朝日新聞出版:文庫『まぬけなこよみ』
津村記久子さんの作品が好きだ。
「この作品、好きだなぁ」と思った本が「あれ、これも津村記久子さんだった」と、後から気がついて驚いたことが度々ある。
図書館で何気なく借りた本だったり新聞連載だったり、自分で意識して購入していないときに発生するので、作者にしてみれば失礼な読者である。
ファンタジーものは作家で借りることが多いのだけれど、それ以外は新刊コーナーや返されたばかりの図書を置いてあるブックトラックから選ぶことも多いので作者を気にせず読んで、後から「あ、これ」となったり……。
『まぬけなこよみ』もタイトルに惹かれて何気なく手に取ったような気がする。
平凡社では「芥川賞作家による脱力系歳時記エッセイ」、朝日新聞出版の文庫の帯では「超庶民派芥川賞作家のとほほで可笑しな四季エッセイ」と紹介されているのだけれど、たしかに ゆる〜く読めて ちょっと楽しいエッセイ集なのだ。
タイトルの中に「こよみ」とあるように、季節を感じる言葉についての想いやエピソードがつづられるのだけれども、「芥川賞作家」という堅苦しさは全く感じさせない、きっと何度読んでもクスッと笑ってしまう気がする1冊である。