いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ルールなき政治の「今」。 nowaday politics without a rule

2010-12-09 19:39:02 | 日記
 (1)民主党第2次政権が機能しない。「これからが本格的な仕事内閣」とか、国会対策の
「熟議」とかスローガンは打出しても、それを推進する原動力(motive power)となる首相
のリーダーシップ皆無によるもので、かえって「有言不実行内閣」を強く印象付けている。

 内閣支持率が20%前半に下落して、①国会運営での法案成立が30%台に留まってここ
10年間で最低を記録したことと、その首相にかわって②政治の表ステージへの露出が顕著
になった内閣のスポークスマンである官房長官の不規則、はぐらかし発言に秘密保持体質で
苦労が絶えないのか、最近はすっかり輪郭がスリム化してしまったのが、現政権の病状を物
語る。
 官房長官の表情からは、以前のふてぶてしさは消えて随分と融和になってつくり笑いが増
えた。政治家の表情から本心が見えにくくなるのは、国民にとっては不気味でそれはそのま
ま政治不信に反映していく。

 (2)そこで民主党内では何が起きているのか、というと、政策ではメイン公約である子ども手
当、高速道路無料化、暫定税率廃止では、相変わらず「財源」問題がネックとなって進展せ
ずに、そのあおりで公共事業の見直しの「コンクリートから人へ」の象徴だったダム工事中止
も見直す有り様だ。
 当初4年間は見直さないと言っていた消費税引き上げも、財源確保の見通しの甘さから一
度はテーブルに乗せてはみたものの国民の反発をモロに受けて、引き下げざるを得なくなり
また外交、貿易自由化(TPP問題)と政府方針の不統一が際立つばかりだ。

 一票の格差是正も迫られており、議員の定数、報酬削減もまったく進展していない。つま
り「これから本格的な仕事内閣」とか「熟議」と言っときながら、「何」も普通の仕事さえしてい
ない内閣であり、国会であった。これで、この有り様で国民の投資から各政党総計数百億円
の政治資金が使われているのだから、「不幸」は政策不実行と合わせてそのまま国民に及
ぶ訳だ。
 
 (3)国民の期待を一身に集めた民主党政権を誰がこんなものにしたのかと言うと、そんなこ
としている場合じゃないのに今、民主党で起きている国政不在の身内の権力争いと言うこと
になる。民主党がしっかりとバインディング(binding)していない。
 元幹事長の政治資金不明瞭の説明責任に、現幹事長が国会議決の政倫審招致を検討し
ていることに、元幹事長グループは今そんなことをしている政治状況でないと反発している。

 確かに上記で述べたとおり、そんなことをしている政治状況ではないが、それは元幹事長
の説明責任がとっくに決着していることが大前提の話で、そこをスッポリ都合よく抜かしての
反発も反発だ。一方、こんな問題で国会議決でしか決着方法が見い出せない民主党内の統
治能力(governance)にも驚くばかりだ。

 (4)国会は衆参ねじれ、民主党内は主流、反主流勢力がほぼ半数近くで拮抗している政治
状況では、パワーゲームは非生産性的で、何も生まれないのは当事者議員でなくとも自明
のことだ。
 ①選挙で再決着をはかるか、そんな余裕がなくて②思惑ではなく、真面目な議論、審議に
時間をかけて確実に結論を導く「政治ルール」確立の中で透明性の高い国会を機能させるこ
とだ。

 不特定絶対多数の人間社会には守るべきルールがある。国会が現状のように双方でルー
ルを無視して、遵守もせずに不作為に終始するなら国会の破たん(break down)宣告になる。
 回復責任は、国民の第三者機関に委ねられるだろう。政治の不毛は、必ず後年になって
国民の生活に降りかかってくるから、「今」を見過ごす訳にはいかない。

 

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