野口先生は、わたくしの大好物のテーマの調理方法を大変よくご存じでいらして、それはそれは大変美味しく頂戴させて頂きました!(笑)
それくらいよく出来た脚本演出でした!
所々穴ぼこが空いてましたが、そんなの全然怪我にならない程度だったし、逆に、あまりに完璧過ぎたら次回作のハードルを高く上げることになってしまうので、バウ作品としてはこれで十分です。っていうか、ぶっちゃけ、大劇場でも通用するくらいの完成度の高さはありました。
ぶっちゃけ書くと、泣けました。上手く“真実の愛”を描いていてました。台詞として“真実の愛”を多用し過ぎな面はありましたが、ま、いいでしょう…。
ミュージカルとしての完成度も非常に高くて、文芸モノはストーリーが出来上がっているから、どうしてもストーリー重視になって楽曲が付けにくい(と思われる)のに、台詞や感情が自然に音楽に乗っていたので本当に素晴らしかった。見せ方も上手った。
美術もとても良くて、てっきり松井るみさんだと思ったら違う方でしたね。るみさんに似た舞台美術で、照明映えもして、シンプルなんだけどとても効果的で効率的な場面転換になっていて見応えがありました。
特に第一部は、テンポのいい場面転換とストーリー展開だったので、しかも音楽も良かったし、もちろん出演者の演技力も見応えがあった前提で、舞台作品としては東京で観た「ガラスの仮面」に次ぐ面白さがありました。
しかも、雪組のバウ出演者のパワーに最後まで圧倒されっぱなしで、今の月組にも参考にしてもらいたいくらいの勢いがあって、本当に素晴らしかったです。
「パルムの僧院」はジェラルド・フィリップ主演の映画版しか観たことないので、原作本も読んでないし、大劇場で上演された「情熱のバルセロナ」も観たことないから、どこまでが原作に忠実なのかは分かりませんが、とにかく、映画を観た時に感じた、スタンダールは愛の伝道師、の印象はこの野口作品にも感じました。ぶっちゃけ、映画より良かったよ。
何が良かったって、真実の愛を描きつつも、ちゃんと“命こそ愛”を描いていたこと。宇宙の愛までの広がりはなかったけど、無償の愛、自己犠牲の愛も描いていたので、本当にわたくしには堪らない脚本演出でした!
第一部の、ジーナを狙っての権力者達の醜い駆け引きや陰謀、ファブリスへの嫉妬もちゃんと描いていて、男社会も女性社会と同様、妬みと恨みで渦巻いているんですよ。男社会は、体育会系でサバサバしていると思っていたら大間違いやで。女性社会より酷いと思う。それが証拠に、男性の方が圧倒的に自殺率が高い。これ、社会の大問題です。
スタンダールの着眼点は本当に素晴らしい!それを描いた野口先生も素晴らしい!
もう1つ、野口先生の素晴らしさは、副題。“美しき愛の囚人”のタイトルがまさにこの作品のテーマになっている。ぶっちゃけ、これをメインタイトルにした方が良かったと思う。
そう、愛し合う者同士が離ればなれで生きていくことほど、牢獄の暮らしはない。いくら自由の身でもね。ファブリスにとっては牢獄にいた時の方が本当に幸せだったと思う。でも、牢獄にいることは死と隣り合わせだった。ファブリスを生かしたい想い、生きていて欲しいを願う人達の愛が、ファブリスがより深い真実の愛へと導く結果になった。真実の愛を学ぶには必ずなんらかの犠牲が伴うもんなんだよ。
だからこそ、ファブリスは聖職者になれた。真の聖職者になるためには、大きな犠牲を払ってまでも真実の愛を学ばないといけない。
いくら、大学で宗教の知識を学んでも、実践が伴わなければ、知識はただの知識に過ぎない。リアルな経験が多くの人を救うのである。美輪さんのようにね。
ファブリスは真の聖職者になるために、真実の愛を学んだ。彼の命は多くの犠牲によって生かされ、その多くの犠牲によって、彼をより深く真実の愛へと導いたのである。ほんま、良く出来たストーリー!
野口先生は本当に、わたくしの大好物を私好みに仕上げて頂き、本当に感動してます!
