マドモアゼル・モーツァルト

2021-10-31 22:23:41 | ミュージカル
1幕目、ツッコミどころだらけ。首を傾げるしかなかった。

2幕目、めちゃくちゃ良かった!!

トータル、スタンディング可能!!!

ということで、まさか取れると思ってなかった千秋楽を観てきました!

必然的に東京に来ました!そして、新しい劇場の東京建物Brillia HALLに来ました!

いや〜、Brilliaホール、木の温もりがあって、新しい劇場だけあって素晴らしい空間でした。

では、ここから本題。

ぶっちゃけ書いて申し訳ないけど、さゆみ氏ファンを敵に回す覚悟で書きますが、

1幕目のさゆみ氏が全然良くなかった。

m(__)m

ファンは男役のさゆみ氏、華ちゃんとの絡みが観れたらいいのかもしれないけど、

私は大不満でした。

さゆみ氏は誰を演じてるんですか?

エリーザ?モーツァルト?

間違いなくエリーザでしょ?モーツァルトは仮の姿でしょ?軸がぶれ過ぎ!

あ、ワタクシ、いくら推しでも良いことばかり書きませんので…。

さゆみ氏が演じるエリーザは完全に男でした。エドガーの役作りとなんら変わりはしない。

オープニング、エリーザとして女の子の格好で少し男の子っぽく演じてますが、

髪を切ってモーツァルトになった時は、もはや女の子ではなく男でした。男の子ですらなかった。

だから、モーツァルトの苦悩が全く伝わってこない。あなたの悩みは何?コンスタンツェに恋してるの?フランツに恋してるの?

だって男なんだからエリーザの気持ちなんて分かるわけないやん。自分がエリーザのはずなのに。

本来、第1幕目のアプローチは、まだ完全に男の子にもなっていないエリーザの素が、仕草や言葉使いから垣間見れないといけないんじゃないの?

コンスタンツェ目線だったら、男モーツァルトでいいよ。でも、観客目線ならエリーザがモーツァルトの中に生きてないといけなかったんじゃないかい?

むしろ、1幕目は、コンスタンツェ目線でしか観れなかった。コンスタンツェの苦悩がめちゃくちゃ伝わってきた。

っていうか、皆さん、そんなに男役のさゆみ氏が観たかったの?

役に生きる、憑依するさゆみ氏を観たいんじゃないの?

ホンマ、第1幕はガッカリでしかなかった。私はね。

エリーザは、むしろ華ちゃんが演じた方がリアルだったんじゃないのかと思った。華ちゃんなら、男まさりに演じても女性が演じるモーツァルトにしか見えなかったと思うよ。

か、オープニングのエリーザのシーンを全カットして、最初から男にしか見えないモーツァルトとして登場して、実は女性だったという見せ方にするほうが自然だったんじゃないかい?

2幕目は、エリーザが本来の女性性を取り戻し?ドレスアップしたエリーザが登場して、

やっとこさ、モーツァルトの中にエリーザが垣間見れた。

というか、エリーザが、身体は女性であるが、挫折を味わいながらも、更に才能を開花させて真のモーツァルトになる様を、本物のモーツァルトになる過程を丁寧に演じていてめちゃくちゃ良かった!

コンスタンツェとの関係性や、サリエリの苦悩も丁寧に描かれていて、

華ちゃんも元基君も役になりきってさゆみ氏にぶつかっていて、それに応えるようにさゆみ氏もモーツァルトとして生き、

ラストはエリーザが垣間見れるシーンになっていてめちゃ泣ける!

めちゃくちゃ良かった!!!

だから1幕目が実に勿体ない!

あー、これはきっと再演やらないといけないね。

まさかの、みりはなコンビ復活で、役柄的にも十分かつてのトップコンビを彷彿される絡みも多く、ファンは狂喜乱舞していますが、

2幕目のさゆみ氏は素晴らしかったけど、全体を通して華ちゃんコンスタンツェがめちゃくちゃ良かった!

