朝、窓を開けると懐かしい、いい香りに包まれました。
金木犀です。
いつも、いつの間にか咲いていて、ちっとも気づかず
香りによって、金木犀の花が咲いたことを知るのです。
今年こそは蕾のうちに気がついてあげたいと思って
いたのに…
この健気な花には、どれほど支えらたでしょうか
10月は息子の命日月です。
夏から秋に、空気が変わるだけで涙がこぼれていた
私ですが、どんな時も金木犀はひっそりと咲いて
優しい香りで、私を包んでくれました。
金木犀の季節が来るたびに、「有難う、今年は
泣いてないよ!」、言っている私です。
昨日、書のお稽古を終えて、お寺を出ると
ふわっといい香りに包まれました。
誰かが「沈丁花かしら」と言ったので、私は慌てて
「金木犀です!」と声をあげてしまいました。
香りをたどっていくと、小さな小さな金木犀の花が
ありました。
すると、書の先生が「うちには、銀木犀があるわ」と
言われたので、私はその時初めて銀木犀を
知りました。
金木犀と同じだけれど、白い花なので銀木犀
だそうです。
金木犀に、そんな素敵な兄弟がいたなんて
嬉しくなりました。
今年も私は、金木犀に「泣かずに秋を迎えたよ」
と、言いました。