インヘリタンス-継承-

2024-02-24 00:26:25 | 舞台
いったい何を継承するのか?観るまでは同性愛と継承が全く結びつかなった。

世界ではまだまだ宗教的に禁止している国もあるが、先進国のほとんどは同性婚が認められている。一部ではあるが世界中が同性愛に対して寛容になってきている時代だからこそ、伝えなくてはいけないことがある。継承していかなくとはいけないことがある。

それは、広島と長崎に原爆が投下されたことを風化させないよう継承することと同じように、

1980年代同性による性交渉が原因でAIDSにより多くの命が奪われたこと。

戦時中は、「Firebird」のように法律で同性愛が禁じられ、宗教においても未だに禁じられていおり、日本でも同様に、明治維新以降は、男は男らしく、女は女らしくと教育においてま厳しくしつけらた時代があるように(今も残っている)、そういう世間の厳しい目線に晒されながらも自分のセクシュアリティを主張してきた人たちの命と存在と犠牲の歴史を後世にも伝え継承していかないといけないというメッセージが描かれている。もちろん、物語においてはもっと具体的なことが継承されるわけだが…。

ということで、熊林さんの渾身の演出による、第一部第二部トータル6時間半の超大作作品を観てきました。大阪公演を観たかったのですが、なんせ3月は予定が詰まっているので泣く泣く諦め東京まできました。

まるで、新国立の「エンジェルス・イン・アメリカ」に対抗するような内容でもあり作品でもありましたね。どちらも政治絡みだったし。大きく政治に絡んでないけどね。日本ではまず考えられない設定。

結局のところ、支持率や投票数のため、お金儲けのために、同性愛が利用されているようにしか思えなかった。事実そうだと思うけど。ヒラリー女史はゲイに支持されてたんやね。トランプは名前すら出てこなかったね。

それはさておき、

まるで小説をそのまま舞台化したような、ト書きも台詞になった朗読劇のようでそうでないような、なんせ、ひとつひとつの台詞が長い!

ト書きも台詞になっているから状況説明が多いが、人物描写がめちゃくちゃ細かい。

同性愛者の方って、普段は毒舌キャラでとてもユーモアがありサービス精神旺盛なイメージがあるけど、実はめちゃくちゃナイーヴでガラスのハートの持ち主の方が多いような気がする。

この「インヘリタンス」に登場する人物は、まさにガラスのハートの持ち主ばかり。

強がっているように見せて実は繊細であったり、同性愛者であろうとなかろうと不器用な生き方しか出来ない、ま、それが人間らしさではあるけど、そんな登場人物たちの物語。

6時間半だけあって、物語の展開より、人物描写がきめ細かいと思った。

私も若い頃は自暴自棄になっていた時代があったから、田中俊介君演じるトビーの気持ちがめちゃくちゃよく分かる。永遠の中二病。トビーみたいに性には溺れてませんけどね。ま、愛には飢えてたか…汗

ただ、小さい頃の傷付いた心や闇を抱えたまま成人になって放蕩三昧の日々、愛を知らないのに愛されたいと思っていた20代。10代の時にイジメられた経験の反動で、たくさんの人を傷付けたり、生意気なことを言って怒らしたり、結果引きこもりで一切他者との関わりを遮断したり、結局何をやっても思い通りにいかないからまた自暴自棄になったりの繰り返し。

引きこもりの時にカラマーゾフの兄弟の本に出会い改心しようとしたけど、結局また欲が出て繰り返し。あの頃は学ぶことをしなかったね。

トビーを見ていたら、小さい頃に抱えた闇と怒りをバネにして、偉そうな態度を取ったり、自意識過剰や自信過剰になったり、簡単に人を傷つけたりとか、自分の都合しか考えてなかったり、プライドだけは一人前で自分の否を認めないとか、若い頃の自分をみているようでホント恥ずかしくなってきたよ。

眼の前にトビーがいたら言ってやりたい。ちゃんと自分の闇と向き合わなアカンで!と。

たとえその闇の原因が自分自身でなくても、なぜ闇を抱えなくてはいくなくなったのか?根本的原因をみつけないと前進できないよと。自分だけが闇を抱えているんじゃないことを知る必要がある。私の場合は、父親の存在ではあったが、親父もまた闇を抱えて生きてきたことを理解するだけでも、人生の見え方は大きく異なる。

闇にばっかり執着して、闇の反対側の明るい面を見ようとしなかったことも自分を苦しめる要因だったと思うんよね。自分だけ悲劇のヒロイン的な…。

ものごとは、一側面だけで判断するのではなく、別の角度や視点、多面的に客観視しないと、自分勝手に誤解しているケースが多々ある。妄想の虜になって、脳内ストーリーを作り上げているケースもある。

