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普段読んでる本は軽いのが多くてほぼ一日で読み終えてしまう、よくかかっても二日。でもこの本、四日かかりました。作者の梨木香歩さん、まるで思考の回路が違うのか、私など見てそのままで通り過ごしてしまうことも、深く論理的に説明しようと試みている。
例えば、旅先で風切羽を折れたカラスをみて、「生き延びる」ということを考える。自然がその時代の人為的な影響で荒れ果てていたら、それこそがその時代の「自然」なのだと・・・。それは私たちの内部でも同時に起こっている。土地は開発の名の下に蹂躙され、およそ霊力というような類の力が、急速に薄れ、陰影のない、薄っぺらいものに代わられて行きつつあると。
人間も同じように内側と外側と同時進行している。
ひとつの風景、ひとつの事象をみて、そこから思いをはせる。色んな事を考え、それを線で結んだり、枠で囲んだり、そしてしばらく寝かせる、熟成させる・・・これって私にとっては「仕事」、どうすれば世の中に受け入れられるのは、どうすれば広く広げることが、どうすれば売れるのか・・・まさにマーケティングではないか。
それを、憤死のカラスを見て、別荘の隣との境界線を見て、ブルカを纏った女性など他いろんなものを見て、「環境」とか「境界」、「政教分離」「信仰」「自分」「戦争」「度量」「賢愚」「無私」「慈愛」など思いをはせる。
梨木香歩さんにならって、自分のいまいる場所からこの足で歩いていく。
一歩一歩確かめながら、自分の周りのこと、「ぐるりのこと」に目を向けよう。散歩人生と言いながら、時にはもう少し足を止めてみて「ぐるり」を見てみようと、思う“ごまめ”でございました。
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