受験を控えたあつこさん。
あせりも感じられる。
しかし課題曲が好きになれていないので歌詞も覚えられない。
好きだ嫌いだなんて言っている場合じゃない。
試験曲なんだから頭から覚えたらと思う私の気持ちは
通じにくいみたい。
普段の話し言葉でも、ささくれた気持ちでは語尾がきつくなる。
メロディーがあって強弱の指定がある楽譜をみて歌っても
ささくれていると、語尾がきつくなる。フレーズの最後に伸びるはずの声が
息はまだあるのに千切れる。
そこで歌詞を書くことを宿題にした。
「書いたって覚えられない」と言う。
覚えるために書くのじゃない。この詞にしても世の中に出るまでに
たぶん作詞者はいろんな思いをめぐらせ、推敲を重ねてきたはず。
詞の内容まで把握できなくても作詞者の苦労はわかるはず。
詞の内容は、自分の自由な解釈でいいと思う。
レッスンで朗読をしてみよう。
「いまさら 本読み?」って表情が伺えた。
読みなさいだけでは読もうとしない。
しないのでなくて、たぶんどうしたらいいのかわからないのだろう。
私がワンフレーズを読み、ついて読むことに。
しかし今度は、駄目だと指摘したところがなぜ駄目だかわからないので
録音をし、聞き返しながら朗読。
私も決して朗読がうまいわけではありませんが、
録音で聞き比べ、どちらが心地よく耳や心に届くかがわかると
次第に朗読にも熱が入ってきた。
4回目の朗読を聞いたとき、すでに1回目とは違って
声色も変わり、気持ちと表情の変化も感じられるように。
いいぞ、その調子。
いまの気持ちをそのままで、いつもよりゆっくり目に歌ってみることに。
できたね。いつもは力んでしまうサビのいいところが、
力むことなく、決して大きな声ではないのだけれど、
おおらかに、ゆったりと歌うことができた。
先日の録音のときは、なんかむかついた歌い方だったと
あつこさんも反省。
心落ち着けての朗読でいい方向に。
この歌、好きになってね。