忘れられた荒野〜狼少女ジェーン

2022-11-28 00:15:24 | 舞台
あー、オッサンの目にも涙涙!

周りは間違いなく20代の若者たちだらけの中、ええ歳したオッサンが鼻水をすすったり涙を拭ったり、恥ずかしいから泣いたらアカン!と自分に言い聞かせて我慢していたのに、キャスト陣の熱演と脚本の素晴らしさに涙が止まらなかった。

ぶっちゃけ、素人さんの集団なのかな〜と高を括っていましたが、

いやいやいやいやいやいや、とんでもなかった!

確かに素人っぽい雰囲気はありましたが、物語が進むにつれて熱量が上がり、役に同化してきているのがリアルに伝わってきて素晴らしい表現でした!

これぞ、美内すずえ版「奇跡の人」と言ってもいいくらい人間の尊厳がテーマになっていて、どちらも主人公が人間らしく生きる選択を自らの力で獲得することを描いているわけですが、

圧倒的にこちらの方が哲学的、生物学的、人類学的、そしてスピリチュアル的に描かれていたので、脚本がめちゃくちゃ素晴らしかった!

ということで、ガラスの仮面の劇中劇の中で最も再現が困難だと思われていた「狼少女ジェーン」を観てきました。

東京のみで上演していそうな内容なのに大阪で上演してくれるなんて!

って以前に、美内先生がオーナーのシアタースタジオが大阪難波にあるだけでも不思議なくらい。ガラかめファンには堪らないね!

キャパ60人ほどの小さなスタジオですが、北島マヤが人形役を演じた「石の微笑」を上演した劇団つきかげの専用劇場の雰囲気にめちゃくちゃ似ていてた。

「狼少女ジェーン」は、漫画の中では、紫の薔薇の人が速水真澄だとバレるめちゃくちゃ重要な物語でもあります。

「奇跡の人」は、ヘレンとサリバン先生のメインの物語と同時進行でヘレンの家族の物語がサブストーリーとして描かれており、人間の尊厳というより家族愛やヒューマンドラマの要素が強いのですが、

脚色演出の金哲義さんが創り出した狼少女ジェーンの世界観には、人間の思考や思想と対照的な動物的本能が描かれており、より人間の尊厳が強調される内容になっていました。

狼に育てられた四足歩行の狼少女が、二足歩行を学び、手を使うこと学び、言葉を学ぶ。ここまではヘレンと同じ。

でも狼少女ジェーンの学びは、言葉の意味を学ぶのだけでなく、人間の心を学ぶ。愛を学ぶ。

周りの人間からは狼として動物としてしか見られていなかった、扱われていなかった、恐れられていたジェーンが、次第に一人の人間として認知?されるようになる。

ジェーンに人間らしさを強制的に教えるスチュワートよりも、召使いたち?スチュワート邸の住人たちの方がジェーンに心を開いていき愛を教えている。ごく普通の自然な関係において。

ジェーンは、言葉を学ぶ以上に笑顔を見せる方法学んだり、そして愛という心を学ぶ。

スチュワートは、ジェーンに人間らしさを教えようと教育しているようで、実は、人間として関わっていないことに気づいていなかった。スチュワート自身がジェーンを実験道具として、人間になるための訓練を施しているに過ぎなかった。

そんなスチュワートもまた人間として大切なものを学び始める。物理的な動作や言葉よりもっと大切なことを。

この作品では、人間として生きていくことの方が幸せなのか?それとも狼のまま生きていく方が幸せなのか?思想は本能に勝てるのか?といった問題提起をしつつも、本当の人間らしさとは何かを追求している。

いくら姿型は人間であっても本能は狼である。逆に、いくら本能が狼であっても肉体は人間である、つまり少女が大人になる瞬間を表現していたのがめちゃくちゃ度肝を抜かれたし、めちゃくちゃリアリティーがあった。

脳は狼であっても身体は人間である。少女が大人になるということは、人間も動物も変わらないことはあるが、明らかに違うのは、異性を動物的(本能的)に好きになるのか?それとも愛情からなのか?である。

ジェーンはスチュワート邸に住む住人によって愛を学ぶ。そして、スチュワートもまた愛を学ぶ。

その過程の描き方が秀逸だった!