コンスタンツェって、ワガママお嬢さんのイメージで描かれることが多いですが、華ちゃんコンスタンツェは、実に人間味に溢れていてとっても共感できる人物像でした。

サリエリの元基君も、映画程は登場しないけど、モーツァルトに才能に嫉妬しつつも才能を認め、人間的(+女性として)にも惹かれている様を丁寧に演じていて、本当に良かった。サリエリが苦悩をぶつけるシーンは泣けた!真に迫るものがあった。

今日は、千秋楽ということで、メインキャスト全員の挨拶がありました。

皆さん稽古場かや本当に楽しく過ごされてきたのが伝わってきました。

連日満員御礼&コロナ休演なし。

演者、スタッフ、お客さん、皆素晴らしい!!!

皆さん、本当にお疲れ様でした!


相変わらずのさゆみ語録満載で、しかも元基君もパクる(笑)チャン、チャンチャンチャンも(笑)詳しいことは、どなたかが記事にされていることでしょう…。

めちゃ客席と一本感がありました。

皆さん、生きていかれましょうね!


いことばかり書いてませんが、これも愛情だと思ってお許し下さいm(__)m

っていうか、さゆみ氏は、男役もどきではなく、女優として女性を演じないといけないと思うよ。ドラマでは、的確な役作りしてたし、エリザベートガラ・コンサートのエリザベートもしっかりエリザベートになりきってたんだから。

ワタクシ個人的には、同じ音楽座ミュージカル「地下鉄に乗って」でとんちゃんが演じた役を演じて欲しい!

っていうか、「地下鉄に乗って」上演して!!

今日は、夜行で来て、安い飛行機で帰ってきました。

つい先日まで、台風発生で東京に行けるのかヤキモキさせられ、今日は午後から雨が降りはじめ、飛行機が定刻で飛ぶのかヤキモキさせられましたが、無事帰れそうです。

私が東京に行こうと決めた時は必ず天候が怪しくなる…。

実は、今日は、東京に着いてから観劇まであまりにも時間を弄ぶ持て余していたので、東京駅からBrilliaホールまで歩いて行きました!約2時間、約2万歩弱歩きました。夜行バス&徒歩でしたが、舞台は、全く眠たくならなかった!

いつもなら神社巡りするのですが、途中で遭遇したら神社に行こうと思ったら、

びっくりするくらい全然神社に遭遇しなかった。靖国神社も、東京大神宮もわざわざ行くには面倒くさかったのでやめた。

大手出版会社やレコード事務所?音楽会社、護国寺の前を通り、いつか行きたい東京カテドラル聖マリア大聖堂も塔だけ見えました。

池袋へは電車で200円で行けるのに、歩く必要性は全くなかったんですが、普段絶対歩かない道だったのでとても新鮮でした。途中雨が降り始めて悲しくなったけど。

追記:
難波に着いたら、いきなり仮装集団だからけ!

東京はハロウィン仮装者見かけなかったけど、難波はオバケだらけ!藁





星組「柳生忍法帖」「モアー・ダンディズム!」

2021-10-26 16:58:07 | TAKARAZUKA
お芝居もショーもどちらも良かった!

これぞ、オーソドックス宝塚!

ここでいうオーソドックスとは、可もなく不可もなく…という意味ではなく、

本来の宝塚の姿、

演出家が組子のために愛情を込めて書く&演出するという意味です。

ということで、やっとこさ、大劇場で拝見するこっちゃんとひっとんの星組公演を観てきました!

お芝居では大野先生の愛情、ショーでは岡田先生の愛情を随所で感じられるオーソドックス宝塚でした!

