(1)北朝鮮がICBM級のミサイル1発をロフテッド軌道(最高高度約5700キロ)で打ち上げ日本海の日本のEEZ内に着弾した模様だ。北海道・渡島大島まで約200キロという危険な距離だった。政府は周辺海域、空域を航行する船舶、航空機に注意を呼び掛ける警報、情報を出したが、だからといってその時どう安全対応ができるものではない。
(2)政府も何もしないよりはましという程度のもので、北朝鮮のひんぱんなミサイル日本海打ち上げに何とかできないかの思いは強い。岸田首相は今回の事態を受けて「国際社会への挑発をエスカレートさせる暴挙だ」(報道)と非難し「日米韓の連携を緊密に図っていきたい」と述べている。
(3)毎回同じくり返しで、こちらも何もしないわけにはいかないので首相談話をだして抗議するしか手はないようだ。日米韓の北朝鮮経済制裁も国内事情、情報がわからないまま、金正恩体制の中では国民生活は別にしてどれだけ政権に効果があるのかわからずに、北朝鮮がヘコタレた様子はうかがえない。
(4)北朝鮮のひんぱんなミサイル打ち上げの挑発に打つ手がない日米韓だ。米トランプ前大統領が金正恩総書記と米朝首脳会談を実施していた頃の方が北朝鮮は核実験、ミサイル打ち上げを自粛しており、まだ情勢は落ち着いていたといえる。
一方でトランプ前大統領がロケットマンと呼んだ金正恩総書記との勝算の道筋もない場当たり的な北朝鮮政策が金正恩総書記を勇気づけて、その後の頻度を増したミサイル打ち上げによる挑発につながっているともいえて、今年には核実験に踏み切るとの観測もある。
(5)米国の出方が重要だ。バイデン大統領はトランプ前大統領のNATOからの中国、アジア重視政策から一転NATO重視に接近、政策の変更がみられ、現在は露のウクライナ軍事侵攻への対応に迫られて(本日バイデン大統領はキーウを電撃訪問した)、アジア、北朝鮮問題には関心が低い傾向はみられる。
そうした米国の出方に対して北朝鮮が着々とミサイル打ち上げをくり返して軍事力を誇示して、今回のICBM級ミサイルは通常航路ではアメリカ本土すべてが射程圏内に入るといわれる性能精度を示した。
(6)北朝鮮ミサイル打ち上げ挑発問題は日韓両国が当事国の重要問題であり、北朝鮮経済制裁継続の効果が表立って見られないなかで、外交努力も含めて日韓両国が共同して対処しなければならない重要政治軍事、安全保障課題だ。
(7)拉致問題もあわせて北朝鮮問題の「重み」をよく理解して、日本と韓国がより良好関係、協力関係を増進させて、北朝鮮がそう出るなら北朝鮮の挑発に強いメッセージを送りつける必要がある。