物語はガラスの仮面の劇中劇なのに、まるでスチュワートが真澄で、スチュワートの婚約者が詩織様のような登場人物が出てくるのも脚本の妙でした。

スチュワートは正しく真澄に他ならず、マヤに対する想いがいつしか愛情に変わっていったように、スチュワートもまたジェーンに対して愛を感じるようになる。

ちゃんとガラかめワールドとシンクロさせた金さんの脚本が絶妙でした。

まるで、マヤと真澄の今後を予見させるようなラストシーン。

ジェーンが人間になる過程を描いた物語のようで、実は愛を学ぶ物語に涙涙でした。

ジェーンの生い立ちやその他の登場人物の生い立ち中に戦争の犠牲者的な背景があり、

人間は嘘をつく生きものでもあるといった人間の傲慢さもメッセージとして描いていると同時に、世の中思い通りにならないことは神の試練として、神様のせいにすることで精神の均衡を保つことも大事なのではないかといった、神様は人間の罪を背負う役目を果たしているといった宗教観には目からウロコの考え方でした。

確かに万能の神や天災といった自然には人間は無力だけども、生かされているのは誰かの導きでもあることも描いているのでスピ要素もあって、金哲義さんの脚本演出は本当に素晴らしかったです。

今日拝見させてもらったジェーン役のKANAEちゃんは、本能に狼少女としての動きが大変だったと思いますが、めちゃくちゃ柔軟性があって狼少女にしか見えない時が何度あり、言葉を学ぶ様、愛を学ぶ様、別れを寂しいを学ぶ様、動物的本能の表現の仕方などどれも丁寧で一生懸命に演じられていて、リアルジェーンでした。

スチュワートを演じられた光岡紗良さんがあまりにもリアル青木麗にしか見えないくらいイケメン男子でした。KANAEちゃんもそうでしたが、役に同化しているのが伝わるくらいリアルに表現されているシーンが沢山あり、泣かされまくりでした。

エレン役の方がめちゃくちゃ良い存在感でした。まるで詩織様のような嫉妬深さがあり嫌な役なんだけど逆に人間らしさを上手く表現されていてジェーンとの対比する役なのでとても良かったです。

話が進むにつれて、スチュワート邸の住人たちの存在が愛おしくなりました。

登場人物のキャラ設定が個性的で上手かったです。

最初は素人さんの集団なのかな?と思って観てましたが、段々と物語の世界に引きずりこまれて、まさかの涙涙でした。

脚本演出キャスト陣だけでなく、音楽の選曲も良かった! 

なんと!ニコールの「めぐりあう時間たち」の曲も使われていて、

いつものごとく、

めちゃ導かれてる!!

(笑)

それはさておき、

今回上演されたリアリティ編の公演は終わりましたが、配信があるそうです!

これ、まじガラかめファン必見!!








ミュージカル色々

2022-11-20 21:40:16 | ミュージカル
今日は、宙組東宝千秋楽ライブビューイングを観てきました。

ぶっちゃけ書くね、音響が悪かったね。これは映画館ではなく音を届ける側に問題があったと思う。

本来ならば、役者の声は音響効果を伴って聞こえてこないといけないのに、生徒の声をそのまま拾うだけだったので、オーケストラの音がBGMにしか聴こえてこなかった。

ずっとライブビューイング用のマイクが音響効果を伴った生徒の声とオーケストラの音をキャッチして映画館に届けてくれているものだと思っていたが、劇場のマイクから直接映画館に届けている感じだった。

残念なことに、コーラスでは口パクなのが丸分かりだった。オーケストラや音響効果で個々の声がかき消されているもんだと思っていたのに、そもそも声を出していなかったとは…。ま、どこかで喉を休めないといけないのは分かるが…。