愛に飢えてるなら余計、他人の愛に気づけるようにならないとアカンで!とトビーに言ってやりたい。っていうか、若い頃の自分に言ってやりたい。

だから余計、ラストのトビーの選択もよく分かる。あそこまできたら、自分の否を認められなくなるんよね。だって、怒りが生きる原動力でもあったわけだから、真実は怒りに値しないと気づいたら、今までの俺はなんやってん!?ってなるからね。そこを受け入れることをできたら、新たな視点で生きていけたはずなんだけどね。

福士誠治君演じるエリックは、根本的には愛を与える人だけど、やはり日本の大和撫子じゃないからご主人様に従順にはなれないんよね。ついつい余計なことを言ってしまって相手を怒らせることもある。相手がトビーだけに仕方ない結果ではあるんだけどね。エリックは、好きになる男に振り回されっぱなしで可哀想な役柄だけど、彼がヘンリーから、いや、ウォルターから相続したものは、目に見える形だけでなく魂の愛(相思相愛の意味ではない)でもあるので、ラストはまるでマザーテレサみたいな存在だったね。

山路和弘さん演じるヘンリーは、一見寛大で紳士な人間風にみせておいて、実はめちゃくちゃ自分勝手。エリックを大事にしているように見せかけておいて、裏では男娼をおもちゃのように扱っている。ヘンリーもまた闇を抱えているが故にそういう風にしか人を愛せなくなっているんだけどね。でもね、エリックにしたら溜まったもんじゃない。俺とはセックスせずに、男娼とはセックスするんだから。それがヘンリーなりのエリックを愛し方だから仕方ないが、理解に苦しむ。だが、リアルな人物描写。

篠井英介さん演じるウォルターが最も慈悲深く神様に近い存在かもしれない。早死するが故に周りに与える影響や喪失感は大きかった。

新原泰佑君演じるアダムは、したたかな男の子。金持ちのボンボンなので世間知らずと思わせておいて(トビーが勝手にそう思い込んでいる)、実は彼もまた苦労人。それを見せないようにしているだけ。トビーは恋人だったエリックを捨てアダムにはしる。結局は、トビーはアダムに捨てられる。

新原君演じるもう一人の男娼レオは、アダムに似ているが故にトビーの性の相手になる。レオはそうとは知らず、トビーに愛されていると思い込んでいる。事実を知ったレオは、トビーとの関係を断ち切る。実は、レオもまた闇があり、ヘンリーの性の相手になっている。そこには愛はなく、奴隷みたいな関係性。レオは、HIVに感染し、エリックの力添えで難を乗り越える。

今書いた登場人物が、一見接点がそれぞれ一箇所だけとみせかけておいて、実は複雑に絡みあっている。これは、「エンジェルス〜」にも当てはまる。

同性愛者の物語であるが、私には人間の物語としか思えない。各人が抱えている問題や闇に同性愛も異性愛も関係ない。だが、同性愛が故にリアルな問題は、HIV感染やAIDS発症による死者数の増加、大統領選挙の投票率と同性愛者支持層との関係性。

ただの恋愛モノなら、同性愛者である必要はない。それこそ、同性愛が見世物化しているのはいかがなものかと思う。ま、「きのう何食べた?」や「おっさんずラブリターンズ」は例外だけど…。ウッチーと吉田鋼太郎さんの演技が素晴らしい!おっさんずラブは、脚本が前回よりめちゃくちゃ良くなってる!

それもさておき、

「インヘリタンス」で描かれている人物描写は、ただの恋愛モノではない。選挙の支持率やAIDS問題だけでなく、同性愛の歴史、各人が抱えた闇が大きなテーマとうねりになっている。

そして、同性愛に関係なく、他者に対する愛をしっかり描いた作品でもある。決して表面的な恋愛モノではない。重いメッセージが埋め込まれている。

それが、ラストのウォルターの家で、ターコさん演じるマーガレットが語る長い台詞の中に、エリックやレオ、亡くなったウォルターの台詞の中にたくさんの愛が込められている。

頑張っている人間に、頑張れ!という励ましが残酷であるように、

自殺したい人間に、生きろ!との勇気づけが逆に逃げ場を閉ざすように、

双方の気持ちが交わらない場合、どういう声掛けが相応しいのかは正直分からない。

今までは、どんなに辛くても生き抜け!と言ってきたけど、それが追い詰められた人には逆効果だということを最近学んだ。私はまだそこまで追い詰められていなかったと反省した。でも、生きて欲しい気持ちは理解してもらいたい。

文字は一方通行で残酷だから役に立ちにくいけど、会話には必ず道が見えてくると思うんよね。特に舞台って想いや気持ち、メッセージが強い言葉の世界だと思うから、舞台の力を信じて最終決断する前に、どんな舞台でもいいから観て欲しいと思った。

ヨイショするわけじゃないけど、「インヘリタンス」には、生きる力がみなぎってる。

特に、ターコさんの存在や台詞には凄い力があった。ある意味反則だと思った。

たった10分程度の登場シーンで、めちゃくちゃ泣かせるねんもん!

