のような絵本の勉強中の人間が、偉そうに言えることではないですが
私は幼少期、親と絵本の世界を楽しむ経験ができず、少し寂しかったので
できるだけ多くの人に、親子で絵本の読み聞かせの時間を楽しんでほしいです。

【追記】
やっぱりタイトルが奇抜だと思ったので、最後に「?」をつけました。
いずれ自分なりの結論が出せたら・・・と思っています。

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【注】

(1)松岡享子 『えほんのせかい こどものせかい』 (日本エディタースクール出版部、2012年)、22頁 で、松岡享子さんも、
「物語絵本は、楽しむためのもの、(中略)子どもに絵本を読むときは、質問魔、説明魔ぶりを発揮しないようお願いします。」と、注意を呼び掛けている。

【今日読んだ本】

ルイザ=メイ=オルコット作・中川知子訳 『若草物語』 講談社、1987年。
「夢中になって読んだ!小学校高学年の女の子向け」(1/50)


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ゆずりは)
2014-02-28 22:14:46
MAYUさん、こんばんは。
共感することの多々ある記事でした。
そうですよね、絵本は読みっ放し、お話は語りっ放しでいいんだと私は思っています。
知育アイテムではないということ、子育て中のお母さんに声を大にしてお伝えしたいです。
絵本って楽しい!、この気持ちをまずは親子で味わってほしいですよね。
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うーん (akira)
2014-02-28 23:24:00
 難しいですね。

 今日、学童保育で「ぐるんぱのようちえん」の
読み聞かせをしてきました。
途中、こどもが声を出します。
わたしは講座で、おはなし以外はしゃべらないように、
と教わっているので、それには答えないで、
静かにね、と目で訴えます。
でもね、ケース・バイ・ケースじゃないかという疑問が
ずっとしているんです。
ときにはキャッチボールをしてもいいんじゃないかって。
ただ、それを判断するのにはあまりに場数が少ない。
それで、今はセオリーに従ってやるしかないと思ってやっています。
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ゆずりはさんへ (MAYU)
2014-03-01 10:59:06
絵本を知育アイテムと思い込んでいる人が私の周りでもチラホラいます。
「数を覚えさせたくて選んだ」とか「色の名前が出てくるから選んだ」などなど。

生活の中で数は覚えていくので、絵本を使って覚えさせなくても・・・
と思うのですが、絵本選びに迷ったときは勉強になりそうな方を選ぶ人が多いのも事実です。

私もまずは「楽しい!」が大事だと思うんです。

この記事を書くかとても迷ったのですが
極端な読み聞かせのやり方をしている人がいるかも・・・
と思い、思い切って記事にしました。

母が娘に絵本を読んでいた時、、声のトーンが勉強モードになっていて
リラックスして絵本を楽しむ感じではありませんでした。
2歳になって間もない娘に、絵本を使ってひらがなまで教えだして
教材にしたくて仕方ないんだなと思いました(-_-;)
返信する
akiraさんへ (MAYU)
2014-03-01 11:45:27
学童保育での読み聞かせ、お疲れ様でした!

ぐるんぱみたいな楽しい絵本だったら
物語から脱線しすぎない程度に子どもとコミュニケーションをとるのは
ありかな?という感じもしますが、akiraさんのおっしゃるとおり
場数が少ないうちは、忠実にして、だんだん自分でアレンジしていくのがいいのかなって思いました。

akiraさんは男性なので、川端誠さんの『うえきばちです』とか
長新太さんの『キャベツくん』、馬場のぼるさんの『11ぴきのねこ』とかが合いそう。ナンセンス絵本や面白い絵本は、男の人が読むと面白いので♪
マリオをイメージして桃太郎を語れるなら、面白い絵本は向いていると思いますよ!

学童クラブなら、疲れている子もいると思うので
子ども達の元気が出るような選書をして、一緒に盛り上がったりするのも楽しいですよね。
男性の読み聞かせは楽しいですよ!

