間違った絵本の読み聞かせとは、いったい何のことでしょう?
読み聞かせに正しい間違いがあるのか?と聞き返したくなります。
私は読み聞かせに関しては「100人いれば100通りの読み方があるのでは?」
と思うので「こちらが正しい!」「あちらは間違っている!」と
断言するのがあまり好きではありません。
記事タイトルを見て、不快に感じる方がいたら申し訳ないのですが
「どうしてもこれだけは伝えておきたい」
と思うことがあり、今回は少し奇抜なタイトルをつけました。
昨日、実家の両親が久しぶりに家に遊びに来てくれた時のことです。
息子はじいじばあばのことはよく知っていますが
娘は数ヶ月会っていないと、誰なのかわからず警戒をします。
けれど、おやつを食べさせてもらったり、会話をしたりすることで
だんだんばあばへの警戒心がなくなっていったのか
大好きな絵本をばあばに手渡し、読んでくれとアピールしてきました。
すると、ばあばは喜んで絵本を読み始めました。
「ぶたさんが手に持っているのは何かな?」
「しょうぼうじどうしゃ」
「そうだね。じゃあうさぎさんが手に持っているのは何かな?」
「しょうぼうじどうしゃ」
と娘に質問をし、質問に答えると次のページをめくります。
「ぶたさん後ろに何か隠しているね。何かな?」
「ひこうき」
「そうだね。うさぎさんも何か隠しているよ。何かな?」
「ひこうき」
そうだね、二人とも飛行機を隠しているんだね」
とまた娘に質問をし、質問に答えるとページをめくる・・・
この繰り返しは絵本を読み終えるまで続きました。
いつもなら絵本を読んでもらうと嬉しそうにする娘が
なんだか浮かない顔をしていました。
私もなんだかモヤモヤした気分になったので
「その読み方だと絵本のストーリーを楽しめないよ」
と、母(ばあば)に自分の考えを伝えたところ
「絵本のストーリーなんていいのよ。どんな読み方をしたっていいでしょう?」
と言うのです。
その時、私は自分が幼かった頃の絵本体験を思い出しました。
絵本のストーリーは全く覚えていません。
けれど、家にあった数少ない絵本の絵のことは少し覚えており
絵の印象だけが記憶に残っていました。
今思うと、絵本のストーリーを覚えていないのは
絵本が知育のアイテムとして使われていたからだと思います。
毎ページ読む度に、どこに何がいくつあるかなどという質問をされ
物語が中断するので、絵本の世界がが私の心に届かなかったのです。(1)
思えば、少し前に父(じいじ)が娘に絵本を読んでとねだった時も
母と同じようにストーリーは完全に無視され
知能テストをするような質問ばかりをしていました。
「絵本作家さんは言葉を選んで絵本を作っているから
その言葉を信じて読めば、それだけで十分楽しいの。
絵本を使って子どもに何か勉強させようとしなくていいんだよ」
と、私が母に伝えると、母はハッとしたようで
「MAYUに言われて初めて気が付いた。
今までの読み方が絵本の読み方だと思いこんでいた・・・」
と言ってきました。
絵本は子どもを躾けるためや、勉強を教えるためのツールだと
母はずっと思い込んでおり、
子どもと一緒に絵本の世界を楽しむという考え方が、全くなかったのです。
そもそも小さい子が絵本のストーリーを楽しめるわけがないと
思い込んでいたところもあります。
知育テストのよう質問をして、全部の質問に正確に答えると
「頭がいいわ!」と喜ぶようなタイプだったので。
私は小さい頃、絵本に全く興味を示さなかったと母は言っていましたが
それはいつも質問攻めだったから興味がなかったのでは?
と思ってしまいました。
ブックファーストなどの活動が盛んになり
最近は自治体から絵本をもらえるような地域もあります。
出産祝いに絵本をもらう人もいるでしょう。
しかし、良質な絵本をいくら読んだとしても
このような質問だらけの読み聞かせをしていては
子ども達は絵本の世界を楽しむことができません。
絵本を通じて親子のコミュニケーションがとれればいいじゃないか!
と思う人もいるでしょう。
確かに質問攻めの読み方だって、親子のコミュニケーションはとれます。
しかし、絵本読み聞かせの楽しさを知ってしまった今
母と一緒に絵本の世界を旅することができたら、どれだけ楽しかっただろう・・・
母との思い出の一冊があったら・・・と、思わずにはいられません。
母だって、絵本は知育玩具ではなく、普通に読んで楽しむものなんだよと
助言してくれる人がいたら、知能テストの様な質問ばかりをしないで
きっと普通に絵本の文章を読んでくれたと思うのです。
何かを子どもに教えようとしなくてもいい。
親子で楽しむだけでいいのだとわかっていれば・・・
私のような絵本の勉強中の人間が、偉そうに言えることではないですが
私は幼少期、親と絵本の世界を楽しむ経験ができず、少し寂しかったので
できるだけ多くの人に、親子で絵本の読み聞かせの時間を楽しんでほしいです。
【追記】
やっぱりタイトルが奇抜だと思ったので、最後に「?」をつけました。
いずれ自分なりの結論が出せたら・・・と思っています。
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【注】
(1)松岡享子 『えほんのせかい こどものせかい』 (日本エディタースクール出版部、2012年)、22頁 で、松岡享子さんも、
「物語絵本は、楽しむためのもの、(中略)子どもに絵本を読むときは、質問魔、説明魔ぶりを発揮しないようお願いします。」と、注意を呼び掛けている。
【今日読んだ本】
ルイザ=メイ=オルコット作・中川知子訳 『若草物語』 講談社、1987年。
「夢中になって読んだ!小学校高学年の女の子向け」(1/50)