お芝居の「柳生忍法帖」では、

キリヤンの「エドワード8世」の時もそうでしたが、組子全員に役と台詞を与えていて、大野先生の愛情が随所に散りばめられていました。

日本もののチャンバラ系は、男役が中心で娘役が蔑ろにされる傾向がありますが、

大野先生が描く「柳生忍法帖」の世界では、娘役に多くの出番、活躍の場面、見せ場があり、娘役に対する愛情を感じました。

特に堀一族の女たちの活躍というか、七本槍への復讐心、その想いがとっても熱くてめちゃ泣けた!


もちろんこっちゃん演じる十兵衛が主人公で、めちゃくちゃカッコ良くて、今のこっちゃんはロミオよりも、ティリアン同様アクの強い役が良く似合う!

ひっとんが敵役の娘ということで十兵衛との絡みが非常に少ない中、しっかり2人の見せ場を設けていて、正直強引な絡みではありましたが、そこはトップコンビだから仕方ないんだけど…。2人の関係性にもっと説得力を持たせるために一本ものにしてもいいんじゃない?と思ったくらい。

この公演で卒業する愛ちゃんの役柄といい見せ場といい、愛ちゃんが気持ちよく演じているのが伝わってくる。

男役スター揃いの七本槍の面々も、1人ずつ復讐されて消えていくけども、しっかり滅びの美学的に倒される見せ場があった。最後に滅びるセオッチもめちゃ美味しい見せ場だったね。

個人的には、千姫のなつさんと加藤明成の輝咲玲央君がめちゃくちゃ良かった!

輝咲君なんて、ぶっちゃけ、めちゃくちゃ専科オーラがあって、お芝居では愛ちゃん?と思ったし、ショーではスッシー組長が特出してるの?と思ったくらい貫禄があった。

正直、お芝居は、登場人物というか主従関係がイマイチ良く分からなかったですが、十兵衛と堀一族の女たちを中心に見たらその活躍や想いにマジ泣ける!本当に良かった!

そして、ショーは、

ぶっちゃけ、真矢みきさんの初演の「ダンディズム」や湖月わたるさんの「ネオ・ダンディズム」は映像でも観たことがなかったのですが、

キャリオカとか聞き覚えがあって、きっとどこかでダイジェストか何かで観たんだろうけど、

めちゃくちゃ良かった!!

ぶっちゃけ、ショーは期待してませんでした。ただ、セオッチが歌う♪ラ・パッション♪さえ聴けたらいいや…と思っていたので。

これまたぶっちゃけ、ヤンミキ時代のミキさんは好きでしたが、トップ時代のミキさんは好きじゃなかったのでm(__)m「ダンディズム」は全く興味なかった。

が、

今の星組のために岡田先生がブラッシュアップした「モア・ダンディズム」は、めちゃくちゃ良かった!

特に岡田先生の愛ちゃんへの愛が随所から伝わってきた!

ショーの構成もロマンチックレビューだけあって、ロマンチックなシーンが多くて、しかもエレガントさもあり、これこそオーソドックス宝塚でした!

ショーは、私みたいなショー興味ない人間でも、間違いなく万人受けすると思う。

個人的には、やはり、テンプテーションのシーンとセオッチの♪ラ・パッション♪が最高だった!

何故に、星組とは関係ないカリンチョさん時代の雪組の♪ラ・パッション♪を選曲したのか不思議ではありましたが、

てっきり、次々と岡田先生のショーの主題歌のメドレーが続くんだと思っていたら、

セオッチが歌う♪ラ・パッション♪一曲、しかもフルコーラスだった!

セオッチは、カリンチョさんを彷彿させるくらい力強く歌い上げていてマジ興奮した!藁

そうそう、こっちゃん、ミキさんの歌い方を真似ようとしたのか、歌い方がミキさんよりだったのが個人的に楽しかった!藁

お芝居もショーも本当に良かった!

