最近は少なくはなりましたが、卒業式が近づくと、中学生の刺繍ランが、中学校教員の間で話題になります。
刺繍ランとは、黒や白、青、赤色の学生服に刺繍を縫い込んだ変形服のことです。
卒業式の後、着替えて記念撮影に興じる生徒が、豊能地区のいくつかの中学校にいます。
その刺繍ランには、花の刺繍や文字が縫い込んであります。
その文字の一つに、「天上天下唯我独尊」という言葉があります。
この言葉は、「自分一人がこの世で尊い、誰も私を邪魔することはできない」という意味に曲解されて受け取られていますが、本当の意味は違います。
一人一人はみんな違っていて、私はこの世に一人しかいない。この世にどれだけたくさんのひとがいようとも、自分はたった一人の存在であり、ほかの誰とも違う。だから尊いのである。
このような解釈ができます。他と違うところに人間の価値があるということです。
金子みすゞさをは、「みんなちがって、みんないい」と詩の中で言われています。
この言葉と、「天上天下唯我独尊」は通じるところがあります。
さらに、みんなに同じ点もあります。命をもっている点では共通です。
つまり、「命をもっているという点では、みな同じである。」
同時に、
「一人ひとりはみんな違う。違うから価値があるるのであり、存在する理由がある」
この両方の意味をかみしめ、その間で生きていく。
これが、ありのままの生き方と言えるかもしれません。