しかも発声や歌声の乱れも目立つし、何よりオーケストラと歌声が一体になってないので、全く臨場感がなかった。コーラスも全く迫力がなかった。

コーラスの宙組と謳われているが、今日のライブビューイングを観る限りでは、音響さんの努力と言わざるを得ないね。

あと、カメラワークが露骨。っていうかある意味計算し尽くされたカメラワークと言えるかも。誰を映して誰を映さないか劇団の意向が読めるカメラワークだった。ぶっちゃけ、見たい生徒がいたのに見事にフレームアウトしていた。

劇場では、音響効果だけでなく音量を上げたりなど、音響スタッフさんが作品を盛り上げる力になっているのをまざまざと感じるライブビューイングでした。

今回の音響で気付いたのが、留依蒔世君は如何に歌ウマさんなのかもよく分かった。音響効果がなくても全然歌も声もブレない。声量はあるわ聞き取りやすいわでもう完璧だった。

蒔世君の歌を聞いて、カルロッタ、ゾフィ、マダム・ヴォルフ、マダム・テナルディエなど名脇役の名曲が脳内リフレインしまくった。これからも是非ともミュージカル界で高らかに歌い上げて貰いたい!

そして今日は、この10日間で観た作品の感想を手短に書きます。

キンキーブーツ2回目観てきました。今度は1階席で。

いやいやいやいやいやいや、2回目も超ノリノリ!めちゃくちゃ楽しかった!

最高に素晴らしかった!!

1階席だからいかに城田ローラが大きいのかがよく分かる!他のキャストとの身長差のギャップがより作品を高める。

個性は決して弱点ではなく長所であるということ。本来の作品が持つメッセージとは違う日本版ならではのメッセージ性もあって本当に素晴らしい作品だった。

なによりシンディ・ローパーの曲がめちゃくちゃ良い!ロック調からバラードまでセンスが良すぎ!そしてアレンジもね。

笑って泣けるエンターテイメント作品としては、最高のミュージカル作品です!!

これは再演し続けるべき作品です!


そして、帝国劇場でエリザベートも観てきました。

まさか抽選に当たると思っていなかったチャピエリザベート&東京オンリーの育三郎トート!

フランツはもちろん万里生氏!

いやいやいやいやいやいや、こちらも素晴らしかった!

チャピは宝塚でも演じましたが貫禄が違う!

やはり宝塚版はどうしても娘役のエリザベートとして、裏声を駆使した娘役芸に徹してしまうが、東宝版のチャピは地声の低音を活かしていて貫禄もありつつピュアさもある新たなエリザベート像を創りあげてましたね。

お花様は生粋の娘役だったからキーが高く、見た目の可愛さは現役ままではあるが、役作りに関しては深掘りするくらい役作りに徹する方なので、見た目とのギャップがあるエリザベート像で魅了しまくっています。

その点、チャピはまだまだ若いけども(あ、お花様ごめんなさい)度胸があるのでお花様と違う貫禄がありましたね。

育三郎トートは、もうヴィジュアルが美しい!

私が今まで観たトートが野郎系かつ野獣系だったのに対し、育三郎トートはもう宝塚的な中性トートでしたね。

野郎系トートは人間味が溢れまくっていますが、中性系はマジ死神。この世のものでない感がめちゃくちゃ漂っていた。育三郎トートの登場シーンは死後の世界って感じがした。そういう意味でも宝塚的だったと思う。

そしてそして、万里生氏のフランツが素晴らしい!ナイスリー・ナイスリーとのギャップだけでなく、前回観たアグレッシブフランツとは違う丁寧な役作りに感心しまくりでした。

今回は、年代ごとに歌い方や声音を変えていたし、アグレッシブさは抑えられていて代わりにシシィへの熱愛の深さを丁寧にかつ力強く表現されていて、最後の審判の表現が絶妙でした!