やはり、生きて欲しいと望む人の気持ちを汲み取って欲しい。

どんな手を使っても生き抜いて欲しい。

と思う作品でした。

ターコさんの存在はほんと反則だと思った。去年の雪組100周年プレイベントでの圧倒的な大御所感と貫禄を振りまいていたターコさんと同じ人物だとは思えない、素晴らしいマーガレットでした!やはり凄い方だと思った。

福士君も減量の成果もあって、もう役の本人にしか思えない素晴らしい存在感でした。私なら男優賞にノミネートさせる。めちゃくちゃ素晴らしい役作りとアプローチでした。

田中君は、「ミッドナイトスワン」ではリアルニューハーフさんの演技でしたが、トビー役はガチ男だったね。中二病感な感じがめちゃくちゃ良かった!

新原君の二役の演じ分けもお見事でした。同じ顔だけど、声も仕草も別人でした。リアル小池徹平君だと思ったよ。最近の小池君もドラマでは見事に二面性を発揮してるからね。

篠井さんのアプローチに意表を突かれた。今まで観てきた役のイメージを想像していたから、良い意味で裏切られました。めちゃくちゃ良かった!この役でも賞取れます!

そうそう、篠井さんが演じた、二役のうちのもう一役のE.M.フォスターって、同性愛映画の金字塔的作品「モーリス」の原作者なんや!10代の頃に観て衝撃だったことを思い出した。

そうそう、誰の台詞か忘れたけど、「イングリッシュ・ペイシェント」が台詞出てきて、いつものごとく、導かれてる!と思った。不倫するならこれぐらい命懸けで愛せよ!と思った。藁

山路さんも意表を突くアプローチでしたね!甘えてる山路さんってめちゃくちゃ新鮮!私が言うとキモいですが、母性本能くすぐるね!藁藁

全員の出演者の方の感想は書けませんが、皆さん素晴らしい存在感でした!

そして、熊林さんの演出は、シンプルな舞台セットで映像を多用しているけども、言葉の力を全面に届けようとした演出だと思った。6時間半の作品上演、熊林さんの本気を感じました。っていうか、日本語訳が素晴らしかった。

ぶっちゃけ、R15感はなかったけどね!藁

m(__)m


欲望という名の電車

2024-02-23 00:23:00 | 舞台
エリカ様、おかえりなさい!!!

いやー、4年間のブランクを感じさせない、初舞台だとも思えない堂々ぷり!

めちゃくちゃ素晴らしいブランチ像でした!

確かに、ブランチを演じるには若いし、薄幸感に欠けるものはあったけども、それ以外は、やはり、エリカ様は天才や!と思わせる表現力と役作りにオペラグラスが外せなかった。

なんせ、ひとつひとつの感情表現がめちゃくちゃ細かい!声の出し方もメリハリがあり、なにより滑舌が良い!聞き取りやすい!

めちゃくちゃ舞台向きの声であったことに驚いた。

ただの美しいお姫様演技ではない、確かな演技力を伴った天才沢尻エリカは衰え知らず。

エリカ様のブランチを観ながら、ずっとリアル姫川亜弓や!と思って観ていた。本当に素晴らしいブランチでした。

今は足し算のブランチ像ではあったけども、歳を重ねるにつれて、引き算のブランチ像、立ってるだけでブランチの闇を表現できると思うので、40代の50代のブランチを、何度も何度も演じて欲しいと思った。

今回は、どん底に落ちていくブランチ像というより、女優復帰したエリカ様の再出発を祝い、未来への希望を託す演出になっていると思ったので、逆境をバネにして、映像の世界に限らず、これからも舞台に立ち続けて欲しいと思った。

本当に素晴らしいブランチ像でした!

生のエリカ様を拝見出来て本当に本当に幸せでございました!

チケットの神様に感謝でございます!

続き

YouTubeで初日映像を観ていたので、市井の方達が関西弁を喋っていることに対しては全く違和感がなかった。さすがに初日映像を観た時は違和感ありありだったけどね。そういう演出だと事前に把握出来てきたのは良かった。

「欲望〜」は、小さい頃に観たNHKの海外ドラマ版が衝撃的だったので、その時はもちろんこんな有名な作品とは知らなかった。数年後再放送?を観た時には演劇好きになっていたから、もちろん戯曲も読んでいたし、もし私が女優ならめちゃくちゃ演りたい役がブランチだった。それくらい好きな作品になった。

それから、樋口可南子さんのブランチ、しのぶさんのブランチ、ナショナルシアターライブ版を観てきたけど、私の中では樋口可南子さんのブランチがベスト、というより樋口可南子さんがブランチ役の「欲望〜」がベストだった。ちなみに栗山民也さんの演出。本当に作品が素晴らしかった。

