MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『猫の傀儡』

2017年08月14日 | BOOKS
『猫の傀儡』(ネコノ クグツ)
著者:西條奈加(サイジョウ ナカ)
光文社


 思わず、歌川国芳の表紙絵「たとゑ尽の内」(たとえづくしのうち)に、登場猫であるミスジを探してしまいます。

 猫が語り手となる、時代物人情ミステリー。
 「傀儡」というのは「操り人形」なんですけれど、「傀儡師」である猫ミスジが、「傀儡」と決めた人間を操って、人が絡んだ猫のトラブルに対処していくというストーリー。
 命の恩人(恩猫)の失踪の謎もからみつつ、人間の愛憎・悪意から起きる事件を解決していくミスジたち。

 それぞれの猫も性格がそれぞれで、ミスジの義理堅さも、ユキの愛らしさも魅力的です。
 そして猫好きの「傀儡」阿次郎のユキへのデレデレぶりもさることながら、猫にもまけない察しの良さで事件を解決していく姿に胸がすっとします。

 化け猫よりも、人間の心の闇のほうがずーっと恐い。
 続編が出て、ミスジが恋に悩んだりしたら……面白そう。ふふふ。
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