フランツはマザコン皇帝と歌詞にありますが、万里生フランツはマザコンではなく親の指示に従っているだけ。もしこれがゾフィでなくて父親だったらファザコンなんですか?と言いたくなるくらい躾や伝統を重んじているフランツ像でした。説得力がある納得のフランツでした。

そうそう、てっきり万里生氏は、フェルセン役に代表されるように優等生かつ育ちの良いお坊っちゃま俳優さんだと思っていたのに、ナイスリー・ナイスリーもそうだけど、自分の我を捨てた徹底した役作りと見せ方に感心しまくりです。今回も素晴らしいフランツさんでした!

全体的には、舞台美術は前回とそのままだけど、演出が前回と変わっているように感じました。最後の審判ね。

宝塚版の演出は変わらないけど、東宝版はまだまだ進化し続けていますね!























星組「ディミトリ~曙光に散る、紫の花~」 「JAGUAR BEAT-ジャガービート-」

2022-11-16 08:57:35 | TAKARAZUKA
生田先生、傑作を連発してるやん!?めちゃくちゃ良かった!

っていうか、星組の団結力に感動!まだ初日が開いて間もないのに、群舞もコーラスもお芝居もめちゃ統一感があって完成度が高かった!前作が嘘のよう!(前作は感想が書けなかった…)

ということで、チケ難の星組公演を観てきました。

お芝居は、ぶっちゃけ、びっとんがめちゃくちゃ良かった!!

原作の主役は本来ひっとんなので、めちゃくちゃ素晴らしい女王ルスダンを演じられていました。

その女王を内助の功として支える役がこっちゃん演じるディミトリのわけですが、

生田先生が描く世界観が、というか歌詞も含め、あまりにも美輪さんが歌う♪愛の讃歌♪の歌詞の世界観と同じだったので個人的にめちゃくちゃ好き!

めちゃ泣ける内容になってはいるんですが、ウルッとは来るんだけど、ただ一つだけ引っかかることがあって気持ちよく泣けない。

ルスダンのディミトリへの誤解を解く台詞がないのに、簡単にディミトリを信用し過ぎじゃないかい?

せめて手紙に一言添える必要があったと思うよ。そうなると必然的にアリちゃんとのシーンが必要になるので時間が足りなくなるが…。

ルスダンはディミトリに裏切られたと誤解している設定なのに、あの手紙の内容だけでディミトリを信用することできる??

残念ながら私はあのシーンで感情移入が途切れた。

そりゃ、二人とも愛し合った仲ではあるが、ディミトリはルスダンが心を許した奴隷を殺したんやで。

ディミトリもルスダンも傍から見たら誤解であっても、本人達にとっては裏切り行為なわけなので、誤解を解く台詞は必要だと思います。それがあれば、後々のアリちゃんの忠誠宣言が生きてくると思うんよね。

あと一つ、ラストは息子として登場させるね、私が演出家なら(笑)

それ以外は、伏線がめちゃ生きていて、原作ありきとしても脚本的には素晴らしかった!

あ、そうそう、ジョージアの首都トビリシが“飛び石”にしか聞こえないので、発音に要注意やね。私だけかな??

世界史ならではの大国モンゴル、ペルシャ、グルジアといった、定番のヨーロッパ諸国やアメリカとは違う西・中央アジアの国々の登場や諍い、そして衣装もめちゃ魅力的でした。

とてもとても見応えがある作品でした!

そしてそして、生田先生の脚本演出力はさることながら、本作における星組の団結力と統率力に感動!!

ジョージアダンスをYouTubeで拝見しましたが、頭の位置が大きく上下しないように上半身固定して、足裁きだけで踊る難易度が高いダンスにこっちゃんだけでなく組子たちも踊っていて、しかも統一感があってめちゃくちゃ感動しました!

今回は、ジョージアダンスありきの衣装だったと思うので、ヒラヒラがめちゃくちゃ生きる!スカートのような裾も振り袖のようなヒラヒラも見事に舞ってました!

