(テッサロキニの古代アゴラの通廊。ウィキペディア「アゴラ」より引用。)
アゴラとは古代ギリシャのポリスにある広場で、人々が行きかったり交流したりする場所でした。
そういう場所がイヤだという病態を「アゴラ恐怖症」、訳して「広場恐怖症」と言います。そのような人たちは、だだっぴろい場所がイヤなのではなく、広場には人がたくさんいるからイヤなのです。
この病態の人たちは、急病など何らかの理由で倒れるのではないかという不安をいつもかかえています。もし、人ごみで倒れたらたちまち人垣ができるだろうと想像し、この人たちは堪らない気分になります。
「広場恐怖症」の人たちが一番嫌いなのは広場よりも混んだバスや電車です。ただでさえ狭い空間ですから、倒れたりしたら大騒ぎになるに決まっています。だから、このような人たちはバス電車に乗りたがりません。(通勤通学はどうするのかというと、徒歩や自転車やバイクで行います。この人たちは「人前で見苦しい姿を見せたくない」という矜持をおもちですから、好感がもてます。)
ここで、前々回に述べた「降りられない恐怖症」と「閉所恐怖症」を思い出されませんか?じつは「広場恐怖症」はこれらと類似の病態なのです。でも、いずれも神経症レベルで、重症な疾患とは言えません。
※今日、気にとまった短歌
ドライブで君と聴いてたユーミンのカセットが棚に三十年ある (藤沢市)水上昌子