この公演で、まさかの愛ちゃんの卒業。

最近の愛ちゃんの活躍ぶりをみて、トップになると思っていたのに残念で仕方ないです。

正直、宙組時代の愛ちゃんは好きではありませんでしたが、星組に来て、こっちゃんを支える2番手としての愛ちゃんの存在感はとっても好感が持てました。最初は、毛色が違う2人だと思っていたけど、お互いの個性がいい感じでぶつかりあっていて観ていて新鮮だった。

ちょこっとしか観ていない「アルジェの男」、ガッカリツリ拝見した「エル・アルコン」そしてロミジュリ。

縁もゆかりもなかった2人が醸し出す空気感は全く不自然さがなかった!凄く新鮮だった。

だから、本当に愛ちゃんの卒業はもったいない!としか言いようがない。

きっと苦渋の決断だったとは思いますが、星組の愛ちゃんは本当に素晴らしかった!

愛ちゃんの第二の人生も素晴らしきことを祈ってます!

大劇場残り一週間、ディナーショー、そして東宝。

お芝居もショーも男役冥利に尽きる役柄なので、最後まで男役を楽しんで下さい!












坂東玉三郎 特別公演 @御園座

2021-10-20 19:04:17 | 古典芸能
人生2回目のナマ阿古屋を観てきました!

今日は、ハッシーの秩父庄司重忠、福ちゃんの岩永左衛門、歌の榛沢六郎でした。

南座で初めて観た時の衝撃は今でも忘れられません。

阿古屋が奏でる琴、三味線、胡弓がまるで景清の分身のように見えたり、現九團次さん演じる岩永の、ほぼ瞬きせずの完璧なまでの人形ぶり。これぞガラかめWorld炸裂!と言わんばかりの世界観に酔いしれていました。


今回、若手の成駒屋三兄弟が玉三郎さん演じる阿古屋にどう挑んでくるのか非常に楽しみにしてました。

今日は、福ちゃんが岩永なので1番注目していたんですが、

結果、ハッシーの忠重が1番良かった!

南座で観た時の忠重は愛之助さんで、正直、3番手的存在感に思えたんですが、m(__)m

今日観る限りでは、ハッシーの忠重が準主役と言わんばかりの存在感があり、忠重は3番手の役ではなかったことに気付かさせられました。

福ちゃんの岩永は、瞼に黒目を描いてほとんど目を閉じた状態で、耳だけで音を聞き分けて演じていてビックリしました!たまに、地謡がない時は目を開けてたね。瞬きしてたからすぐ分かる。

人形だから頻繁に瞬きしたら不自然だから瞼に黒目を描いたとは思うが、確かに音だけを頼りに人形の動きをするのもかなり集中力はいるし、それはそれで凄いことではあるが、個人的にはう〜ん…て感じ。

岩永はただでなくても人形なのでコメディ要素があるのに、そこに瞼に黒目を描いたら完全にギャグでしかないと思うんよね。福ちゃんには、瞬きしてでも堂々と人形を演じて欲しかった。

追記:児太郎君と梅枝君が阿古屋を演じた時の九團次さんの岩永は、瞼に黒目を描いてた!えっ、まさか南座でも描いてたん???もし、そうだったのなら、福ちゃん、ごめんなさいm(_ _)m

っていうか、ハッシーも歌も岩永を演じる時は、瞼に黒目を描いてるん???

だったら、なんかガッカリ…。

歌の六郎はちょこっとしか登場しないが、声がめちゃ良かった!めちゃ腹から声が出ていてもっと台詞が聞きたかった。

声はハッシーも良かった!っていうか、全体的にハッシーの忠重が素晴らしかった!

「東海道四谷怪談」の時は、どっちかというと二枚目半的な役だったので、ギャップがめちゃ忠重の貫禄ぶり、存在感を引き立てていた。

そして、阿古屋の玉三郎さんは、今回は、ガラかめWorld炸裂というよりかは、琴、三味線、胡弓を奏でる熟練された技術が際立っていた印象。弦が一本の弓が独特の胡弓をしっかり音階を付けて奏でるなんて簡単じゃないよね??残念ながら景清は見えなかったけど、演奏は非常に素晴らしかったです!

