12月10日(金)
7日火曜は雨。外出せず。
前日の鍋の残りにうどんを一玉入れて夕食とする。
8日水曜は(こちらに戻ってきてからだから、おそらく5年ぶりくらいに)ツーリングジャケットを着てみる。
黴臭い。能く見ても黴は見当たらないが、見当たらなくとも黴臭い。
頼りない鼻の力を信じてそれらしい疑いのある処を拭く。
けど、やっぱり黴臭い。
それを着て珈琲店に向かう。
途中
「もし縫い合わせてある内側にうっすらとでも黴が広がっていたなら当然臭いが取れるわけはないな」
と、ごく当たり前のことを考える。
で、結局は風に当てたり陽に当てたりするのが黴撲滅の手段、と思うことにする。洗濯するのが一番ではあるけれど、革の洗濯はそう気軽にできるようなものではない。相応に金と時間がかかる。
生きている間、あと何回着ることになるかどうかすら分からないんだから。
店内には珍しく客が一人もいなかった。
「珍しいですね」と言うと「この頃はこんなですよ」と言われる。
「でも、来た時はいつも一杯ですよ?」
それは否定せず、
「今日は本当に朝からこんなで。天気のせいですかね」。
安心して今日はゆっくりコーヒーを飲める、と思っていたら数分も経たないうちに三人連れの女性客が入ってきた。
この店の常連らしく静かな話しぶりだけど、知る人ぞ知る名店ながらこじんまりとした店内のこと、急にそれなりの賑やかさになる。
決して三人の女性だから文字通り「姦しい」、なんてことはない。(三人の淑女方の名誉のために書き足して置く)
珈琲豆を二種、買って帰る。
これで黴臭さはおさまる(と思う)。