コーラスは、言葉が聞き取りやすい。改めて海外産と国内産のミュージカルの違いを感じた。宝塚のオリジナルは、日本語ありきの曲だから母音がクリア。

曲ありきの日本語、しかも翻訳モノだと言葉足らずになるか、言葉詰め過ぎになるかのどちらかになってしまう問題点があるから翻訳家さんは大変。

を踏まえても、普通、大コーラスだと言葉が聞き取りにくくなるが星組にはそれがなかった!

そして、個々の表現力が、たとえリラの妖精であったとしても際立っていたのがめちゃくちゃ良かった!

そこからの、民衆であったり軍隊であったり、集団演技にもまとまりがあってめちゃくちゃ良かった!

ひっとんの女王としての威厳、こっちゃんの抑えた演技、セオッチの大らかな演技、アリちゃんのプチ悪役な風貌、

最終的には誰も悪役はいない登場人物たち。

ミキチグ組長さんの本意気の化粧も含め、個々の演技や存在感が際立ってました。ただ、顔と名前が一致しない生徒が多いのが難点ではありますが…。

星組は、ぶっちゃけ、小桜ほのかちゃんと朝水りょう君推しなのでオペラが自然にそっちに向いてしまう、というかキャッチしてしまうのですが、個人的に注目したい稀惺かずと君を見つけられなかったのが残念。

そして、久々の齋藤先生のショーは、花組の「Cool beast」と対抗している感があって、こちらは最後まで息つく間もないくらい熱さがほとばしっていていましたね。

ですが、私は、基本ショーに興味がないのでどんなに爆音でも眠たかった(笑) 

こればっかりは、たとえ贔屓組であっても贔屓スターがいても関係ないので本当にスミマセンm(__)m

宝塚ファンは圧倒的にお芝居派よりショー派の方が多いので、楽しめるショーになっていると思います…。←全然説得力なし!

最後に、アリちゃん星組大劇場デビューおめでとうございます。めちゃくちゃ星組に馴染んでいて全然違和感なかった。

もうさ、歌がめちゃくちゃ上手くなっていてビックリした。頼もしい限りです!


ではでは、お芝居は、間違いなくもっともっと進化すると思うのでこれからご覧になられる方はお楽しみに!


















キンキーブーツ

2022-11-10 22:31:30 | ミュージカル
めちゃくちゃ素晴らしい!!

めちゃ泣けたー!!!

城田ローラ、めちゃローラだった!

ということで、念願のキンキーブーツを観てきました!

いやいやいやいやいやいや、

めちゃくちゃええやん!?

脚本演出だけでなく、キャストや音楽が三位一体、四位一体になって作品力を高め創り上げていて、

ほんまにほんまに、

めちゃくちゃ良かった!!

ゲネのダイジェストを見た時は、城田ローラはまだまだ自我が残るローラ像でしたが、

やはり、回を重ねることでリアルローラに近づいていってた!

城田ローラ、めちゃくちゃ良かった!

厚化粧をしているドラッグクイーンのローラと男装をしたスッピンのローラのギャップも良かった!むしろ、前髪を下ろした男装のローラは可愛かった。

そして、もうさー、小池君との身長差がめちゃ萌える!小池君には申し訳ないけど…m(__)m

小池君とソニンちゃん、バランスがいいね!

これぞ日本版決定版!と言っても過言でないくらい、キャスティングが絶妙でしたね。

ただね、台詞は早口、歌詞は母音が弱いから聞き取りにくい難点はありましたが、ま、母音を強調したらあんなハードな曲は言葉が追いつかなくて歌えない。劇団四季なら歌詞を短くすると思うけどね。

ストーリーが分かっていれば全く問題なかったです。ま、初見の方は辛いかもね。

それでも、シンディ・ローパーのめちゃくちゃ乗りがいい曲とローラ&エンジェルスのダンスシーンに、

立ち上がって縦揺れしたかったよ!藁

浦井氏のヘドウィグ並みだったよ!

客席が一体となった手拍子が熱かった!

ぶっちゃけ、薔薇サムより熱かったよ!

