いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

近代政治の中のロシア外交。 Russian diplomacy

2010-12-26 19:42:48 | 日記
 (1)日本外交がなめられているのか北方領土返還を巡ってロシア高官が、日本は2島返還
交渉で実利を取る方が賢明で現実的だという節のバイ・バイ(両国痛み分け)発言で、日本
政府の4島返還主張を否定してみせた。
 ロシア政府は、第二次世界大戦以後に日本固有領土の4島を実効支配して、この支配をロ
シア戦勝記念日として法制化して自国領土化を発信してみせた。
 戦勝記念日として法制化してまで北方4島の領土化を整備しなければ国内事情に整合性が
取れないところに、他国(日本)固有領土の「占領支配」の裏返しを発信する不合理性
(unreasonableness)を示すものだ。

 こういうロシア政府の強硬姿勢の中で、あたかも自国(ロシア)の主張に正当性があるがご
ときに相手国(日本)に恩を売るような両国痛み分けの2島返還交渉の実利性を持ちだして、
日本の譲歩外交を瀬踏みするのは大国としていただけない。

 確かに日本政府、政党の中には、4島返還交渉が暗礁に乗り上げて糸口すら見い出せな
い現状に、2島返還を優先すべきだとの意見もある。しかし、これは日本固有の領土の占領
支配を認める不条理外交(unreasonableness diplomacy)であり、近代政治史(modern
politics)においてはもはや是認することはできない。
 4島返還は日本政府の当然の唯一の正当な権利である。

 (2)自民党政権時代から日本外交は交渉ヘタと言われ続けてきて、政権交代による民主
党政権では歴史的な外交交渉の蓄積財産、ノウ・ハウの継続性が途切れた不連続線、一
貫性のなさの足元を外国政府に見切られての不手際外交が続く。ほとんど不作為による外
交能力、交渉能力の欠如が明らかになっている。

 ロシア大統領の初めてになる北方領土の訪問による自国領土化戦略も、事前のロシア政
府側からのアドバルーン発信がありながら、そこまでは「ない」との悠長な期待感のまま現
実のものとなると、ロシア大使を召喚しての首相を筆頭に現地情報収集の不徹底の責任を
押し付けて、大使交代といううろたえ振りだった。

 冒頭のロシア高官の発言にも見られるように、ロシア政府に好きなように動かれての日本
外交が右往左往する軽さだ。ますますロシア政府の思うツボにはまって、24日にはロシア
大統領が実効支配し領土化整備を進めている北方4島は返還に応じない考えを強調して、
こともあろうに北方領土を日ロ共同経済活動による開発協力関係の意向を示した。
 都合のいい、見下した独善的な話だ。

 (3)ロシア政府も、北方領土に限らず日本の経済力、技術力、経済協力は必要不可欠の
ものと考えているのは確かだ。日本の経済力を引き出すための先手先手のロシア外交だ。
 「占領支配」を戦勝記念日の法制化で自認するロシア政府の近代政治史(modern
politics)の不条理政策(unreasonableness policy)をテコにして、やはり日本の経済力、
技術力、経済協力を「北方4島返還」の政策課題に向けての日本外交の原動力として、
日本政府のロシア外交対策に力を向ける必要がある。
 ロシア大使の交代ぐらいでは、ポジティブな外交展開には結びつかない。

 (4)占領支配の返還交渉は、良きにつけ悪しきにつけ72年の沖縄返還が前例としてあ
る。米ロの政治体制の違いはあるが、38年も経て一方の政治体制の大国覇権主義(ロシ
ア)による占領支配が解決に向けて進展しないのは、日本外交の政治戦略の欠如による
ものだ。

 冷戦時代を経て、世界は政治思想対立史から経済協力基調のグローバル化が進んだ。
米国が核兵器のない世界を宣言して、近代政治思想史としていつまでも占領支配が法制
化されるような偏向の時代ではない。

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教育の日常と聖域。 daily sanctuary of education

2010-12-25 19:43:46 | 日記
 (1)教育機関(大学、高校、中学、小学校)の社会における役割、立場(ハード面)は、
時代感覚、変遷にともなって順化、同化、変化、対応して当然のものだが、ソフト面の学問
そのものは普遍的な知識、真理、真実探求のもので、恒常的、一貫性、継続性の中にある。

 教育、教授する側の人材は、教育、教授の仕方、方法には、教育水準の中であれば独自
性、工夫があって当然だが、教育、学問の普遍的価値については時代感覚、変遷に流され
ない確固なるもの信念、信条が求められる。