しのぶさんのブランチもラストは凄かったけど、これは完全にしのぶさんのワンマンショーになっていたから作品としてはぶっちゃけイマイチだった。すみませんm(__)m

ずっとりえちゃんでブランチを観たかったので、まさか先にエリカ様で観る日が来るとは思ってもみなかったけど、

鄭義信さんの演出版は、ぶっちゃけ書いて申し分ないですが、蜷川版より良かった。

一番の理由は、エリカ様のワンマンショーになっていなかったこと。ぶっちゃけ、私が理想とする悲壮感たっぷりの、どん底に落ち精神崩壊していくブランチを描いた「欲望〜」ではなかったけども、若いエリカ様と清水葉月さんの姉妹の関係性がリアルに表現されていたのでめちゃくちゃ素晴らしく感じた。

本当の姉妹のように、まるで姉妹漫才師みたいに息もぴったりだったのが、私には新鮮な感動につながった。

今まで観てきた「欲望〜」の姉妹は、格差社会を象徴するかのように対照的に演じられていることが多かったけど、エリカ様と葉月ちゃんの姉妹には、格差社会云々以前に、かつては同じご飯を食べてきた姉妹であった過去の関係性が見えてきたので、いくら環境が変わったからといって、簡単には壊れない絆が見えたのが一番良かった。

最初にエリカ様ばかりべた褒めしてしまったけど、葉月ちゃんもめちゃくちゃ良かった!決してエリカ様の引き立て役ではなく、ブランチの妹としてちゃんと自我と芯を持ったステラ像をしっかり演じられていて、エリカ様も葉月ちゃんも作品を昇華させてた。

追記:葉月ちゃんって、イキウメの「無駄な抵抗」でシングルマザー役をやってた子なんや!!いやいやいやいや、全くの別人やん!葉月ちゃんを人選された
方の目が素晴らしい!

もちろん、スタンリー役の伊藤英明さんの粗野感も良かった。粗野感だけでなくユーモア感もあって、めちゃくちゃ人間味を感じた。

最初、伊藤さんがスタンリー役と知った時は、乱暴性を全面に出した無骨で無神経で共感余地なしのアプローチでくるのかと思っていたから、人間味に溢れていたのが逆に良かった。子供っぽさもあって、そりゃステラにしたら母性本能をくすぐられるよね?的存在だったのが良かった。

それから、ミッチ役の高橋努さんにもいい意味で裏切られた。宣伝の時の写真が全然私がイメージするミッチ像じゃなかったから…m(__)m 実際の高橋さんのミッチは肉布団で体を大きくして、心はピュアなミッチ像で演じられていたので本当に良かった。逆に安心して見れた。

エリカ様も葉月ちゃんも伊藤さんも高橋さんも、私の想像をはるかに裏切る存在感だったのが逆に作品がめちゃくちゃよく感じた。

青木さやかさん筆頭に市井の方々もめちゃくちゃ庶民感たっぷりで良い味出してた。

チームワークの良さがめちゃくちゃ伝わってきたのが一番の評価の高さかもしれない。

美術も照明もニューオリンズの熱帯感が伝わってきたし。

本当に本当に良かった!

本当に本当にチケットの神様に感謝します!













哀れなるものたち

2024-02-16 00:07:00 | 映画
お詫び:毎度の如く、頭の中整理せずに書いてるから、後日読み返すと何を書いてるのか自分でも分からなくなった…(汗)を前提にお読みくださいませm(__)m


松浦美奈さんの字幕やん!?

美奈さんの字幕とウィレム・デフォーの演技が観れただけで満足。あとは…。

ラストのロンドンの章が一番良かったんだけど、それまで一体何を観させられているのか?レビューで結末のオチを知った上で観たけど、オチまでが長かった…(涙)

ぶっちゃけ、オチの展開もエバが娼婦になるのも知っていたが故に、ロンドンの章までが中弛みし過ぎて、世界観に浸ることが出来なかった。

しかも、監督や脚本家は何を伝えようとしているのか言葉もメッセージも降りてこなかったから更に退屈だった。

ニコールの「聖なる鹿殺し」と同じ監督だとは思えないくらい、次の展開がどうなるのかハラハラもドキドキもなかったし、どこがフェミニズムなん?と懐疑心しかなかった。

ロンドンの章まではね。

ロンドンの章に入ってやっとフェミニズムを謳った作品である理由が見えてきた。

でもね、私はフェミニズムだとは思わなかった。女性に限らず、人間誰しも自由意志で選択する権利があると感じた。

一番の理由は、私がエバなら、ウィレム演じるゴッドに、「なんでワシを創ったんや!?なにしてくれとんねん!?」と文句言ってたと思うから。まるで駄々をこねるダンカンみたいにね。

でも、エバはそれをしなかった。むしろ、ゴッドを受け入れてたよね。

本当にフェミニズムを謳った作品ならゴッドもマックスも存在を否定すると思うんよね?マックスはさておき、ゴッドは自分のエゴでエバを創造したわけやからね。これが女性なら話は別。

これは、男女関係なく、1人の人間の自由意志の尊重を描いた作品だと思った。

エバが誕生してから、知能が赤ちゃんの時からゴッドの言うことを聞かず、エバはすでに自分の感情に正直に自由意志で選択して旅立ったから。数多の経験と学びを得てロンドンに戻ってきた。

