歌舞伎座千秋楽を観てきました!「勧進帳」だけ観てないですが…。
今回は、「摂州合邦辻」観たさで歌舞伎座に行きました!
いや〜、菊様の玉手御前、素晴らしい!
私が今まで観たことない菊様の役柄だったけに、菊様自身は何度も玉手御前を演じられていますが、ポスターからも伝わってくる全身から漂う魔性性にめちゃくちゃ惹きつけられました!
ブロマイド買っちゃたよ。
あー、合邦庵室の場だけでなく、四幕通しで観たかった!
らい病になった継子俊徳丸に恋する玉手御前。
夫がいる身でありながら、許嫁がいる継子に横恋慕する玉手御前。
俊徳丸を追って実家まで戻ってくる。
娘の不義に娘を刺してしまう父親。
俊徳丸がらい病に罹ったのは玉手御前が毒を飲ませたからではあるが、その理由が…。お調べ下さいませm(__)m
俊徳丸を生かしたかった気持ちも分かるが、やはり俊徳丸に恋していたとしか思えない菊様の玉手御前だった。
俊徳丸にらい病の毒を飲ませた正当な理由はめちゃくちゃ分かる。だからといって、俊徳丸と許嫁の浅香姫と別れさせる理由には結びつかない。そこには下心があったとしか思えない。
玉手御前にとっては気の毒なラストだが、俊徳丸には有り難いラストではあるけども、
いくら俊徳丸のらい病が治ったとて、玉手御前が死んでしまったら、玉手御前の意思に反して、俊徳丸か兄の次郎丸のどちらかが死ぬ運命にあると思うんよね。らい病は治らなかった方がよかったのかとついつい考えてしまう結末だった。
それにしても、寅の月寅の日寅の刻生まれの奇跡はめちゃくちゃ斬新な発想だと思った。
玉手御前役の菊様は言わずもがな、玉手御前のお父さん合邦を演じた歌六さんもめちゃくちゃ良かった!
めっちゃええ声!
次の演目「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」にも出演されてましたが、見た目が全くの別人で合邦と同じ人物だとは思えなかった。ええ声ではあるけどね。
その「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」は、唐の国に渡った空海の物語で、ファンタジックな物語でした。
楊貴妃が登場するので空海と同じ時期の人物かと思ったら、ウィキペディアで見る限り全然重なってない。
ということは、物語に出てくる楊貴妃は、幽霊ではなく、実はまだ生きていたと解釈したほうが正しいのかもね。そんな感じの物語だったからね。
物語自体には大きな感動はなかったけど、
高麗屋三世代を拝見出来たことが嬉しかった。
白鸚さんがお元気で良かった!まだまだ貫禄があった。
幸四郎さんは元々お芝居上手な方なのは存じてますが、失礼発言しますが、御子息の染五郎君がちゃんと歌舞伎役者だったことに驚いた。
正直、染五郎君はバラエティーやインタビューで話してる姿しか見たことがなく、覇気がなくおっとりした印象しかなかったからビックリした。
めっちゃ上手いやん!しかもイケメンやん!?
いや〜、今の若い役者さんのお芝居を見たら、ひと昔の女遊びは芸の肥やしと言っていたのが当たり前の時代が嘘としか思えないね。
ただの女好きやん!?としか言いようがない。
ま、一般市民にはない色気はあるか…。
っていうか、今の若い歌舞伎俳優の実力が凄い!としか言いようがない。
とても女遊びしまくってるようには見えんしな。
本当に真面目な子が多いんやと思う。
それはさておき、白鸚さん、幸四郎さん、染五郎君の三世代が同じ舞台に立ってる姿が本当に感慨深った。ストーリーはさておきね。
午後の部は、幕見席で「妹背山女庭訓」だけ観させてもらいました。「勧進帳」は早々に幕見席完売だった。
「妹背山女庭訓」は、歌舞伎版ロミオとジュリエットと言われるだけあってラストが切な過ぎる!
すすり泣きがあちこちで聞こえてきた。と同時に寝てる方々もちらほら。
ぶっちゃけ書いて申し訳ないですが、台詞の間が長くないですか?もっと早く台詞を喋ったり義太夫で語るなりした方が良いのでは?と思ってしまった。実は私も睡魔に襲われた。
それはさておき、
物語が本当に不条理過ぎて、今の世界情勢にピッタリな物語だった。
いやいやいやいやいやいや、
親が子を殺すって…。
我が子を殺さないといけない背景こそが、マジ世界情勢と同じ。
殺さずに済む方法はたくさんあったはずなのに。ま、子供同士が駆け落ちしたとて、親が入鹿に殺さたとは思うが。
マジ不条理!
愛し合う子供同士を演じた左近君と染五郎君がいい味だしてた。
左近君の雛鳥がま〜儚げで、所作も丁寧で、間違いなく玉三郎さんのご指導があったと思いますが、めちゃくちゃ良かった!
誰かに似てる!とずっと思い巡らしていたけど思い出せなかった。
その千鳥の恋人?想い人の久我之助役の染五郎君の、午前の部のイケメンぶりと打って変わって、弱々しさ?雛鳥の儚げと違う立役の儚げさが上手く嵌まってた。
もうさ、松緑さん演じる大判事清澄よ、さっさと介錯したれよ!と思ってしまった。
その久我之助のお父さん役の、最近めっきり東京でしか拝見できなくなってる松緑さんがめちゃくちゃ目力が強く貫禄があり、感情表現も豊かで、ラストの息子を介錯する表情と介錯後の表情が見ていてこっちまで心苦しくなった。
雛鳥は生きてはいないが、2人に祝言を挙げさせる姿や2つの首を持つ姿など、親としても人間としてもやりきれない表現が本当に素晴らしかった!
ただ台詞回しがゆっくりだったのが睡魔と戦わざるをえなかったが…。
雛鳥のお母さん役が玉三郎さんで、松緑さんは台詞のテンポがゆっくりだったが、玉三郎さんは途中から普通に発してくれたのは良かった。
入鹿に入内したくない、入内するくらいならいっそ死んだ方がいいと思う娘の気持ちもわかってるし、久我之助を生かしたい気持ちもあり、親としては本当に複雑な心境の表現が素晴らしかった。娘を手に掛けた後の表現も素晴らしかった。
親同士は敵同士。だが子供達は愛し合っている。まさにロミジュリの世界観。
最後は親同士仲直り?する玉三郎さんと松緑さんの2人の表現もまた心を打つものがあった。
舞台中央に吉野川が流れ、下手が妹山(大和国)、上手が背山(紀の国)の設定が良かった。
まるで「あかねさす紫の花」の中大兄皇子と大海人皇子と額田王の三角関係を大和三山になぞらえた歌を思い出した。
今回は、「勧進帳」を観ることが出来なかったのは残念でした。
というか、今回限りでしばらく東京に行くことが出来ません。
10月から異動で勤務が変わり公務員みたいに平日勤務になり、なんといっても給料が減る。
土日に東京に行く経済的余裕がない。土日は交通費も高くなるし、安いチケットもすぐ売りきれるし…。
ま、東京に行かなくても仙台にいくことはあるかもですが…。
12月の玉三郎さんと團子君の「天守物語」も観ることができません。
だからといって関西に来てくれたら観れるとも限らないし。
もし次東京に行くことが出来た時は経済的余力が出来たと思って下さい。ま、興味ないと思いますが…。