(1)「構図(composition)」がまったく同じだった。(a)前幹事長の資金管理団体の数億円に及ぶ
政治資金の記実不載と、(b)厚労省の偽証明書発行による郵便料金不正利用のふたつの事件。
(a)数億円の政治資金の報告書記実不載にかかわり、当時の会計責任者(現衆院議員)は、
前幹事長に報告していたと証言、当の前幹事長は聞いていない、知らないとして、「言った、言わ
ない」の証拠不在の世界に検察を引きづり込んでの、資金管理責任者の前幹事長の不起訴処分。
(b)厚労省職員が該当しない団体に偽証明書を発行して障害者団体の郵便料金割引制度の適
用を認め、結果として多額の郵便料金割引を不正に利用させたというもの。
当初の検察の取調べでは、政治家からの同依頼は断れないとして、厚労省元局長が部下(元
係長)に偽証明書の作成を指示したとされた。
ところが、裁判(公判)では一貫してこの取調べの証言を関係者がことごとく全面否定して、政
治家からの同依頼も当日のアリバイが確認されて、関係者の全面否定した取調べの証言も検察
の取調べの圧力があった(関係者証言)として、内容的にも信用性、関連性、整合性に疑問が持
たれて、裁判の証拠としても不採用とされ、元係長の単独犯行とされた。検察劣化(deterioration
of prosecution)の象徴となった。
「言った、言わない(指示した、指示しない)」の証拠不在の世界に、検察が自ら犯罪構成の予断
の中に迷い込んでの元局長の無罪判決だった。
検察の捜査能力の低下以前の、だからの「予断(prejudge)」に基づく証拠不在の事件の架空立
件という「検察の犯罪(crime of prosecution)」と言えるものだとの判決だ。
(2)前幹事長も元局長も、組織の責任者として組織内で行われている不正に適切なチェック機能
が果たせなかった「社会的責任(social responsibility)」は、しかし「重い」。
社会復帰は、自らの判断で元職にかかわるものではないのが、組織としても正常だ。
(3)近年の検察の立件捜査能力の低下及び見込み違いの増加には、当然ながら警察の捜査能
力の低下と一致する。
それは、情報社会がもたらす、現場の「物理的作業」よりは形式至上のソフト「理論構築」中心の
社会理念が少なからず影響していると考えられる。
現場での徹底した捜査による証拠固めよりは、事件の構図をまとめ上げるソフト処理能力(transaction
faculty)に四苦八苦する姿だ。
情報社会は、表面的なところを切り取れば、データを効率的に効果的にスピードを持って分析、
組み立て、処理することを価値とするソフト社会。
そのスピード化を、深部に位置する真実というデータを掘り起こす現場処理の充実に回す「本質論」
が忘れ去られている。
政治資金の記実不載と、(b)厚労省の偽証明書発行による郵便料金不正利用のふたつの事件。
(a)数億円の政治資金の報告書記実不載にかかわり、当時の会計責任者(現衆院議員)は、
前幹事長に報告していたと証言、当の前幹事長は聞いていない、知らないとして、「言った、言わ
ない」の証拠不在の世界に検察を引きづり込んでの、資金管理責任者の前幹事長の不起訴処分。
(b)厚労省職員が該当しない団体に偽証明書を発行して障害者団体の郵便料金割引制度の適
用を認め、結果として多額の郵便料金割引を不正に利用させたというもの。
当初の検察の取調べでは、政治家からの同依頼は断れないとして、厚労省元局長が部下(元
係長)に偽証明書の作成を指示したとされた。
ところが、裁判(公判)では一貫してこの取調べの証言を関係者がことごとく全面否定して、政
治家からの同依頼も当日のアリバイが確認されて、関係者の全面否定した取調べの証言も検察
の取調べの圧力があった(関係者証言)として、内容的にも信用性、関連性、整合性に疑問が持
たれて、裁判の証拠としても不採用とされ、元係長の単独犯行とされた。検察劣化(deterioration
of prosecution)の象徴となった。
「言った、言わない(指示した、指示しない)」の証拠不在の世界に、検察が自ら犯罪構成の予断
の中に迷い込んでの元局長の無罪判決だった。
検察の捜査能力の低下以前の、だからの「予断(prejudge)」に基づく証拠不在の事件の架空立
件という「検察の犯罪(crime of prosecution)」と言えるものだとの判決だ。
(2)前幹事長も元局長も、組織の責任者として組織内で行われている不正に適切なチェック機能
が果たせなかった「社会的責任(social responsibility)」は、しかし「重い」。
社会復帰は、自らの判断で元職にかかわるものではないのが、組織としても正常だ。
(3)近年の検察の立件捜査能力の低下及び見込み違いの増加には、当然ながら警察の捜査能
力の低下と一致する。
それは、情報社会がもたらす、現場の「物理的作業」よりは形式至上のソフト「理論構築」中心の
社会理念が少なからず影響していると考えられる。
現場での徹底した捜査による証拠固めよりは、事件の構図をまとめ上げるソフト処理能力(transaction
faculty)に四苦八苦する姿だ。
情報社会は、表面的なところを切り取れば、データを効率的に効果的にスピードを持って分析、
組み立て、処理することを価値とするソフト社会。
そのスピード化を、深部に位置する真実というデータを掘り起こす現場処理の充実に回す「本質論」
が忘れ去られている。