ファブリスを演じた彩風君。ファブリスが持つイタリア青年独特の楽観性を備えつつ、次第に本当の意味での真実の愛を学ぶ過程の演技が素晴らしかったです。牢獄にいた時より、自由の身の方が彼にとっては何百倍も辛い。大人へと成長する過程がとても丁寧で良かったです。
ジーナ役のせしる嬢は「春雷」のヒロインに次ぐヒロイン役で非常に美味しい役でしたね。ぶっちゃけ、ジーナのファブリスへの愛は現代社会では異常です。でも、ジーナの中には、ファブリスに対する無償の愛がある。自分では気付いてないけど、ファブリスへの執着は結果的には母の愛、無償の愛に変わっていった。これも脚本が良かったけど、せしる嬢も上手く演じて魅せた!今回も女優の演技でした!
ジーナとファブリスは叔母と甥の関係で血のつながりがある。ヨーロッパの歴史上、昔は近親間での結婚は多かったから、この二人が実際に恋愛関係にあっても不思議ではない。あのエリザベートとフランツも血は繋がっている。
でも、ジーナの取り巻きがジーナに首ったけだから、ジーナのファブリスへの愛はことごとく握り潰される。でも、そうじゃないとジーナは無償の愛を実践することは出来なかったんだけどね。何度となく苦渋の決断を迫られるジーナ。せしる嬢の熱演に感動!
ジーナがファブリスにあげたロザリオ。ジーナは素晴らしい導き手になりましたね。泣けた。見事な脚本でした!
ファブリスに本当の愛を学ばせるもう一人のヒロイン・クレリア役のあんりちゃんも好演でした。敬虔なカトリック信者で、ピュアな心の持ち主のクレリア。クレリアのファブリスを生かしたい想いにも涙しました。
クレリアはあまりにも敬虔すぎて、マリア様に誓いを立て自らの背中に十字架を背負う選択をするんだけど、最後の選択は、私には非常に人間らしい選択だと思いました。
もちろん、不倫はダメ。平穏な生活も必要。でも、自分の中でケジメをつけないと前に進めないことはある。最後の過ちは、本当に最後だから許されると思う。これ、二度目は天罰下るよ。あんりちゃんの敬虔なクリスチャンぶり、本当に好演でした。
ガオリ君のモスカ伯爵も好演でした。ファブリスへの嫉妬度も見応えありました。これは脚本的に肉付けが足りませんでしたが、あれだけ嫉妬させるなら、もう少しジーナへの深い愛を見せるシーンがあればラストが生きると思う。流れ的に唐突に善い人になってたのが気になる…。でも、ガオリ君は良かった。
エルネスト4世の一樹さんは、見事な悪役ぶりが様になっておりました。権力者のやらしさが際立っていて素晴らしかったです。
もう一人の悪役のホタテ氏。いや~、この中間管理職的な役柄がとても良かった。一樹さんほど悪役じゃないその現代社会にもいる腹黒い人間像を上手く表現してた。ああいう中途半端な悪人いるいる(笑)
今回、一番ビックリしたのが、月城君。めちゃくちゃ良かった!「Shall we ダンス!」の新公主役からは想像出来ないくらいの圧倒的な存在感。いや、アピール度に目が釘付けでした。めちゃカッコいい!ぶっちゃけ、主役を喰う勢いがあった。どうしたん、月城君???って訊きたくなった(笑)それくらい良かった。早く君の主演作が観たい!
あ、月城君が演じるフェランテも、ぶっちゃけ、もう少し肉付けして欲しかった。ファブリスとの友情色もいいけど、私は、映画のようにジーナへの忠誠心をもっと強調して欲しかった。最期の死はファブリスのためでなくジーナのためであって欲しかった。
いや~、野口先生の次回作も期待期待!ぶっちゃけ、私の中では次回作の期待度、ハードルはかなり上がってますよ(笑)ま、観れるかどうか分からないけど…。今日のチケットは、運良く抽選に当たったからラッキーだったけど、次回はホント分からない…。
今日のまとめ:ぶっちゃけ、野口先生の方が植田先生より真実の愛が分かってるよ。実は、この作品を観ていたら、フェルゼンとマリー・アントワネット編、風共がフラッシュバックされました。最近の植田先生の愛は、なんか押し付けと見返りを感じるんよね…。昔の方が本当の愛があったm(__)m
それくらいよく出来た脚本演出でした!
