初女さんの「あなたに喜んでもらえるように」を
読んでいたら、森のイスキアにいる気持ちに
なりました。
人には年月と共に、風化する記憶と
色あせず益々鮮やかになる記憶があるようです。
私にとって森のイスキアの記憶は、勿論後者の
ものです。
イスキアに行くと、私は初女さんの娘になった
気分で、直ぐにエプロンをして初女さんの横で
スタンバイしてました。
一応、主婦歴何十年の私ですが、初女さんの前では
何も出来ない子供のようなのです。
初女さんのお料理はとても丁寧で、普段の
私の台所仕事では、太刀打ちできないのです。
くるみの薄皮を楊枝で取るのを、初女さんと
並んでやっていたら、私がこれで取れたとした
くるみを初女さんが、さらにきれいにして
くれていました。
まあ、こんなもんでいいか!という言葉は
初女さんの中では存在しないようでした。
初女さんのお部屋に、こそっと忍び込むのも
好きでした。
イスキアに居ると、なぜか時の刻みが
とてもゆっくり感じるのです。
晩年は、希望者が多く一泊しか出来なく
なりましたが、それでもイスキア時間が
流れていました。
ご飯の用意が整うと、初女さんがチリンチリンと
鐘を鳴らしながら歩くお姿が、可愛くて
大好きでした。
あ~次から次から思い出が立ち上がってきます。
「ここには大切な人を亡くした人がいるから
お盆の送り火をしましょう」と、初女さんが
言われ、イスキアの庭でたき火をしたこと…
どこをとっても初女さんの愛が溢れていました。
森のイスキアにいる間、ずっと初女さんの
「母の愛」に包まれていたんですね。
初女さんの「あなたに喜んでもらえるように」
は、初女さんの心そのものです。
初女さんの「母の愛」が、私の中で生き続けて
います。
沢山の喜びを頂きました。
初女さん、言ってましたよね。
「幸せになるためには、いまの状態に満足すれば
いいだけなのです」って
私、苦しいこともあるけれど、幸せになります!