(1)世界の政治、経済図式(diagram)は中国をはじめ新興国の台頭でこれまでのG7先進国主導から中国、ロシア、南米などを含めたG20に主導力が移って、これに米国が中東、北アフリカ紛争から手を引いていわゆるG0(ゼロ)時代を迎えたといわれている。
かっての米ソ冷戦時代からソ連の崩壊により米国が唯一の覇権国家として世界に影響力を誇示してきたが、G0時代では世界は集団指導体制に移りつつある。米国一極からNATOを中心とした欧米連合体がロシアによるウクライナ・クリミア半島の併合に対して一致結束して対抗して、シリア、北アフリカ紛争には米国に代わって(米国もシリアIS空爆には参加)EU諸国が中心となって反政府勢力、テロ組織に対する攻撃を主導している。
(2)集団指導体制は1993年に欧州大陸の仏、独、英など28か国が政治、経済、平和の壮大な実験場としてのEU(欧州連合)を結成して、共通貨幣(ユーロ)を導入して人、カネ、モノの「移動の自由」の基本理念のもとに欧州統合を進めてきた。
近年のギリシャ政府の財政破たんにイタリア、スペインの財政危機などEU内経済格差が顕著になって、EU内の富める国(独、仏、英)と富めない国との国民意識にも感情対立が芽生えて財政支援、救済責任条件を巡って国民的対立に発展している。
(3)かねてからEU内東欧からの自由な移民受け入れを巡って英国が強く反発してEU離脱を示唆していたが、今回の中東、北アフリカ紛争地域からのEUへの大量難民受け入れではEUの基本理念である「移動の自由」を制限する声もあがり、EUとしての「統合の深化」に亀裂が生じ始めている。
英国ではEU残留支持が52%(直近調査機関発表)と過半数を占めているが離脱48%ときっ抗しており、キャメロン首相は今年国民投票実施で決着をはかる意向で英国の動向が注目される。
(4)ただ紆余曲折はあってもEUのアイディンティティ(identity)が大きく揺らぐということはなく、経済堅調のドイツ、西側陣営で米国とは一線を画する独自主義のフランスなど欧州の自由で大様な風土、気風そのままに危機感がストレートに伝わってこない不思議なところはある。
政治、経済、平和の壮大な実験場としての可能性は意味、意義のある統合であり、先例として団結に向かうことを期待したいものだ。
(5)ASEAN(東南アジア諸国連合)は今年に東南アジア共同体(AC)を結成する。政治、安全保障、経済、社会、文化を柱とする共同体構想(a plot of asean collective)で、政治、経済、平和の協力、結束強化を目指すアジアのEU化だ。
経済堅調のシンガポールはじめ10か国で構成されて天然資源も豊富で人的能力の高い国、地域もあり、今後の経済成長への期待も高い。アジアでは日本と中国が高い能力の経済国として存在感を示しているが、東南アジアが共同体として統合することはアジア安定、経済強化にとって有効な手段となるだろう。
アジアの人、カネ、モノが自由に移動することになれば、資源、人の潜在能力の高さからEU以上のダイナミズム(dynamism)が期待できる。
(6)かっては東南アジアでは軍事独裁国家が民意に反して人権抑圧政治を支配して今でも民族対立、政治思想対立の不安を抱えているが、ミャンマーでは軍事独裁政権から民主的な総選挙で民主化主導のアウンサンスーチーさん率いる政党が圧勝して、今年前半にも国民的に支持された政権樹立で政治運営にあたる見込みが強い。
政治的変化は加速しており、今年の東南アジア共同体の実現でアジアの政治、経済、平和の強力なダイナミズムになるだろう。
(7)EUの壮大な実験場としての先例がアジアにも影響を及ぼして、これが世界的な政治、経済、平和統合のダイナミズムに発展していけば紛争、内戦が続く中東、北アフリカにも刺激、影響をもたらす期待もできる。
