(1)何とも奇妙な会談だった。首相(党代表)が、肩書が取れて一議員(本人は「一兵
卒」)となった元幹事長と当人の「政治とカネ」の問題の対応策(政倫審出席による説明責
任)について、二人だけの話し合いを行った。
現幹事長の説得工作が門前払いを受けて不調に終わっての、首相(党代表)自らが元幹
事長の説得に乗り出した。多分に首相のリーダーシップ不足が顕在化している政治状況を
意識しての、首相(党代表)の説得会談だった。
何とも奇妙なのは、相手は一党員、議員だからそれ以上の何ものでもないけれど、説得
を申し出たのは首相、党代表の肩書を持つ「法人格者(juridical impersonation)」であった
ことだ。
当然ながら、法人格者としての「首相、党代表」が私人ではなく法人格者として、一議員
と政治課題について公式に話し合うなどということは、普通はあり得ない。
政党というのは、法的根拠のある公認(authorization)された政治組織体だから、法人
格者としての「党代表」の行動は「権限」に裏付けられた、拘束された公式なものだ。
一議員と権限に裏付けられた拘束力を行使して会うなどとは、政治力学のインバランス
(imbalance)を招いて、公正ではないから通常はやらない。
(2)そこで昨日の首相(党代表)は「私人(private individual)」として、国民の80%が復
帰を望まず、国会での説明責任(accountability)があると回答している一議員の元幹事
長の「政治とカネ」の問題について、内閣支持率低迷、野党対策の障害になっていると判
断しての元幹事長の説得にあたった会談ということになる。
だから二人っきりであっても一向にかまわないけれど、結局90分も話し合って決裂した
結果を踏まえて、これをメディア、専門家の中に首相(党代表)の意向を一議員が無視し
て従わない政党とはいったいどういう形態をしているのか、政党の体を成していないとの
論調が目についた。
そもそも首相(党代表)が法人格者として拘束力を持って会っていないのだから、私人
同士のよもやま会談に与えるようなメディアの評価は適当ではない。むやみに調整段階
での政党内不一致、リーダーシップ不足を露呈するだけのものだった。なんとも奇妙な会
談だったのだ。
(3)党内を二分する主流(首相グループ)と反主流(元幹事長グループ)の対立構図から、
党解体分裂の危惧も視野にあるとはいえ、政権政党としてその不利益、可能性は小さい
と見られている。
(4)首相(党代表)グループの思惑の間違いは、私人同士のよもやま会談にしてしまった
ことだ。公認された政治組織体としての政党の代表者(法人格者)として、権限にもとづい
た拘束力のある位置づけの会談で、説明責任か意向に従えないないなら離党か相応の
判断を求めるべきであった。
元幹事長には、こうした法人格会談の拒否や無視や逃避は、政治責任の回避につな
がるので出来ない。
そういう「政治環境」の整備の中で、決着すべき政治家としての「政治とカネ」の問題で
あった。強制起訴されて司法の場で説明、弁明する「被告」とはおのずから立場は異なる。
(5)首相(党代表)は、沖縄訪問・移設問題、諫早湾開門、元幹事長の説得と政治環境
も整備しなくて、拙速な行動、判断が目につく。参院選挙中の消費税増税論議もそうだ。
党内二極化にねじれ国会で、政府、政党、首相の政治能力、統治能力、調整力が問わ
れる重い政治状況のまま年末を迎える。
日本をどうしようとするのか、まずは全国会議員の問題であり、国民も年末年始に来る
べき1年(首相交代、政界再編、解散総選挙)を考えてみたいものだ。
卒」)となった元幹事長と当人の「政治とカネ」の問題の対応策(政倫審出席による説明責
任)について、二人だけの話し合いを行った。
現幹事長の説得工作が門前払いを受けて不調に終わっての、首相(党代表)自らが元幹
事長の説得に乗り出した。多分に首相のリーダーシップ不足が顕在化している政治状況を
意識しての、首相(党代表)の説得会談だった。
何とも奇妙なのは、相手は一党員、議員だからそれ以上の何ものでもないけれど、説得
を申し出たのは首相、党代表の肩書を持つ「法人格者(juridical impersonation)」であった
ことだ。
当然ながら、法人格者としての「首相、党代表」が私人ではなく法人格者として、一議員
と政治課題について公式に話し合うなどということは、普通はあり得ない。
政党というのは、法的根拠のある公認(authorization)された政治組織体だから、法人
格者としての「党代表」の行動は「権限」に裏付けられた、拘束された公式なものだ。
一議員と権限に裏付けられた拘束力を行使して会うなどとは、政治力学のインバランス
(imbalance)を招いて、公正ではないから通常はやらない。
(2)そこで昨日の首相(党代表)は「私人(private individual)」として、国民の80%が復
帰を望まず、国会での説明責任(accountability)があると回答している一議員の元幹事
長の「政治とカネ」の問題について、内閣支持率低迷、野党対策の障害になっていると判
断しての元幹事長の説得にあたった会談ということになる。
だから二人っきりであっても一向にかまわないけれど、結局90分も話し合って決裂した
結果を踏まえて、これをメディア、専門家の中に首相(党代表)の意向を一議員が無視し
て従わない政党とはいったいどういう形態をしているのか、政党の体を成していないとの
論調が目についた。
そもそも首相(党代表)が法人格者として拘束力を持って会っていないのだから、私人
同士のよもやま会談に与えるようなメディアの評価は適当ではない。むやみに調整段階
での政党内不一致、リーダーシップ不足を露呈するだけのものだった。なんとも奇妙な会
談だったのだ。
(3)党内を二分する主流(首相グループ)と反主流(元幹事長グループ)の対立構図から、
党解体分裂の危惧も視野にあるとはいえ、政権政党としてその不利益、可能性は小さい
と見られている。
(4)首相(党代表)グループの思惑の間違いは、私人同士のよもやま会談にしてしまった
ことだ。公認された政治組織体としての政党の代表者(法人格者)として、権限にもとづい
た拘束力のある位置づけの会談で、説明責任か意向に従えないないなら離党か相応の
判断を求めるべきであった。
元幹事長には、こうした法人格会談の拒否や無視や逃避は、政治責任の回避につな
がるので出来ない。
そういう「政治環境」の整備の中で、決着すべき政治家としての「政治とカネ」の問題で
あった。強制起訴されて司法の場で説明、弁明する「被告」とはおのずから立場は異なる。
(5)首相(党代表)は、沖縄訪問・移設問題、諫早湾開門、元幹事長の説得と政治環境
も整備しなくて、拙速な行動、判断が目につく。参院選挙中の消費税増税論議もそうだ。
党内二極化にねじれ国会で、政府、政党、首相の政治能力、統治能力、調整力が問わ
れる重い政治状況のまま年末を迎える。
日本をどうしようとするのか、まずは全国会議員の問題であり、国民も年末年始に来る
べき1年(首相交代、政界再編、解散総選挙)を考えてみたいものだ。