所々穴ぼこが空いてましたが、そんなの全然怪我にならない程度だったし、逆に、あまりに完璧過ぎたら次回作のハードルを高く上げることになってしまうので、バウ作品としてはこれで十分です。っていうか、ぶっちゃけ、大劇場でも通用するくらいの完成度の高さはありました。
ぶっちゃけ書くと、泣けました。上手く“真実の愛”を描いていてました。台詞として“真実の愛”を多用し過ぎな面はありましたが、ま、いいでしょう…。
ミュージカルとしての完成度も非常に高くて、文芸モノはストーリーが出来上がっているから、どうしてもストーリー重視になって楽曲が付けにくい(と思われる)のに、台詞や感情が自然に音楽に乗っていたので本当に素晴らしかった。見せ方も上手った。
美術もとても良くて、てっきり松井るみさんだと思ったら違う方でしたね。るみさんに似た舞台美術で、照明映えもして、シンプルなんだけどとても効果的で効率的な場面転換になっていて見応えがありました。
特に第一部は、テンポのいい場面転換とストーリー展開だったので、しかも音楽も良かったし、もちろん出演者の演技力も見応えがあった前提で、舞台作品としては東京で観た「ガラスの仮面」に次ぐ面白さがありました。
しかも、雪組のバウ出演者のパワーに最後まで圧倒されっぱなしで、今の月組にも参考にしてもらいたいくらいの勢いがあって、本当に素晴らしかったです。
「パルムの僧院」はジェラルド・フィリップ主演の映画版しか観たことないので、原作本も読んでないし、大劇場で上演された「情熱のバルセロナ」も観たことないから、どこまでが原作に忠実なのかは分かりませんが、とにかく、映画を観た時に感じた、スタンダールは愛の伝道師、の印象はこの野口作品にも感じました。ぶっちゃけ、映画より良かったよ。
何が良かったって、真実の愛を描きつつも、ちゃんと“命こそ愛”を描いていたこと。宇宙の愛までの広がりはなかったけど、無償の愛、自己犠牲の愛も描いていたので、本当にわたくしには堪らない脚本演出でした!
第一部の、ジーナを狙っての権力者達の醜い駆け引きや陰謀、ファブリスへの嫉妬もちゃんと描いていて、男社会も女性社会と同様、妬みと恨みで渦巻いているんですよ。男社会は、体育会系でサバサバしていると思っていたら大間違いやで。女性社会より酷いと思う。それが証拠に、男性の方が圧倒的に自殺率が高い。これ、社会の大問題です。
スタンダールの着眼点は本当に素晴らしい!それを描いた野口先生も素晴らしい!
もう1つ、野口先生の素晴らしさは、副題。“美しき愛の囚人”のタイトルがまさにこの作品のテーマになっている。ぶっちゃけ、これをメインタイトルにした方が良かったと思う。
そう、愛し合う者同士が離ればなれで生きていくことほど、牢獄の暮らしはない。いくら自由の身でもね。ファブリスにとっては牢獄にいた時の方が本当に幸せだったと思う。でも、牢獄にいることは死と隣り合わせだった。ファブリスを生かしたい想い、生きていて欲しいを願う人達の愛が、ファブリスがより深い真実の愛へと導く結果になった。真実の愛を学ぶには必ずなんらかの犠牲が伴うもんなんだよ。
だからこそ、ファブリスは聖職者になれた。真の聖職者になるためには、大きな犠牲を払ってまでも真実の愛を学ばないといけない。
いくら、大学で宗教の知識を学んでも、実践が伴わなければ、知識はただの知識に過ぎない。リアルな経験が多くの人を救うのである。美輪さんのようにね。
ファブリスは真の聖職者になるために、真実の愛を学んだ。彼の命は多くの犠牲によって生かされ、その多くの犠牲によって、彼をより深く真実の愛へと導いたのである。ほんま、良く出来たストーリー!
野口先生は本当に、わたくしの大好物を私好みに仕上げて頂き、本当に感動してます!