今回2回目の阿古屋を観させてもらって、ガラかめWorldを創り出すのは、玉三郎さん1人だけじゃなくて、

たとえば、「エリザベート」のルキーニみたいにエリザベートWorldへ導く人が必要なんだと思った。

阿古屋に関しては、地謡の方やお囃子の方も導き手になるんじゃないかと思った。

そういう意味では、南座よりかは感動はないけども、新たな発見があったのでそれはそれで観られて良かったと思う。

っていうか、福ちゃんの忠重が観たくなった!福ちゃんの声も聞きたかった!もちろん、ハッシーと歌の岩永も観たい!

試験さえなければ、もう1回は観れたのに、もう行ける日がないので残念…。

そして、三兄弟による石橋は、毛振りに関しては、歌が1番良かった!ただ回すだけじゃなく節をつけて振り回していたので様になってた!

歌は末弟だから、立場的に控えめにならないとならないところがあるので悔しい思いをしているかも知れないが、毛振りを見る限り、研究熱心なのが伝わってきたので、上2人にない魅力で勝負してもらいたいね。

っていうか、三人とも同じ立役なのにキャラが被らないのも珍しいね!これは本当に武器になるよ!

しかも、成駒屋三兄弟は、まだまだ20代前半なのに、めちゃくちゃ貫禄ある!

ぶっちゃけ、何倍もお年を召した玉三郎さんに貫禄負けすることはなかったよ!っていうか、玉三郎さん自身若く見える!

歌舞伎界において、二兄弟が多い中、三兄弟は非常に珍しくて貴重なので、是非とも成駒屋三兄弟で、いや間違いなく三兄弟で「三人吉三」を観させて下さい!まだ1回も観たことがないんよね…。歌には菊様みたいに立役と女形を極めてもらって!

今回の阿古屋も三兄弟にぴったりな演目だったので、中村屋兄弟みたいに、三兄弟だからこそ楽しめる演目を演じて欲しい!

ほんま、これからが楽しみな三兄弟です!

そして、そして、

玉三郎さん、歌舞伎座十二月公演「信濃路鬼揃紅葉狩紅葉鬼揃」(←ホンマに好きなんか!?ちなみに、お能は「紅葉狩- 鬼揃」←どっちもちゃうやんけ!?)上演ありがとうございます!!!

絶対行きますから!!!

まさかこんなに早くに上演して下さるなんて!感謝します!!

っていうか、1月の藤娘も楽しみ!宝塚と違って歌舞伎では、完全に真っ暗にしてからのチョンパなので見応えあり!

ONODA 一万夜を越えて

2021-10-19 19:04:42 | 映画
もう夕方だと思ったらまだお昼時だった。それくらい長く感じた。朝の9時から観たのを忘れるくらいだった。

めちゃくちゃ悪くもなかったけど、めちゃくちゃ良くもなかった。

見終えたあと、何処までが実話で何処までがフィクションだったんだろう…と思ってWikipediaで検索したら、ほぼ実話通りだったので驚いた!

いやー、まさか実話通りだったなんて…。オイオイ!と言いたくなる内容でした。

ということで、カンヌで上映された時からめちゃくちゃ観たくて、しかもワタクシのイチオシ俳優の太賀君が(『#家族募集します』は観てませんが…)重要な役どころ出演ということで、非常に楽しみにしていました。

まさか私がこのブログを開設中に小野田さんを題材にした映画が観れるとは思ってなかったので、正直驚いてます。

ぶっちゃけ書くと、ワタクシにとって小野田寛郎さんとは、ワタクシの血でもあり肉でもある存在なのです。(決して血縁関係ではありません。全くの赤の他人ですが…)

