いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

「都」構想。 metropolis conception

2010-12-22 19:21:08 | 日記
 (1)地方自治体の首長は市民の直接選挙(直接民主主義)で選ばれて、市民の支持を背景
に掌握可能な適当な行政エリアで自らの政策理念を実行に移せるダイナミズムが魅力となっ
て、閉そく感のある国政からの転身がムーブメント(movement)のように相次いだ。

 名古屋市では、市民税10%の恒久減税を政策のプライオウリティ(priority)にして51万人
という圧倒的市民の支持を受けて当選した市長が政策実行、実現のために、政策理念を同じ
くする来年の県知事選に立候補を予定する有力な現衆院議員と連携して「中京都」構想の政
策理念を打ち出している。名古屋市長も、その前は衆院議員だった。

 (2)前自民党政権時代から、地方自治体の過疎化対策と行政区域の集約による行政の効
率化、財政健全化をはかって、地方自治体の合併を優遇策を盾に積極的に推進してきた。
 地方自治体では、過疎化問題、産業の中央一極集中の税収不足で自治体運営も苦しくて、
財政破たんの自治体もでてきた。

 経済界には、意思決定の迅速化、経済活動、消費行動の受け皿の需要キャパシティの拡大
、経済効率を目論んで、かねてから日本をいくつかの行政区域に大分轄する「道州制」の考え
があった。経済効率化、地方切り捨ての道州制思考には、地方の地域自治吸収、崩壊への
危惧もあって、大きなうねりとはなっていない。

 (3)大阪府の知事が、府と市がそれぞれの行政運営の中で重複内容も多く、ムダ排除、行
政の効率化で地方財政の健全化をはかるために「都」構想(metropolis conception)を打ち
出している。大阪府も関空事業の大きな負債を抱えて、財政的にも切迫したところがあり、
打開のための府と市が合体しての「都」構想だ。

 大阪府の「都」構想は、行政権限を一極集中にするため、何かと政治手法、理念で対立す
る府知事と市長間で合体構想が進展せずに、関西地域の自治体連合組織が最近に発足し
た。府知事の「都」構想は、地域を「特別区」に区分けしての自治体合体構想だ。

 (4)名古屋市、愛知県の「都」構想は、県知事選立候補者(衆院議員)の政策提言のひと
つで全容はあきらかになっていないが、市長と政策連携して当初は行政権限を二分轄(現
知事と市長)して、地方を「地域委員会」に権限を委譲するものであったが、その後、大阪
府知事の「都」構想との連携をはかるため、行政権限の一極集中化に転換している。

 (5)名古屋市の市民税10%恒久減税政策は、その後の地方自治体(市町村)の市民税
等減税の「流れ」を加速させて、地方自治に革新的な役割を果たした。(先駆的な名古屋
市は議会との対立で1年限りの施行、現在議会リコール決定)

 「道州制」も「都」構想も、行政運営の重複によるムダ削減、行政の効率化(人、カネ、組
織)による地方財政の健全化を推進する、地方自治の現状打開するものではあるが、反面、
行政のスピード化、効率化による市民サービスの低下、地方過疎化の復興ではなく切り捨
てにつながるものでもあり、「首長」の資質、理念、政治手法、リーダーシップの如何(いか)
んによっては、反比例効果も、反動も予測されるだけに、そのためには十分で広い議論、
分析、検証と市民の行政参加、監視が必要不可欠だ。

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