エバは誕生した時から常に自由意志で生きてきた。それをゴッドのせいに出来る?それだけ考えられるくらい知能を持てるまで成長していた。

ラストのエバと婚約者のマックスの会話でも分かるように、パリで娼婦として体を売ってお金を得ていたことをマックスに打ち明ける。その時は、お金がなかったただそれだけの理由で選択したのであって、娼婦になってお金を貰うことに対して恥とも世間から蔑まれる行為だとも概念が元々なかったからね。

そこから更に知識を得て、世間の反応というものを経験から学ぶ。

エバの思考には正しいも間違いもない。あるのはYESかNOのどちらか。したいかしたくないかの意志のみ。

貧しくて死んでいく子供達が可哀想だから、マックスの全財産を子供達にあげた(直接ではなく誰かを介して。実際は渡した相手にネコババされた可能性が大だが…)。マックスが極貧になることなんて考えるまでの思考は持ち合わせていなかった。

エバの行動や発言は、社会一般常識に対して違う目線で観客に伝える役割を担っているのが分かる設定になっている。素晴らしいキャラ設定でしたね。

ファンタジー要素の中に、宗教、社会主義や資本主義という言葉を出すあたりも、全く異なる思想やけど、お金という視点では共通していることを言ってるんよね。

私にいわせれば、世界はいつから拝金主義になったの?なんで世の中の人はそれが当たり前だと思ってるの?なんで拝金主義の世の中になったのか疑問に思わないの?実は黒幕がいるんだよと訴えかけているように感じてならなかった。

元々エバの体は、飛び降り自殺した妊婦の女性のもの。脳はお腹の中の赤ちゃんから移植した。だから、死に対する嫌悪感が無意識の中に芽生えている。ひょっとしたらお母さんのお腹の中で既に感覚的に理解していた可能性がある。

ロンドンの章で、自殺した女性の夫と再会?出会い、なぜ肉体の持ち主が自殺をしたのか理解し、ある行動を起こす。これが「聖なる鹿殺し」の監督らしさを感じた。

それよりも、ラストの、エバとゴッドとマックスのベッド上での3人のスリーショットが物語の核心だと思うんよね。

これは映画評論家の丸山智浩さんが言ってたことですが、エバはゴッドによって創造され、設定的にはフランケンシュタインの怪物と同じだけど、エバと怪物の違いは、創造主に愛されていたか否か。

本当にその通りだと思った。

フランケンシュタインでは、ラスト、怪物は南極?まで博士を追いかけ続けるやん。まさに愛の渇望の証とも取れる。

一方、エバはゴッドから愛されてた。エバのワガママに対しても一切怒ることはなかった。

愛が世界を変えるとは言ってないけど、愛が世の中を良くすることが出来るのは事実だからね。エバは間違いなく愛を与えていくであろう人物として描かれている。

そりゃ、エバは娼婦をしていたけど、世の中を良くしたいと望む女性でもあるわけだから、職業で差別するな!とは訴えるとは思う。

実際、飯島愛ちゃんみたいに元AV女優でも世の中の偏見を変えようと頑張ってたわけやん。愛ちゃんに以外にもAVで稼いだお金を元手に起業家してる方もいるしね。そこには、エバ同様、自分はどう生きていくか、その意志が大事になってくるんよね。それって、フェミニズムに関係なく自分力だと思うんよね。

話は飛ぶけど、ぶっちゃけさ、ある有名な姉妹の言葉を借りるなら、皆誰かのお古やん?古着と一緒やん?お金をもらってるか否かの違いやん。お金をもらってるという理由だけ差別されるのはね…。結婚しない私に言わせれば、結婚したら法律的にタダでセックス出来るという関係性もどうなん?って思ってしまうけどね。

はい、脱線しましたm(__)m

「Firebird」には学びが描かれていなかったけど、こちらにはちゃん学びが描かれているから、断然「哀れなるものたち」の方に軍配が上がる。

ということで、ゴールデングローブ賞でもオスカーノミネートでも超話題の作品を観てきました。

ぶっちゃけ、レビューを読んだ時から、エマ・ストーンの脱ぎっぷりとかセックスシーンが多いとかしか書かれていないから正直興味が沸かなかった。女性版フランケンシュタインで性に目覚める役どころだと思っていたから。

でも、丸山智浩さんの解説を聞いて俄然興味が湧いて、オスカーにノミネートされているから2月いっぱいは上映してくれるだろうと高をくくっていたら、もう1日1回の上映になっていたので、慌て観てきました。「Firebird」の方が先に終わると思っていたからね。

個人的には、中弛みが正直辛かったのでめちゃくちゃ感動はしませんでしたが、しっかりしたメッセージ性は感じたので観て良かった。少なくとも「Firebird」より断然コッチの方が良い!