小さい頃親から、戦争が終わったことも知らずずっとジャングルにいた人、と教えられてきました。

小野田さんは、全くの赤の他人さんですが、ワタクシにとってはとある理由でめちゃくちゃ身近な存在でした。

そんな方が、日本に帰還するまでルバング島でどうやって生きていたのかが、この作品のテーマだったので、非常に楽しみにしていたら、

びっくりするくらい、綺麗事じゃない描写が多くて、嘘であって欲しいと思ったら、ほぼ実話だったので、正直気落ちしてます。

それは、あくまで超個人的な感想なのでさておき、

本来なら、日本のプロダクションで制作されるべき題材なのに、というか、とっくの昔に制作されるべきなのに、

当時は有名な出来事、人物ではあっても、今では知らない人の方が大半。ましてやフランスや欧米にとっては、誰???はぁ???と思われても仕方ないのに、

フランスのプロダクションが制作して下さり、しかもカンヌで披露してくれるなんて!

天国の小野田さをが喜んでいるかどうかは疑問だけどね。決してヒーロー的には描かれていないからね。私が親から話を聞いた時は、可哀想な人だけど、英雄なイメージだったからね。

映画の中の小野田さんは、オペラ座の怪人のならぬ、ルバング島の怪人だった。

現実問題、小野田さんにとっては、帰還するまではずっと戦時中だった。拳銃を向ける者、撃ってくるもの、近づいてくる者は全て敵。だけど、住民にとっては、小野田さん達は盗賊、魔物でしかない。それは事実だからね。

ワタクシ個人的には、複雑な思いだね。ずっと英雄的な存在だったし、きっと親もそうだったと思う。ルバング島でどうやって生きてきたなんて当時は知る由もなかったと思うし。

ま、それもワタクシの超個人的な意見なのでさておき、

Wikipediaを読む限りでは、事実に忠実に描いていたし、

ルバング島の怪人ではあったけども、戦争という、お国のために使命を果たすことがお役目だと洗脳、植え付けれた者の運命を丁寧に描いていたし、

なにより、当時の上官から、

なにがなんでも生きろ!必ず迎えに行くから!

の命令こそが小野田さんの最大のお役目でもあり、作品のテーマでもあったわけだから、そこを描いていたのが唯一の救いだと思った。現実問題はさておきますが、を前提にね。

小野田さんは、純粋に上官の命令に対して忠実だったわけだし、部下に対しても誠実だったと思う。

平和を生きている我々観客から見たら滑稽に映るシーンもあるし、大変さも伝わってくる。生きていくための食糧の描き方も良かった。

洗脳されている時の思考の描き方がとても良かったと思う。

特に、深い意味がない俳句を軍事的暗号だと解釈し読み解こうとする様こそが、小野田さん達の運命を象徴していたと思う。ラジオから聞こえてくる音も新聞の内容も猜疑心で見ている。ましてや、自分の本当のお兄さんの声すらも疑ってしまう。

こうなってしまうと、洗脳を解くのは非常に難しいを描いているのが本当に素晴らしい。

孤独、思い込み、使命、環境が整ったら洗脳は完成する。

これは、当時の小野田さん達に関わらず、だれにでも起こりうる。

人間不信に陥り、信じられる他人が1人しかいない、そこに神様の声が聞こえるようになったら要注意!他人を神様だと思うようになったらもう太刀打ち出来ない。

と思うと、小野田さんにとっては、かつての上官の谷口さんからの命令を受けたことで、戦時中というマインドが開放されたわけだったから、遅すぎる救いではあったけど、そこからの長い人生を考えたら本当に救いだったと思う。

しかも、私にとっては…。運命って不思議。

今、こうやってブログに書いていることこそ不思議なんだけどね。

ということで、

小野田さん役の遠藤雄弥さんと津田寛治さんを含めたルバング島に赴任された兵隊を演じられた役者さん達の激痩せぶり、役作りが非常に素晴らしかった!