原則はあるけれど、楽しい時間であることがとても大切だと思うので
私もケースバイケースかなって思います。
絵本の選書もその場の雰囲気でだいぶ変えますし。

自分の親も、物語の延長で楽しく質問をしてくれたら
まだよかったと思うのですが、知能テストをやっているみたいで
全然面白くないんです・・・面白ければありかな~と思うのですが(^_^;)
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あちゃー (akira)
2014-03-01 21:30:54
おすすめの三冊の本、初めて知りました。
まだ読み聞かせ歴、半年ですから。
図書館で借りてみますね。
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akiraさんへ (MAYU)
2014-03-03 00:40:35
安藤哲也『PaPa’s絵本33~パパのためのROCK’N絵本ガイド』(小学館)

という絵本ガイドがあり、だいぶ前に何度か図書館で借りたのですが
これに載っている絵本は結構面白いです。

かなりカジュアルな本ですが、面白い絵本を知るいいきっかけになると思いますよ!

ちなみに私が読み聞かせ半年の頃は、まだ上記の3冊は知りませんでした(^_^;)
『キャベツくん』は小学生だとちょっと引く子もいるかもしれませんが、『11ぴきのねこ』(他にシリーズあり)は外さないです。

『うえきばちです』は場の雰囲気を盛り上げたり、活気を出したいときとか、2冊以上絵本を読むときに重宝します。
返信する
まゆさんへ (イッポ)
2014-06-23 13:39:52
こんにちは。久しぶりのコメントです。
なんだか忙しくて…。
今日はこれから、初の「読み聞かせ勉強会」です。
学校で一室お借りして、講師の方をお招きして、
10名足らずの会ですが、頑張りますね~。

読み聞かせとか、絵本の良いところとか、
知らないと本当にもったいないですね。
関心がない方も、きっと「知らない」だけなんですよね。
絵本の魅力とその力を。
「その楽しさを知ってしまった!!私たち」が、
いかにうまく伝えていくか、
ここが勝負どころなんでしょうね。

でも、MAYUさんのように、親から満足のいく読み聞かせを
してもらったという経験がなくても、
こうして読み聞かせの世界に入っていけたのは、
本の持つ力のなせる技なのかな。
MAYUさんが生まれながらに興味を持っていたのかな。
お母様も今からでも魅力に気付けるといいですね。

すみません、なんだかややこしい文になってしまいました。
少し前に、ハンバーグの作り方載せましたよ。
ぜひ試してみてくださいね~!
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イッポさんへ (MAYU)
2014-06-26 13:50:28
イッポさん、勉強会お疲れ様でした!
どんな会でしたか?感想を聞きたいです♪

私も最近とても忙しくて疲れ気味で
もう10日以上、風邪をひいたまま・・・
蒸し暑さに体がまだ慣れていないのかもしれません(*_*)

絵本の読み聞かせの魅力についてですが、
知らないだけの人もいれば、知っていても興味がない人もいたり、
いいとわかっているけれど、そこまでする気持ちの余裕がなかったり、
いろいろなケースがあるのかなと思っています。

でも、なんとなく億劫、きかっけがないというケースが多いのかな・・・

だからか、絵本の魅力をどう伝えていけばいいのか、
最近はちょこちょこ考えるようになりました。

きっと何か原因があるのだと思うので、
そういうところを、サポートできたらいいなって考えたりもしています。

ちなみに、私は小さい時から感性が豊かなタイプだったんですよ。
イッポさんなら、わかるかしら?!小さい頃に本は読まなかったけれど、芸術への関心は高かったんです。

けれど、子どもが生まれたころは、絵本の読み聞かせになんて、
これっぽっちも興味がなくって・・・
それが今はこうですから、絵本の力はすごいです(笑)

ホント、この力を伝えていきたい!!

その前に、腹が減っては戦はできないので、
ハンバーグのレシピをチェックしてみま~す♪
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