人気のテレビ番組のひとつに「ポツンと一軒家」がある。
なんでこんな人里離れた不便なとこで暮らしてんのか、
そこの住人のこれまでの人生とか、これからどうするつもりなんか、
そんなことが紹介されて、視聴者は「ほうー」なんて思いながら見てはるんやろね。
あんな景色のええとこで暮らせたらええなあ、とか、
人とのいざこざもないんやろなあ、とか、
毎日、好きな時に好きなだけ好きなことしてみたいなあ、とか、
けど実際にはあんなとこで暮らすんは自分には無理やろなあ、とか、
なんやかんや勝手に思いめぐらしながら皆見てはるんやろねえ。
番組での紹介の仕方もあるんやろうけど、登場する住人達は皆、なんか満足そう、幸せそう。
なんでやろ。
「趣味はなんですか ?」番組スタッフから聞かれたお婆さんが答えてた。
「‥‥畑」
店の一軒もない、
冬になったら道も閉ざされてしまう山の中で、
食べ物手に入れるためには、自分で野菜作るしかあれへん。
それをこのお婆さんはニコニコしながら、
趣味ゆうたら畑かなあて、言うてはる。
幸せそう、なんやのうて、ほんまに幸せなんかもしれんね、このお婆さん。