確かにエマ・ストーンが体当たりでしたが、評判どおりセックスシーンや裸には全然やらしさはなかった。完全にピュアなエバとして存在していたので、エバの言動が世の中の矛盾を露顕する見せ方になっていたのは良かった。

赤ちゃんの知能の時の動きがめちゃくちゃリアルで上手かった。まるで、演劇学校でやるエチュードみたいだったね。

ウィレムのゴッドは、めちゃくちゃキュートで癒やしだった。めちゃくちゃ良かった!宦官だからエバに性欲がない設定が良い。エレクションを得るには他から電気エネルギーを供給?云々の発想は面白い。

マーク・ラファロ演じるダンカンの気持ちはめちゃくちゃ理解できる。恋する気持ちも女々しさも分かる!でも、エバの思考目線でダンカンを見たら、いかにもマイナス思考人間だということが分かる見せ方になっているのが上手い脚本かつ演出だと思った。

エバの思考目線だと、本当男社会は女々しい。

その点、ゴッドとマックスの存在は、女々しさがなく、経験豊富になって帰ってきたエバに対しても家出する前と変わらない姿勢が良いね。ダンカンや旦那達と対照的な見せ方なのが良い。

そういう意味では、マックス役の俳優さんも癒やし系で良い。

映像的には、「アメリ」の監督ジャン=ピエール・ルネの「デリカテッセン」や「ロスト・チルドレン」がフラッシュバックした。ファンタジックな美術で、全編白黒でも良かったかもね。

カメラワークも魚眼レンズを駆使したりと斬新な見せ方でしたが、なぜその演出になったのかは意味不明だったけどね。

今年のオスカーは「オッペンハイマー」が有力な感じがするが、エマ・ストーンにオスカーあげたいね。

っていうか、「ナポレオン」が辛うじて技術面でノミネートされていて安心した。

そうそう、「ナポレオン」に関しては丸山智浩さんは否でしたね。理由は納得。そんなに史実と違うんや〜。


花組「アルカンシェル」 ~パリに架かる虹~

2024-02-13 21:07:28 | TAKARAZUKA
コレ!コレ!コレっ!私が見たかったレイちゃんのお芝居は!!

さすが小池先生!分かってるやん!?(笑)

噂では台本が遅筆してたらしいけど、いやいやいや、アイデアが浮かばなかったんじゃなくて、むしろ逆にアイデアが浮かびまくって、推敲に推敲を重ねていたからじゃないの??って思ったくらい、

完璧な仕上がりやんかいさ〜!?

ぶっちゃけさ、脚本がめちゃくちゃ良いとは思わなかったけど、決して悪くもない。ほのか君がまるでルキーニ的役割で説明過多になっていたのが気になって仕方なかったけど、そうせざるを得なかったのが後々分かったが…。

これぞ、小池先生版レビューショーになっていて、歌もダンスが多く、そりゃ脚本が遅筆したら、作曲家も振付師も大変な内容。

なのに、めちゃくちゃ完成度が高い!推敲していたとしか思えん。

レイちゃんの熱いお芝居、

まるで、かつてのキリヤンとマリモちゃんコンビを彷彿させるかのような、レイちゃんとまどかちゃんの、学年差はあれど対等かつ阿吽の呼吸でお互いを高め合っている姿に改めて二人の相性の良さを感じてめちゃくちゃ感動した!  

そして、まるで二人に触発されているかのように組子達の熱い熱いお芝居、歌やダンス。特にドイツ兵の呼吸の合い様とラストのコーラス。

もう、脚本云々さておき、まるでここ数年の作品が引き立て役になってるが如く、その反動とギャップと花組の底力と熱いエナジーに感動しまくりました!

ということで、レイちゃんとまどかちゃんのサヨナラ公演を早速観てきました。

ぶっちゃけさ、期待してなかった。後半にも観る予定にしているので、進化を楽しもうと思っていたのに、初日が開いてまだ数日なのに、

もう進化してるやん!

いやー、素晴らしかった!

「Never say goodbye」に続くレジスタンス作品第二弾的な内容。

小池先生がナチス・ドイツをどう描くのかと思ったら、ナチ党員役のヒトコちゃんの存在が「シンドラーのリスト」のシンドラーの如く、ナチ党に反発する役どころだったので(シンドラーはナチ党員ではないがナチスのやり方に納得していない)、それだけでもう、小池先生、Good job!でした。

ナチ党員=絶対悪として描いてなかったのがヒトコちゃんの役柄から伝わってきたので本当に嬉しかった。ナチ党員=全ドイツ国民じゃないし、必ずしもヒトラー崇拝者じゃないはずだからね。

ナチ党員の中にも平和を憂う?エンタメ力を信じる人間がいることを提示することで、THEナチ党員のマユポンの役どころがめちゃくちゃ際立つ!ヒトコちゃんもマユポンも最高だった!

