CubとSRと

ただの日記

今も昔も

2021年12月20日 | 心の持ち様
 「もんじゅ廃炉は日本の頭脳潰しになる」

 例えば製鉄の歴史を見ると、まずスウェーデンが最初にいい鉄を市場に出したが、英国がコークスを使ったもっと純度の高い鉄を売り出した。
 それが刺激となって欧米各国で新しい炉が研究され、平炉や電気炉、熱風吹き込み式のベッセマー転炉などが次々登場してきた。
 競い合いは発明の母だ。
 その点、日本は周りが支那と朝鮮。そういう前向きの刺激は一切出てこないから結局、独り我が道を行く定めにあった。
 だから、今の歩行型ロボットにも匹敵する絡繰り儀右衛門が登場したところで、さてそれをどう兵器化するかとかの発想はなかった。日本は昔から平和だった。

 それでも国際社会で目標が設定されれば日本は強い。
 ピエール・キュリーが水晶に通電すると正確な振動をすることを発見する。
 それを使えば正確な時計ができる。世界中の時計屋が腕時計に納まるクオーツの小型化を目指したが、装置は箪笥より小さくならなかった。
 箪笥をしょって「正確な腕時計」もない。世界が諦めたとき、我が精工舎が箪笥をとうとう腕時計の中に入れてしまった。
 精工舎はその特許をただで世界に公開した。せこいビル・ゲイツとは違った。
 箪笥の何倍もあるディーゼルの小型化ではヤンマーの山岡孫吉が成功した。今は世界の車がその恩恵に浴すが、フォルクスワーゲンは山岡の小型エンジンの恩恵に浴した上で排ガス規制逃れのアプリを付けて特色を出している。

 ただゴールがあると強い日本も枠を飛び抜けたアイデアの処理に問題があった。その凄さを周(めぐ)り、特に役所が理解できなかった。
 東北帝大教授八木秀次(ひでつぐ)が超短波無線の指向性アンテナを発明したときもそう。
 日英米で特許が下りた。米国ではすぐ暗夜の飛行機誘導やレーダー受信などを試して有用性を確認した。
 日本では軍部が「自ら電波を発信するなど狂気の沙汰」と実験すら拒否した。
 翌年2月、シンガポール陥落で鹵獲(ろかく)した英国製電探(レーダー)がすべて八木アンテナで機能していることを日本人は初めて知った。

 (続く)


  新潮文庫 
 「変見自在 トランプ、ウソつかない」
        高山正之著 より

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 はあ~~、とため息をつきたいところだけど、他人事じゃない、自分だって日本人。
 こういう記事を見ても「だから日本人は駄目なんだ(大発明をするくせに美味しいところはみんな持って行かれる。お人好しなんだよ。もっと言えば馬鹿なんだよ。こんなで腹黒い世界の中で生きて行けるか?)」という世間の論調(というより発想)は全く変わってない。いつからこんな自虐的な思考の人間になってしまったんだ、日本人は。昔からか?もともとそうなのか?違いますよね?

 ということで、「2番じゃダメなんですか?」という「新しい」発想が広がって来る。「ゆとり」の発想、と言ってもいいかもしれない。
 それに対して「そんなもん、ダメに決まってるだろ!一番を目指さなきゃ二番にだってなれないんだよ!」という(昔からの)反論が出てくる。

 「ゆとり」は論外だけど「一番を目指せ!」というのも戦後の自虐史観による「日本嫌い」の蔓延の裏返しなんじゃないか。
 もっと前からあった日本人の考え方は、「一番、二番」という順位付けじゃなかった。「達人・名人・上手・凡手」が日本人。
 大学だって成績は「優・良・可・不可」じゃなかったですか。
 
コメント
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