 とは言っても、教育、教授する側の人材も時代感覚、変遷の荒波、または「子育て不在」
の親権責任希薄の中で成長してきた影響は人格形成に避けられないと言われる。だから資
格、任命、選抜試験のハードルが設けられているのだ。

 (2)近年のメディアに露出する教育機関に従事する人材、教員の何とレベルの低い低俗行
為、犯罪行為の目に付くことかだ。犯罪行為だから低俗で劣悪なのは当然だが、パラドック
ス(paradox)としての普遍的な知識、学問の教育、教授に従事する立場の者との余りの落
差に事態の深刻さ、深化が浮かび上がる。

 09年に精神疾患で休職した公立学校(小、中、高)教員が5500人と17年連続の増加
で過去最多を記録した。(報道) 「17年連続」というところが、事態の深刻さ、深化を示し
ている。
 初等、中等教育の教育内容については、「詰め込み」から「ゆとり」教育へ、学級定員の
見直しと教育方針(指導要綱)の変更は見直されてきたが(教育効果とは別もの)教育す
る人材の「教育」については、効果的な取組み効果がなされてこなかった現実の反動が
「17年連続」だ。
 手を打ってこなかったかどうか以前に、教員資質の恒常的劣化に危機管理が不十分で
あったことは間違いない。

 (3)教員も「人の子」だと言って、現在社会に同化することを人間性の尊厳だと見誤った教
育論理がある。教育とは、普遍的価値(希少価値)を成長過程の人間に教育、教授する特
別の環境の中に生活がある。だから、資格、任命、選抜もあれば、自ら望んでその環境の
中に価値を求めている目的意識、意欲を本来は持っている。

 純粋な教育目的意識、意欲は、現在社会とは一線を画して同化することはない価値観で、
これを社会差別とか区別と考える現在の教育環境、取組み方に教育の混乱の元凶はある。

 いつのまにか、教室内に教員の事務デスクはなくなり、運動会は日曜の自由な発想展開
から平日のレギュラーに移行されて学校教育が教員の週間レギュラータイムテーブルに組
み込まれていった。
 この教育思考の「偏り」が学校教育に「17年」の恒常的劣化と、結果としての「放置」を甘
受してきたのだ。

 (4)学校教育事件は、作為であったり不作為であったり、教育を受ける側(生徒)に向けら
れたものが圧倒的だった。教員、教育は「自分」を見つめる前に、目の前にいる成長過程の
「存在」に能力と知力を向けるべく「日常」聖域(daily sanctuary of education)を取り戻す必
要がある。教育の力、援助を求めているのは、教員「自ら」ではなく、目に前にいる彼らだ。

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薄日のクリスマス。 historic inheritance and soft beams

2010-12-24 19:55:40 | 日記
 (1)ビートルズは、音楽の革新的な「やり方」、楽曲創作・バンド演奏・コード進行アン
サンブル(ensemble)で独自の「文化」を世界に広めて、行動、発言、ファッションでも広
く「ビートルズ文化」を打ち立てた。
 すでに「ビートルズ」が文化遺産(cultural inheritance)として現代社会においても広
く認知されている。
 優れたビートルズ楽曲はすでに「スタンダード(standard)」としての歴史遺産として、
いつの時代においても多くのミュージシャン、聴衆に歌い継がれ聞かれてきている。ビ
ートルズ・ナンバーはクラシック・ジャズなど異なるジャンルでも積極的に取り上げられて
いる。

 英政府は本年2月に、ビートルズが一時期レコーディングスタジオとして本拠としていた
「アビイロード・スタジオ」を歴史遺産(historic inheritance)に指定し、さらに今、アビイロ
ード・スタジオ前の「横断歩道」も歴史遺産に指定し保存することにした。
 アビイロード・スタジオ前の「横断歩道」は、アルバム「アビイロード」のジャケット表紙の
写真でビートルズの4人が縦一列になって大股で向かいの歩道に向かって歩いているポ
ーズとして使われた場所だ。
 ポール・マッカートニィーだけが白いコスチューム(costume)に裸足で歩いていて、これ
がポール死亡説などと一部伝えられたいわくつきの写真、横断歩道だ。

 以後40年にわたって、ロンドンの観光名所となって多くの観光客がビートルズを真似て
横断歩道をわたってきた。チューリップもその横断歩道を渡って、74年にアビイロード・ス
タジオでアルバム「ぼくがつくった愛のうた」をレコーディングしている。