本家のEUでは国家間の格差問題が統合、団結を阻害し始めているが、そういう意味でも低開発国の多い東南アジア共同体構想は協力、団結の固さを見せてくれるのではないのか、期待は大きい。
かっての米ソ冷戦時代からソ連の崩壊により米国が唯一の覇権国家として世界に影響力を誇示してきたが、G0時代では世界は集団指導体制に移りつつある。米国一極からNATOを中心とした欧米連合体がロシアによるウクライナ・クリミア半島の併合に対して一致結束して対抗して、シリア、北アフリカ紛争には米国に代わって(米国もシリアIS空爆には参加)EU諸国が中心となって反政府勢力、テロ組織に対する攻撃を主導している。
(2)集団指導体制は1993年に欧州大陸の仏、独、英など28か国が政治、経済、平和の壮大な実験場としてのEU(欧州連合)を結成して、共通貨幣(ユーロ)を導入して人、カネ、モノの「移動の自由」の基本理念のもとに欧州統合を進めてきた。
近年のギリシャ政府の財政破たんにイタリア、スペインの財政危機などEU内経済格差が顕著になって、EU内の富める国(独、仏、英)と富めない国との国民意識にも感情対立が芽生えて財政支援、救済責任条件を巡って国民的対立に発展している。
(3)かねてからEU内東欧からの自由な移民受け入れを巡って英国が強く反発してEU離脱を示唆していたが、今回の中東、北アフリカ紛争地域からのEUへの大量難民受け入れではEUの基本理念である「移動の自由」を制限する声もあがり、EUとしての「統合の深化」に亀裂が生じ始めている。
英国ではEU残留支持が52%(直近調査機関発表)と過半数を占めているが離脱48%ときっ抗しており、キャメロン首相は今年国民投票実施で決着をはかる意向で英国の動向が注目される。
(4)ただ紆余曲折はあってもEUのアイディンティティ(identity)が大きく揺らぐということはなく、経済堅調のドイツ、西側陣営で米国とは一線を画する独自主義のフランスなど欧州の自由で大様な風土、気風そのままに危機感がストレートに伝わってこない不思議なところはある。
政治、経済、平和の壮大な実験場としての可能性は意味、意義のある統合であり、先例として団結に向かうことを期待したいものだ。
(5)ASEAN(東南アジア諸国連合)は今年に東南アジア共同体(AC)を結成する。政治、安全保障、経済、社会、文化を柱とする共同体構想(a plot of asean collective)で、政治、経済、平和の協力、結束強化を目指すアジアのEU化だ。
経済堅調のシンガポールはじめ10か国で構成されて天然資源も豊富で人的能力の高い国、地域もあり、今後の経済成長への期待も高い。アジアでは日本と中国が高い能力の経済国として存在感を示しているが、東南アジアが共同体として統合することはアジア安定、経済強化にとって有効な手段となるだろう。
アジアの人、カネ、モノが自由に移動することになれば、資源、人の潜在能力の高さからEU以上のダイナミズム(dynamism)が期待できる。
(6)かっては東南アジアでは軍事独裁国家が民意に反して人権抑圧政治を支配して今でも民族対立、政治思想対立の不安を抱えているが、ミャンマーでは軍事独裁政権から民主的な総選挙で民主化主導のアウンサンスーチーさん率いる政党が圧勝して、今年前半にも国民的に支持された政権樹立で政治運営にあたる見込みが強い。
政治的変化は加速しており、今年の東南アジア共同体の実現でアジアの政治、経済、平和の強力なダイナミズムになるだろう。
(7)EUの壮大な実験場としての先例がアジアにも影響を及ぼして、これが世界的な政治、経済、平和統合のダイナミズムに発展していけば紛争、内戦が続く中東、北アフリカにも刺激、影響をもたらす期待もできる。
本家のEUでは国家間の格差問題が統合、団結を阻害し始めているが、そういう意味でも低開発国の多い東南アジア共同体構想は協力、団結の固さを見せてくれるのではないのか、期待は大きい。