ファブリスを演じた彩風君。ファブリスが持つイタリア青年独特の楽観性を備えつつ、次第に本当の意味での真実の愛を学ぶ過程の演技が素晴らしかったです。牢獄にいた時より、自由の身の方が彼にとっては何百倍も辛い。大人へと成長する過程がとても丁寧で良かったです。
ジーナ役のせしる嬢は「春雷」のヒロインに次ぐヒロイン役で非常に美味しい役でしたね。ぶっちゃけ、ジーナのファブリスへの愛は現代社会では異常です。でも、ジーナの中には、ファブリスに対する無償の愛がある。自分では気付いてないけど、ファブリスへの執着は結果的には母の愛、無償の愛に変わっていった。これも脚本が良かったけど、せしる嬢も上手く演じて魅せた!今回も女優の演技でした!
ジーナとファブリスは叔母と甥の関係で血のつながりがある。ヨーロッパの歴史上、昔は近親間での結婚は多かったから、この二人が実際に恋愛関係にあっても不思議ではない。あのエリザベートとフランツも血は繋がっている。
でも、ジーナの取り巻きがジーナに首ったけだから、ジーナのファブリスへの愛はことごとく握り潰される。でも、そうじゃないとジーナは無償の愛を実践することは出来なかったんだけどね。何度となく苦渋の決断を迫られるジーナ。せしる嬢の熱演に感動!
ジーナがファブリスにあげたロザリオ。ジーナは素晴らしい導き手になりましたね。泣けた。見事な脚本でした!
ファブリスに本当の愛を学ばせるもう一人のヒロイン・クレリア役のあんりちゃんも好演でした。敬虔なカトリック信者で、ピュアな心の持ち主のクレリア。クレリアのファブリスを生かしたい想いにも涙しました。
クレリアはあまりにも敬虔すぎて、マリア様に誓いを立て自らの背中に十字架を背負う選択をするんだけど、最後の選択は、私には非常に人間らしい選択だと思いました。
もちろん、不倫はダメ。平穏な生活も必要。でも、自分の中でケジメをつけないと前に進めないことはある。最後の過ちは、本当に最後だから許されると思う。これ、二度目は天罰下るよ。あんりちゃんの敬虔なクリスチャンぶり、本当に好演でした。
ガオリ君のモスカ伯爵も好演でした。ファブリスへの嫉妬度も見応えありました。これは脚本的に肉付けが足りませんでしたが、あれだけ嫉妬させるなら、もう少しジーナへの深い愛を見せるシーンがあればラストが生きると思う。流れ的に唐突に善い人になってたのが気になる…。でも、ガオリ君は良かった。
エルネスト4世の一樹さんは、見事な悪役ぶりが様になっておりました。権力者のやらしさが際立っていて素晴らしかったです。
もう一人の悪役のホタテ氏。いや~、この中間管理職的な役柄がとても良かった。一樹さんほど悪役じゃないその現代社会にもいる腹黒い人間像を上手く表現してた。ああいう中途半端な悪人いるいる(笑)
今回、一番ビックリしたのが、月城君。めちゃくちゃ良かった!「Shall we ダンス!」の新公主役からは想像出来ないくらいの圧倒的な存在感。いや、アピール度に目が釘付けでした。めちゃカッコいい!ぶっちゃけ、主役を喰う勢いがあった。どうしたん、月城君???って訊きたくなった(笑)それくらい良かった。早く君の主演作が観たい!
あ、月城君が演じるフェランテも、ぶっちゃけ、もう少し肉付けして欲しかった。ファブリスとの友情色もいいけど、私は、映画のようにジーナへの忠誠心をもっと強調して欲しかった。最期の死はファブリスのためでなくジーナのためであって欲しかった。
いや~、野口先生の次回作も期待期待!ぶっちゃけ、私の中では次回作の期待度、ハードルはかなり上がってますよ(笑)ま、観れるかどうか分からないけど…。今日のチケットは、運良く抽選に当たったからラッキーだったけど、次回はホント分からない…。
今日のまとめ:ぶっちゃけ、野口先生の方が植田先生より真実の愛が分かってるよ。実は、この作品を観ていたら、フェルゼンとマリー・アントワネット編、風共がフラッシュバックされました。最近の植田先生の愛は、なんか押し付けと見返りを感じるんよね…。昔の方が本当の愛があったm(__)m