 スタジオ経営が苦しくなって、アビイロード・スタジオ売却話も持ち上がったがポールも
含めて存続運動が高まり、文化遺産として英政府が保存することになった。
 英国イングランド地方は、王室制度の中で古典、古式への造詣も深く都市と自然との
つきあい同化にも優れて37万以上の歴史遺産が指定されているが、「横断歩道」の指
定は異例のこと(報道)だ。

 身近な文化資産として、日常の中に遺産を残すことは夢のある生活の原動力(motive
power)となる。生活環境快適化に向けた都市づくりのひとつのパターンを示している。
 沖縄でも、将来的に(近い将来であるべきだが)返還が求められる普天間基地跡地も
平和利用、遺産として財政支援、活用が望まれる。

 (2)クリスマス・イヴ。今では宗教行事にかかわらず世界文化イベント祭りとして広く市
民の中に浸透している。かって日本では、ケーキ屋さんが営業拡大のために盛んにクリ
スマス宣伝をして、今ではこの季節になるとデパ地下のケーキ屋にはどこも長い行列が
続く。
 経済成長が見られた頃には、そこらじゅうの家庭の庭先、玄関には華やかなイルミネ
ーションが輝いて、さすがこれはちょっとミスマッチに見えたものだ。今年は景気の回復
が鈍くて、それとちょっとやりすぎ疲れもあるのか家庭ではさすがにほとんど見かけなくな
った。経済不況の波、影響は、店内の「生け花」、クリスマスのイルミネーションのダウン
サイジングにはっきりと見てとれる。

 ①クリスマスに合わせてか、米国上院ではロシアとの新戦略兵器削減もようやく批准、
承認されて、核兵器のない世界に向けてまずはこれは小さな一歩を踏み出した。
 ②日本企業の12年大卒採用も9.3%が「増やす」に転じ、「減らす」の7.5%を3年
振りに上回った。
 ③11年税収見込みも41兆円とようやく大台に復活する見通しだ。

 クリスマス、正月と浮かれてばかりはいられない景気足踏みの今気分でも、「薄日」
(soft beams of sunlight)の話題も聞こえてくる。

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政治家のジョブ。 essentially job of statesman,woman

2010-12-23 19:20:27 | 日記
 (1)議院内閣制で国民には政治家、議員に安全、平和、生活、財産、権利の保障を委託す
るので、「知る権利」も保障されている。政治家、議員の仕事、能力は何かと言うと、その裏返
しで国民の付託に公正で公平な観点から、行政、立法、外交を機能させて条件の環境整備を
はかり、国民の信頼に最大限応えることだ。

 国会議員、政府、内閣には、基本的に結果として隠し事、機密などあってはならないし、国民
をあざむいて独善的な自己満足の政治にしてはならないのは当然の議院内閣制だ。
 結果はどうかと言うと、政治資金収支報告では適正化にほど遠く、疑惑解明もままならず、
議員の開き直りあげくの果てが自己防衛ばかりの党内権力闘争だ。
 外交では、内閣の不手際を隠すために機密守秘など持ち出して情報開示もせずに、外国政
府に足元を見られての押し付けられ一方的不利益関係が続く。

 (2)政府、内閣がひたすら隠そうとするから、知る権利の国民世論は開示を求める機運がまん
延して、ネット社会の多様性、不正義感が法律の網の目をくぐって情報は社会に流出する。
 社会も社会で、国民の安全、平和、生活、権利に影響力のあるものとして当然開示すべき
情報が、必要に迫られて社会に流出しただけのことで、機密情報の漏えいには一定の理解、
賛同は示しても、その元凶となる内閣の不手際、それを隠そうとする不適正な政治手法その
ものにはさして関心を示さない。平和慣れの気楽さだ。

 尖閣諸島沖ビデオ流出、ウィキリークスの外交公電のネット流出は、本来国民から付託を
受けた政府、政治家が国民に隠し事、あざむきなどあってはならない政治姿勢のはずが、実
は政治の裏ステージで自己満足の独善的なかけ引きをして時には国民に知らさないまま多大
な負担を強いていたことを明らかにした。

 (3)政治家、議員の仕事のもうひとつの大きな部分が、国の中、長期的、そして普遍的、
継続的な成長、発展のグランドデザイン(grand design)を示すことである。現在時点から、
将来、未来社会に向けても国のあり方についてその時々の国民の安全、平和、生活、権
利の保障について責任を持つ。
 「今」を乗り越えれば、あとの効果、解決は未来社会に付け送りすればいいという自己満
足的な無責任なものではない。

 (4)外交文書が一定期間(年限)を経て日米で開示されている。こちらは流出ものではなく、
法律にもとづいた国民の知る権利に広く応える制度によるものだ。
 政治家、議員はこういった制度のもとで、将来、未来社会に向けても政治責任が問われて
いる重い仕事だ。