あらすじを読む限りだと、パリが舞台でフランス人の悲劇を描く作品なのかと思いきや、ちゃんと主演コンビの餞になるキャラクター像とエンディングだったので、私が見たかった要素をクリアしてくれていたのがめちゃくちゃ嬉しかった。最近、あまり良いエンディングがなかったからね。

マジのマジ、小池先生、Good job!!

エンタメに対する想いをちゃんとメッセージとして言葉で表現していたのも良かったし、

「うたかたの恋」を演じた花組ならではの選曲があったりと小池先生の花組愛も感じた。

なんてたって、花組生が素晴らしいの一言に尽きる。私が求めていた、観たかった情熱があった。星組も凄かったけど、花組も凄かった!

レイちゃんの熱いお芝居とまどかちゃんとの名コンビぶりを観られただけでもう大満足なのに、組子も熱くて本当に素晴らしかった!

最近までレイちゃんの役作りがどれもクールだったのが淋しくてしかなかったから、今作では、レイちゃん演じるマルセルの最初のつっけんどんな性格が、ヒトコちゃん演じるフリードリヒとの出会い、まどかちゃん演じるカトリーヌとの意思疎通によって、マイルドになっていく過程がとても自然だったし、芸術に対するほとばしる情熱や第三者に対する優しさが後半になるにつれてレイちゃんの人間性とダブる表現になっていたのも良かった。

レイちゃんのダンスシーンだけでなく、まさかのシーンもあり、役柄的にはツンデレ感もあり、レイちゃんの魅力がいっぱい詰まってる。

まどかちゃんも、歌姫としての存在感も素晴らしかったし、サヨナラに相応しい役柄だった。

レイちゃんとまどかちゃんだけでなく、次期新トップコンビに対するヒトコちゃんと美咲ちゃんを祝福するような脚本にもなっていて、小池先生、ホンマにGood job!!

トップコンビと一緒に卒業される生徒にも見せ場があったりと小池先生の愛を感じた。

個人的には、ブレヒトの三文オペラネタを出してくれたのも嬉しかった。

そうそう、フィナーレのデュエダンが過去一の素晴らしさ!レイちゃんがまどかちゃんに、“さあ、おいで” 的な合図がマジ激萌え!藁

いやー、後半の観劇が楽しみでならん!







Firebird

2024-02-12 00:15:00 | 映画
原作の回想録を書かれていたセルゲイさんは数年前に亡くなれたそうで、セルゲイさんには申し分ないですが…、いくら実話とは言えども、作品的には「ブロークバック・マウンテン」の二番煎じ感が否めない。


実は「ブロークバック〜」でキュンキュンしたワタクシと致しましては、

「Firebird」の、当時ソ連占領下だったエストニアが舞台で、文字はラテン文字なのに、会話が「ナポレオン」同様母国語ではなく英語であったこと、

いくらこちらが先と言えども、最後まで物語展開や描写が「ブロークバック〜」と酷似していたこと、

そして何より、愛を描いているように宣伝しているが、私に言わせれば、これは愛ではなく恋。いくら、同性愛が法律で禁じられていると言えども、主人公2人、セルゲイとローマンの関係は、私には男女の不倫関係と同じにしか映らなかったことが残念でならなかった。

「ブロークバック〜」の方が、実話でないはずなのにめちゃくちゃリアリティーを感じた。主人公2人の関係性だけでなく、それぞれの伴侶となる奥さんの存在や葛藤もリアルに表現されていて映画作品としてもよく出来ていた。

今思えば、実話じゃないからいくらでも脚色できたとは言えるけどね。少なくとも原作とも大きく異なっていたし。

「Firebird」は実話だし登場人物の家族もご存命だと思うから、製作サイドが都合よく脚色できないのも分かるけど、実話なのに全くキュンキュンしなかったし、それは恋やろ!と言いたくなる人物描写だったのが本当残念でならなかった。


ということで、予告編というより、法律に関係なく、どの国家でも兵役という厳しい男社会において間違いなく禁じられているであろう同性愛がどのように描かれているのか、また実話に感銘を受けたという監督がどのような世界観を描くのか大変興味があって観てきたわけですが、残念要素しかなかった。

今は、監督が感銘を受けた回想録「ロマンについての物語」を読みたくて仕方がない。ちなみに、映画の字幕ではロマンではなくロマーンと書かれている。なんか「エゴイスト」と同じ印象を受けてならない。読み手によって受ける印象が異なるのでは?と思わざるをえない内容だったから。

兵役を終えたらモスクワの演劇学校に行って役者を目指す兵役中のセルゲイが、その兵役の基地に迎撃機のパイロットのロマーンが赴任され2人は恋に落ちる。だが、同性愛が法律で禁じられているが故に2人は別れる。そして、ロマーンは、セルゲイの女友達であるルイーザと結婚する。

