MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『いちばんここに似合う人』

2014年01月29日 | BOOKS
『いちばんここに似合う人』
ミランダ・ジュライ/著
岸本佐知子/訳
新潮社


 イタイ、痛い。
 場所も登場人物も話の展開も、眠りの浅い日の夢のように不可解で、メビウスの輪のようにねじれてつながっているみたい。
 とんでもない妄想や歪んだ愛も「こんなの気持ち悪い」と思うのに、自分の中にある狂気の塊はぞわりと共鳴しているような気がして、否定しきれない物語ばかり。

 あからさまな性描写は、iTunesだったら「Explicit」(子どもには不適切)と表示されるんじゃないかと思うレベル。
 ただ、愛を感じるよりも寂しく悲しくなるような、嫌悪よりも孤独を感じるようなそんなシーンばかりなのだけど。

 基本的にはドロドロしていない児童文学を好む私としては苦手な分野の1冊だけれども、男と女がいて、大人と子供がいて、愛と憎しみがあって、誤解と偏見と孤独と欲望があるのが現実社会だから、この本の中の世界は間違いなく現実に近いもの。たとえ、好きになれなくても、傷に塩を塗るようでも、優しさがあるのも本当。

 作者のミランダ・ジュライは、小説家だけでなくて、映画監督であり女優であり、パフォーマンスアーティストでミュージシャンなんだとか。根っからの想像力と創造力の持ち主であることは間違いがなさそう。
 ユーチューブでも、彼女の独創性のある世界を見ることができます。
ミランダ・ジュライ・トピック Popular Miranda July videos - YouTube
 映像でも、いつのまにか切っ先を向けられているような鋭さで、見た後にズッシリ重さを感じます。

 1974年生まれということは、私よりも2つ上。同世代といっていい女性。
 今後、どんな彼女の世界を見ることができるのか、怖いような楽しみなような……。

<関連サイト>
MIRANDA JULY オフィシャルサイト(英語)
 公式ホームページ。こちらにも画像多数。
MIRANDA JULY'S BLOG 「ME AND YOU AND EVERYONE WE KNOW」(英語)
 作者のブログ。
ミランダ・ジュライ - Wikipedia(日本語)
 
コメント
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