 72年の沖縄返還に向けての交渉では、秘かに非核三原則の日本主権の及ぶ領土への
核兵器の持込み(搭載寄港)が密約されていたことが開示され、また巨額の米軍基地維持
費の負担が国民に知らされないまま約束されていた。
 すべて結果として、将来、未来社会の国民への大きな負担となって影響を及ぼしている。

 (5)最近になって、あらたに同外交文書開示で米軍施設改良移転費名目で6500万ドル
(当時)の日本側負担が明らかにされた。
 当時の国会でこの密約の存在が盛んに指摘されて、国会質問でも取り上げられていたが、
当時の政府、外務大臣は一貫してその「存在」を真っ向から否定してみせた。
 未来社会に不利益を付け送りするというあってはならない「厚顔」な外務大臣は、政治の
世界では実力者と言われ、後に首相も経験した政治家だったが、国民から負託を受けた政治
家としては「失格」であった。

 ①政治の機密、隠し事と、②情報開示と、③政治家の本来的仕事(essentially job of
statesman,woman)について考えさせられる、象徴的な1年であった。

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「都」構想。 metropolis conception

2010-12-22 19:21:08 | 日記
 (1)地方自治体の首長は市民の直接選挙(直接民主主義)で選ばれて、市民の支持を背景
に掌握可能な適当な行政エリアで自らの政策理念を実行に移せるダイナミズムが魅力となっ
て、閉そく感のある国政からの転身がムーブメント(movement)のように相次いだ。

 名古屋市では、市民税10%の恒久減税を政策のプライオウリティ(priority)にして51万人
という圧倒的市民の支持を受けて当選した市長が政策実行、実現のために、政策理念を同じ
くする来年の県知事選に立候補を予定する有力な現衆院議員と連携して「中京都」構想の政
策理念を打ち出している。名古屋市長も、その前は衆院議員だった。

 (2)前自民党政権時代から、地方自治体の過疎化対策と行政区域の集約による行政の効
率化、財政健全化をはかって、地方自治体の合併を優遇策を盾に積極的に推進してきた。
 地方自治体では、過疎化問題、産業の中央一極集中の税収不足で自治体運営も苦しくて、
財政破たんの自治体もでてきた。

 経済界には、意思決定の迅速化、経済活動、消費行動の受け皿の需要キャパシティの拡大
、経済効率を目論んで、かねてから日本をいくつかの行政区域に大分轄する「道州制」の考え
があった。経済効率化、地方切り捨ての道州制思考には、地方の地域自治吸収、崩壊への
危惧もあって、大きなうねりとはなっていない。

 (3)大阪府の知事が、府と市がそれぞれの行政運営の中で重複内容も多く、ムダ排除、行
政の効率化で地方財政の健全化をはかるために「都」構想(metropolis conception)を打ち
出している。大阪府も関空事業の大きな負債を抱えて、財政的にも切迫したところがあり、
打開のための府と市が合体しての「都」構想だ。

 大阪府の「都」構想は、行政権限を一極集中にするため、何かと政治手法、理念で対立す
る府知事と市長間で合体構想が進展せずに、関西地域の自治体連合組織が最近に発足し
た。府知事の「都」構想は、地域を「特別区」に区分けしての自治体合体構想だ。

 (4)名古屋市、愛知県の「都」構想は、県知事選立候補者(衆院議員)の政策提言のひと
つで全容はあきらかになっていないが、市長と政策連携して当初は行政権限を二分轄(現
知事と市長)して、地方を「地域委員会」に権限を委譲するものであったが、その後、大阪
府知事の「都」構想との連携をはかるため、行政権限の一極集中化に転換している。

 (5)名古屋市の市民税10%恒久減税政策は、その後の地方自治体(市町村)の市民税
等減税の「流れ」を加速させて、地方自治に革新的な役割を果たした。(先駆的な名古屋
市は議会との対立で1年限りの施行、現在議会リコール決定)

 「道州制」も「都」構想も、行政運営の重複によるムダ削減、行政の効率化(人、カネ、組
織)による地方財政の健全化を推進する、地方自治の現状打開するものではあるが、反面、
行政のスピード化、効率化による市民サービスの低下、地方過疎化の復興ではなく切り捨
てにつながるものでもあり、「首長」の資質、理念、政治手法、リーダーシップの如何(いか)
んによっては、反比例効果も、反動も予測されるだけに、そのためには十分で広い議論、
分析、検証と市民の行政参加、監視が必要不可欠だ。

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