前半は、セルゲイとロマーンの恋愛物語、後半は、数年後ロマーンとルイーザが結婚し、セルゲイとの三角関係のもつれが描かれている。

プロットだけ書いたら、男女の不倫と変わらない。それだと同性愛の必然性を全く感じないんよね。同性愛である必要性がないというか…。

「ブロークバック〜」は、縁あって、というか二人きりだからね、恋愛関係になったが、強制的に離れ離れにさせられる。時が経ち、それぞれ女性と結婚し子供ができる。片方は、相手の男性のことが忘れられず、まるで結婚が偽装結婚だったかのような心理状況で、自分の満たされない思いを奥さんではなく他の男性で満たそうとするが結局は満たされない。

その点「Firebird」も同じような展開なんだけど、明らかにロマーンは、自分の名誉のためにセルゲイを裏切って結婚する。それでもセルゲイはロマーンに言い寄るが、ロマーンは拒絶。にも関わらず、愛し合った日々を思い出したのか、ロマーンはセルゲイがいるモスクワに行って逢瀬を重ねる。

後半、舞台が基地内ではなくセルゲイが演劇学校に通っているモスクワに変わるので、描写が世間一般の恋愛沙汰と変わらない。セルゲイにもロマーンにも一切共感できなくなってしまった。私にとって男女の恋愛と変わらない描写は、同性愛作品だとは思わない。ただの脚色。

私個人としては、世間に受け入れてもらえない関係性や社会の壁をどう乗り越えていくのか、逆にどう受け入れるのかを描いて欲しかったから、後半の展開は万国共通の不倫沙汰だったのが本当に残念。特別感一切なし。

同性愛に関係なく、人生には大きな選択を迫られる時がある。どちらを選択しても身を剥られるような決断を強いられる時がある。

まさにロマーンがその時。

同性愛を認めたら、地位も名誉も剥奪されてしまう。異性を結婚することで現状維持するしかない。

日本だって、同性愛に関係なく、今も残ってる通念がある。結婚しないと出世出来ない、責任感がない、一人前とみなされない、という社会的通念が。少なくとも私はずっと言われてきた。今はもう放置されてますが…。

なんで親のために出世のために結婚せなあかんねん!と思って生きてきた。そりゃ、結婚した方が出世に関係なく得なこともあるが、それって打算やん。恋愛関係ないやん。前期高齢者になったらそんな通念なんてもうどうでもよくなる。むしろ、ストレスで病気になるだけ。

ロマーンの結婚は、めちゃくちゃ理解できるけど、そのあとが頂けない。全く共感できない。

セルゲイもロマーンに一途な気持ちは分かるけど、相手が結婚したら幸せ壊すなよ!と言いたくなった。こんなこと書いたら卑怯やけど、付き合うなら奥さんにバレないように付き合え!と言いたい。2人とも不器用過ぎるねん。っていうか、男女の不倫と変わらん!

私に言わせれば、別れる気がないなら愛を語るな!

これって、もはや、同性愛問題でもないし、法律問題でもない。人間性の問題だと思う。

この作品では、二兎追うものは一頭も得ず、を描いているけども、

何度も書きますが、人生には苦渋の決断を迫られる時がある。どちらも手に入らない。どちらか一つしか選べない。

その時に必要なのは、決断力と覚悟。それプラス、人間力ならぬ自分力。たとえ、後々間違った選択をしたと後悔することがあっても、それを経験、人生の勉強だとプラス思考に置き換えられる自分磨き、自分力が大事になってくる。

ぶっちゃけ、セルゲイもロマーンも自分磨きしてないよね。

そもそも、この作品には学びが描かれていないのが一番の問題点。セルゲイさんは、亡くなるまでに学びがあったはず。そこが必要不可欠な点だと思う…。

自分の方がルイーザより愛されてた???よくそんこと言えるね。お前はロマーンのこと愛してたんか?相手の家庭を壊してそれが愛と言えるんか?

ロマーンも、セルゲイより妻子が大事やったら、あまりにもセルゲイのことを弄びすぎとちゃうか!ちゃんとセルゲイのことを考えたれよ!

私には、セルゲイに関しては独占欲が強いただの恋、ロマーンは自分に都合がよい恋、としか思えない。

あの時代に同性愛や同性婚が認められていたらセルゲイもロマーンも幸せだったのに…、なんて思う以前の問題だと私は思う。


タイトルの「Firebird」は、ラストでタイトル回収されていますが、パイロットのロマーンそのもの。もう手に入らない遠い遠い存在で、もう誰のものでもない。ロマーンに対する想いが強い者だけが、その想いの中だけでロマーンは生き続ける。あのセルゲイの表情からそう感じた。ま、既視感がありありの見せ方だったけど、良しとしよう。

だが、エンドロール後のワンシーンは、あまりにもエンタメ色が強くてマジ蛇足。せめてエンドロール前に持ってきて欲しかった。さてさて、あの方は、セルゲイ?ロマーン?のどっちを???今までの発言や行動心理から推察するとセルゲイ?ま、どっちでもいいが…。

それにしても、「ロマンについての物語」、日本語訳で出版していただけないものかな?