(1)露によるウクライナ軍事侵攻は2月24日で1年を迎えた。両国とも戦争継続に不退転の危険な姿勢を示しているが、この戦争が未来永劫(えいごう)続くものではない。5年、10年と続くことも考えにくく(対立はあっても)、今年一杯が将来のウクライナ戦争の結末、行く末を決める正念場を迎えることになるだろう。
(2)露プーチン大統領はウクライナ軍事侵攻1年で制圧したのは、あるいは戦況有利とみられるのはこれまで親露派勢力が支配していたウクライナ南部の露国境沿いの州、地域で、広いウクライナ国土の多くは露からのロケット弾攻撃でインフラ、国民生活に破壊をみせつけているが侵攻制圧にはいたっていない。
(3)ウクライナへの米、NATOなどの武器供与、財政支援は拡大をみせており、今後ウクライナ軍が供与された武器を習熟して使いこなすことになれば反転攻勢の可能性は高く、戦況はこう着状態になる可能性は大きい。
戦争がこう着状態になれば侵略、侵攻した側の軍事力、軍事費、補給維持に負担も大きくなり、こうした段階で停戦、休戦を模索する判断も考えられて出てくる。
(4)プーチン大統領はウクライナの親露派勢力支配下の州、地域を露に編入する宣言、承認をしており、完全制圧することでこの成果をもって何らかの停戦に向けた戦略に出ることも考えられる。
そのためには露国内からのロケット弾攻撃によるウクライナ破壊にそして核攻撃を示唆して露に有利な戦況をつくりだして交渉を有利に運びたいところだろう。
(5)露によるウクライナ軍事侵攻は1年を経過して露の軍事侵攻に表立ってはっきりと有利な状況が見られない中で、欧米首脳のキーウ訪問が相次いでウクライナ支援、結束を表明して露プーチン大統領の暴挙に対して対抗、抗戦する不退転の姿勢を示している。
ウクライナが欧米などの支援を受けて軍事、経済で持ちこたえることが予想される中で、プーチン大統領としてもこのままズルズルと戦争こう着状態を続ければ露国内での評価、支持にも影響が出ることも考えられて、プーチン大統領が侵攻国としてどういう打開策を示すのか、取るのかが今年1年の行く末の分かれ道になるだろう。
(6)プーチン大統領としてはまずはウクライナ親露派勢力支配下の州、地域の制圧を確実なものにしてウクライナ軍事侵攻の第1ラウンドの手打ちをして、今後さらに軍事侵攻の立て直し、機会をうかがうのが生きる道だ。
第2ラウンドなどあってはならないが、米、NATO、ウクライナが戦略的結束でどう対応するのか重要な局面になるだろう。