13 ツユクサ色の手紙
ファンタンが帰って来てから、果樹園のりんごが太り始めた。湖の魚も臭くなくなった。村人たちはしばらく、お守りを持たず、コーヒーやお茶にどんぐりが入っているのを見つけるたびに、歓声をあげた。
森も次第にきれいになった。クリステラの病気も治り、元の祠の管理小屋に戻った。
グスタフは、教会でヨーミス君とアメットさんとお茶を飲みながら話をしていた。本当によかったねえ、とみんなで喜んだ。そうして、自分のお茶に口をつけようとした時、中にどんぐりが入っているのを見つけて、グスタフは、びっくりした。
嬉しい気持ちを抱いて、教会を出るヨーミス君とアメットさん。ふたりはしばらく並んで村の道を歩いた。アメットさんは、ヨーミス君が好きなようだ。並んで歩いていると、とても幸せそうだ。ヨーミス君もまんざらではない。
そうやって、二人が並んで歩きながら、道が、森の隅の野原に差しかかったときだ。ふと、野原に、たくさんのツユクサが咲き乱れているのを見つけた。ヨーミス君はびっくりした。確か、来るときには咲いてはいなかった。それに、ツユクサが咲くには、まだ季節が早すぎる。
「ファンタンのお礼よ、きっと」とアメットさんが言った。ヨーミス君は嬉しくなって、青いツユクサの咲き乱れる野原に飛びこんでいった。空から、おとうさんとおかあさんが、自分を見つけて、見てくれているような気がした。
ツユクサの中に立ちながら、ヨーミス君は空に向かい、力いっぱい叫んだ。
「おとうさん、おかあさん、ぼくは元気です。がんばっています!!」
(おわり)
ファンタンが帰って来てから、果樹園のりんごが太り始めた。湖の魚も臭くなくなった。村人たちはしばらく、お守りを持たず、コーヒーやお茶にどんぐりが入っているのを見つけるたびに、歓声をあげた。
森も次第にきれいになった。クリステラの病気も治り、元の祠の管理小屋に戻った。
グスタフは、教会でヨーミス君とアメットさんとお茶を飲みながら話をしていた。本当によかったねえ、とみんなで喜んだ。そうして、自分のお茶に口をつけようとした時、中にどんぐりが入っているのを見つけて、グスタフは、びっくりした。
嬉しい気持ちを抱いて、教会を出るヨーミス君とアメットさん。ふたりはしばらく並んで村の道を歩いた。アメットさんは、ヨーミス君が好きなようだ。並んで歩いていると、とても幸せそうだ。ヨーミス君もまんざらではない。
そうやって、二人が並んで歩きながら、道が、森の隅の野原に差しかかったときだ。ふと、野原に、たくさんのツユクサが咲き乱れているのを見つけた。ヨーミス君はびっくりした。確か、来るときには咲いてはいなかった。それに、ツユクサが咲くには、まだ季節が早すぎる。
「ファンタンのお礼よ、きっと」とアメットさんが言った。ヨーミス君は嬉しくなって、青いツユクサの咲き乱れる野原に飛びこんでいった。空から、おとうさんとおかあさんが、自分を見つけて、見てくれているような気がした。
ツユクサの中に立ちながら、ヨーミス君は空に向かい、力いっぱい叫んだ。
「おとうさん、おかあさん、ぼくは元気です。がんばっています!!」
(おわり)