いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

8月の迷走。 vagrant August

2025-03-08 21:00:31 | 日記
 (1)今年の日本の政治は「ベルリンの壁」崩壊を思わせる革命的な動きを感じさせる。国民民主党が先の衆院選で手取りを増やすとして「103万円の壁」所得税負担開始の見直しを主張して、国民の支持を受け議席を4倍増に伸ばした。
 自民党裏金還流問題への国民批判を受けて就任した石破首相は当時は国民の支持率も比較高かったこともあり、就任早々に解散総選挙を実施したが裏金逆風で立憲、国民民主の議席増で敗北し、政権は維持したが少数与党となり政権、国会運営には野党の協力が必要な政治状況を招いた。

 (2)国民の支持を背景に国民民主は自公与党と「103万円の壁」見直し協議を進めたが、国民民主178万円引き上げに対して地方税減収(7~8兆円)への影響を抑えたい自公123万円と開きが大きく協議が進まずに、結局は自公が独自に160万円に引き上げる法案を国会に提出して協議は物別れに終わった。 自公が維新との高校授業料無償化で合意して来年度予算案成立にメドが立ったことがある。

 (3)国民からみれば「103万円の壁」は社会弱者対策ではあるけれど、国民批判の圧力は限定的という見方が自公与党にはあったのではないか。国民民主側の恒久的な財源保障がなかったことも要因だ。自公与党はかねてから自民に近い維新との協力の方に目を向けた。
 難病治療など高額な医療費の患者負担の「高額療養費制度」について政府の医療費負担が増え続ける中で、石破首相は一貫して今年8月の負担上限額の引き上げは実施すると表明してきた。

 (4)社会保障費負担が増え続けることは国民にとっても投資(税負担)が増えることではあるが、高令化社会を迎えて誰もが直面する、抱える問題であり、高額療養費負担は押さえたいのが本音だ。
 石破首相は国家財政赤字を減らすプライマリーバランス実現方針の中で8月の高額療養費負担上限額の引き上げを譲らずにきたが、来年度予算案が衆院通過後、参院審議になって突然に8月の上限額引き上げを見送ると表明した。
 同引き上げ検討は3度の見直し、迷走のあげくに引き上げ見送りとなった。「103万円の壁」と違ってこちらは夏の参院選を控えて自民党執行部、参院自民が慎重姿勢(報道)だったことが石破首相の3度目の正直の引き上げ見送りにつながった。

 (5)103万円の壁と高額療養費での自民党の対応、顔色を見ての石破首相の判断の違い、8月の迷走(vagrant August)だ。
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