いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

首相と財務相のさや当て。 rivalry in love between the premier and the secretary of treasury

2016-01-14 19:38:39 | 日記
 (1)麻生元首相は問題発言も多く、言い回しやふてぶてしい態度から印象もいいとは思えないけれども、安倍首相は副総理兼財務相の内閣の要として起用し続けている。
 首相経験者でどうみても唯我独尊、自信過剰ついでに自我の強い人物が自分よりも随分と若い安倍首相に従ってつかえるというのもよくわからない政治の世界の不思議だ。

 何かの紹介で麻生さんと安倍さんは遠戚関係であると書いてあるのを見て、そうかとも思った。深いところでは気心が通じていて、安倍首相としては麻生さんの元首相としてのところかまわずの軽い問題発言もふてぶてしさも内閣の重し、防波堤として役に立つと思っているのかもしれない。

 (2)麻生さんとしても首相経験者として、見かける性格、性分からしても自分より若い安倍首相のもとにつかえることなどしないようにみえるが、すんなりと従っているところなど本当のところはよくわからない関係というのが本音だ。

 安倍政権になって日銀総裁にリフレ理論の黒田東彦さんを起用して、大胆な金融緩和策を主導してアベノミクスとして円安株高効果を招き経済回復基調を演出したのも、本来担当の麻生財務相ではなくてそれを差し置いて安倍首相、官邸の頭ごなしの経済政策であり、安倍政権での麻生財務相の存在感は薄いという印象だ。

 (3)ほとんど財政、金融、経済政策で前面に出てくるのは安倍首相自らであり、安倍首相、官邸1強といわれる所以(ゆえん)である。
 15年10月消費税10%引き上げも財務相としては厳しい財政運営、財源確保のために実施を主張したがあっさりと安倍首相に17年4月まで先送りされ、17年4月の軽減税率導入問題でも財務相としては税収効果を減らす導入に反対の立場から一旦は還付金方式を主張したが、これも公明党との選挙協力を重視する安倍首相、官邸にあっさりとくつがえさせられて軽減税率導入が決定した。

 (4)残ったのが導入による財源1兆円規模の確保問題というツケだけが麻生財務相の責任として浮上しているという話だ。どうみても踏んだり蹴ったりの麻生財務相の立場で気の毒にもみえる。

 そうして安倍首相、官邸にいいようにやられっぱなしで従ってばかりかと思っていたら、新年早々招集された通常国会の12日の衆院予算委員会で軽減税率導入の財源確保問題で安倍首相が税収増を充てる考えを示したのに、あとで答弁に立った麻生財務相が「(税収の上振れは)経済状況によって下振れすることもあり、安定財源とは言えない」(要約報道)と安倍首相とは相容れない答弁をしてみせた。

 (5)内閣不一致を露呈して野党は納得せずに、内閣として統一見解を文書で示すハメになった。本来なら消費税10%引き上げ時の軽減税率導入という政府としての重要な政策決断で、首相と財務相が真っ向から違う見解を衆院予算員会の答弁で述べるなどとはあり得ない不文律であり、この国の政策決定プロセスはどうなっているのかあきれるばかりのそれ以上の不安と不信と疑念が強い。
 安倍首相、官邸1強とかで政治のタガが外れて、野党、国民がなめられている証しだ。

 (6)谷垣自民党幹事長は、先の北朝鮮の水爆実験強行発表でも首相官邸からの与党自民党への情報伝達に不満を述べており、賃上げ、企業業績の回復が続けばそれでいいのか、国の政治とは首相の頭ごなしの統治で首相と財務相がさや当てをする(rivalry in love between the premier and the secretary of treasury)ようなものではなく、タガの外れた政治に危惧と不安を強くする。

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