津田さんの帰還時の小野田さんに似せた役作り、太賀君とのやり取りで見せる猜疑心の表情と目の動きがリアルでした。

遠藤さんは、観客に小野田さんのイメージを埋め込む重要な存在なので、小野田さんのピュアさ誠実さ忠実さが上手く表現されてました。

イッセー尾形さんの上官振りと戦後の平和な時代の谷口さん役の変化も素晴らしかった!ここに落差があるからより小野田さんの洗脳ぶりが引き立つ。

部下役のカトウシンスケさん、松浦祐也さんと千葉哲也さん(同役)、井之脇海君。特に松浦さんとカトウさんさんと激痩せ振りと戦時中のフラストレーションが溜まったときの2人の喧嘩ぶりが痛ましかった。

千葉さんと松浦さんが、それぞれ成年期と青年期を演じられているんですが、てっきり同じ人だと思ったくらい似てた!

そして、この作品の重要人物、男なのに作品に華を添える役割りの太賀君のいかにも平成な役作り。あ、平和じゃないよ。昭和じゃないという意味ね。

そのあえて平成な役作りが、津田さん演じる小野田さんとのギャップの差を広げたね。井之脇君の方がよっぽど昭和だったよ。色白だったけど…藁

太賀君の役作りは、監督からの特別な指示はなかった印象。あまりにも平成すぎるから。良くも悪くもめちゃくちゃ違和感があった。そこが小野田さんの孤独さと洗脳を引き立てるための監督の狙いだと思いたい。

どこの映画館も朝一からの、しかも朝一のみの上映なので、映画を観るために早起きしたの初めて!

それだけの価値がある作品だと思う。同じ3時間近い上映の「ドライブ〜」に比べたら体感時間がめちゃ長く感じたけど。

ワタクシ個人としましては、この時期に制作して下さり、しかもカンヌで上映だよ!

小野田さんとは全くの他人ではありますが、ワタクシの人生においては、嬉しくも悲しくも血と肉でもあるお方なので、制作して下さり感謝です!

っていうかさ、アルチュール・アラリ監督、「戦場のメリー・クリスマス」を意識してたと思う。ようなシーンが非常に印象的でした。

あとさ、秘密任務に選ばれた人たちって、本来は、戦場に赴かなくてもいい人達ですよね?本来は、最初から生かされている人達。でも、戦争中だから若者は戦地に向かわないといけない。残ることが非国民であったりするわけだから。

高所恐怖症は、確かに生きたい証だね。

ラスト、高所恐怖症だった小野田さんが普通にヘリコプターに乗ってる時の虚無感な表情が印象的でした。

今まで何のために生きてきたのか、仲間を失ったのか、殺めてきたのか、

無意味になる瞬間。

現実問題として、日本に帰還してからの小野田さんの葛藤が目に浮かびます。ただでなくても浦島太郎状態なのに、しかも経済発展中。自分の居場所探しに苦労されたことでしょう。

小野田さんは、2014年に亡くなれました。

安らかにお眠り下さい。

合掌。














ドライブ・マイ・カー

2021-10-11 21:47:12 | 映画
めっちゃええやん!?

ラストの韓国のシーンは、深読みすべきか悩むところがありますが、

カンヌ審査員のセンスの良さ、お目の高さに唸りまくり!

ぶっちゃけ「万引き家族」より良い!

m(__)m

いやー、3時間が全く長く感じなかった!

あっという間でもなかったけど、映像に醸し出される空気感、特に劇中劇の「ワーニャ伯父さん」の役者さん達がめちゃくちゃ良い!多言語の役者さん達なのに、めちゃくちゃ癒やされる!

そして、岡田君が最高に良い!相変わらずこういうダメンズがお似合いですが、言葉と目に説得力があった。私なら岡田君に助演男優賞ノミネートあげます。

っていうか、これって村上春樹氏が原作ですよね???

めちゃくちゃ良いやん!?「ノルウェイの森」と雲泥の差があった!

私がイメージする春樹氏の登場人物は、日本人なのに遠い国の人みたいイメージなので感情移入できないんですが、

この作品に登場する人物は、多国籍なのにめちゃくちゃシンパシーを感じる!


今まで春樹氏の本は何冊かチャレンジしましたが読破したことない…。私には全くハルキストになれる要素ないけども、今回ばかりは、原作を読んでみたくなった。

それくらい惹きつけられるものがあった。

「ワーニャ伯父さん」の台詞と西島秀俊さん演じる主人公の生き様が被り、

まさに舞台の怖さというか、演じることの怖さ、

他人を演じているようで実は自分自身をさらけ出す怖さ、

他人を演じることで自分自身と向き合い対峙しないといけない。

加えて、

内観することで前進していく様を「ワーニャ伯父さん」の台詞に乗せて、正に並行して描いていて、

素晴らしい!!としか言いようがない。

西島さん演じる主人公が、奥さんの死をきっかけに、自分が演出する舞台の役者さん達、専属ドライバーとの関わりの中で内観し、気づきを得、

そして、殻を破り新たな自分に出会った時のワーニャ伯父さんの台詞がめちゃくちゃ泣かせる!

岡田君もそうでしたが、内観し気づきを得たあとの舞台の台詞が本当に素晴らしい!

映画なのに、シーンごとでカットしてるのに、生の舞台を観てる感覚だった。

あと、屋外での、韓国の手話の女性と台湾の女優さんの台詞のやり取りがめちゃくちゃリアルに良かった!

映画なのに、全くの多言語同士、しかも、相手は手話、それなのに、本当に生の舞台を観ているようなリアルな感情、いや、得体の知れない感情が伝わってきて、

舞台好きには堪らない見せ方でした!

チェーホフの四大喜劇の台詞にはスピリチュアルな台詞が多いので、それがこの作品に生きて、

まさに、カセットテープに吹き込まれた奥さんの棒読みの台詞や、本読みの時の棒読みの台詞が、ラストの舞台シーンで生きていて、というか引き立てられていて、

本当に見せ方が上手かった!

演劇だけに関わらず、スポーツや職場、学校においてもそうだけど、調和って大事なんよね。

上からのトップダウン的な命令による調和ではなく、自発的な調和って大事なんよ。

それってまさに心やん。

舞台を見終わったあとの拍手と同じ。拍手の音の中に気持ちが込められてる。つまらなかったら拍手はない。拍手がないというのも調和だけどね。気持ちが一体になってる証拠だから。

演劇は、台詞を伝えることだけが大事なんじゃなくて、その得体の知れない感情を観客に伝えることが演劇の醍醐味だったりするわけやん。

特に、言葉がないバレエにしろ、クラシック音楽にしろ、スポーツにしろ、技術の良さだけじゃない感動ってあるわけやん。フィギュアスケートなんて典型的だと思うよ。もちろん、言葉がある音楽もそうだけど。

そこも描いてるのが尚素晴らしい!

亡くなった奥さんの存在は、カセットテープの声にしか現れないけど、その奥さんの存在がまさにガーディアン・エンジェル的でもあるのが更に良い!

夫婦間に限らず、様々な人間関係において本来あるべき姿を西島さんを通して、専属ドライバーを通して伝えている様も素晴らしい!

脚本だけでなく作品として本当に素晴らしい!

私なら、これ、作品賞!

ということで、今週で関西のほとんどの映画館では上映終了するため、今日しか観られる日がなかったので観てきました。

やっとこさ、試験も終わり、久々にマイブロガーさんsのブログを拝見したら、ほとんどの方がこの作品をご覧になられていたので、急遽観てきたわけですが、

本当に良かったです。

なんせ、春樹氏のイメージがちと変わった!

脚色のせいで変わったのならオイオイですが…。

スワロウテイルの時と同じように、歳を取ったから印象が変わったのかを確認するためにも原作を読んでみたくなった。っていうかラストシーンが1番気になる。

ほんとはね、西島さんにも主演男優賞をあげたいとこですが、今年は、断トツで役所広司さんです。←お前が決めるな!

m(__)m

っていうか、ケラさん版「桜の園」は、完全に流れたの?再集結しないの?