それくらいの客席のハートを掴む作品だった。

まあね、日本オリジナル作品でないのが悔やまれるが…。

父親の後を継ぐ気がなかったチャーリーと、父親の男らしくなれ!という意思に従いながらも小さい頃から女性のように赤い靴を履くことに憧れていた今はドラッグクイーンのローラが、倒産しかけの靴工場の再建を目指して、新しいことに挑戦していくサクセスストーリーであると同時に、性の偏見、真の男の姿、自暴自棄、仲間の絆を描いたメッセージ性がある素晴らしい作品でした。

ほんまに、めちゃくちゃ泣ける!

城田君で「ホイッスル・ダウン・ザ・ウインド」を観させてほしい。城田君は、私の当初のイメージだから。

今の城田君に課せられた課題は、過去のしがらみを程々にして、ローラ役のように誠実に役に取り組むこと。

城田君には才能とサービス精神があるんだから、しょうもないことで足を引っ張られたらアカン。城田君の努力は遊びじゃないのは舞台を見ればわかる。

10センチ以上のピンヒールで踊るなんてただの努力では自然に見せられない。城田君だけじゃないけどね。

「プローどウェイと銃弾」で見せた完璧タップ同様、城田君は努力の人です。根性の人です。これからは、役作りで人を魅了してください。

小池君は、私は観てませんが、るろうに剣心に代表されるように小池君ならではの持ち味があります。身長なんてクソ喰らえだよ。小池君は、アッキーのライバルだと思ってるし、小池君も努力の人だからマイナス要素は実は個性というプラス要素です。

固定概念を覆して小池君にしか表現できない役作りを継続していってほしい。今回のチャーリーみたいに葛藤がある役は本当にめちゃ素敵だった、自暴自棄からの学びの演技がマジ泣けた!

ソニンちゃんは、まじビッタリ!素で演じてません?と聞きたくなるくらいキャラ作りが素晴らしかった。サービス精神旺盛出益々ファンになった! 

このキャストでまた観たい!

そして、この作品において影の功労者は、ドン役の克矢さんでしたね。自分の役どころを心得た素晴らしい存在感と見せ方、そしてイケボでした。めちゃ台詞が聞き取りやすかった。しかも、実はめちゃ美味しい役。克矢さんの存在がチャーリーとローラを引き立てね。

キャスト全員の感想は書ききれませんが、めちゃキャラ立ちしてたし、歌もうまいし、なんてたって声が素敵でした。特に女性の方々ね。

そしてそして、更に影の功労者はエンジェルスの皆さん!めちゃくちゃキレイでカッコいい!まるでトートの黒天使みたいにローラだけではキンキーブーツの世界観は創れない!彼ら?彼女らの存在もあってこそのキンキーブーツだと言えます。めちゃくちゃ素晴らしかったです!

ほんと、客席だけでなく、役者陣も一体となった素晴らしい舞台空間だった。

キンキーブーツは、不朽の名作です。

これからも再演し続けて欲しい!これぞエンターテイメント!作品の力!ほんま観なきゃ損だよ!

今回、チケット争奪戦では惨敗続きでした。最後のチャンスでやっと取れました。3階席でしたが本当に本当に感動しました。チケットの神様に感謝です!楽しい時間をありがとうございます!

このチームなら大千秋楽まで完走できると確信してます。

ですが、くれぐれも体調管理と食事管理に気を付けて下さいね!

再再再々演楽しみにしてます!!













女の一生

2022-11-04 19:24:00 | 舞台
これは確かに森本薫氏から杉村春子さんへのラブレターならぬラブスクリプトやわ!

森本氏の脚本も段田さんの演出・お芝居、布引けい役のしのぶさんも大変素晴らしかったです!

いやいやいやいやいやいや、これはマジしのぶさんがこれからの役者人生においてライフワークとして演じないといけない作品ですね。

今を生きる日本女性への讃歌でもあり、高齢者と言われようとも未来を生きる者全てにとって応援歌になる作品です。

ということで、

本来ならば、2年前に同じ南座で上演される予定だったのが全公演中止となり、晴れて今年上演が叶った大竹しのぶ版「女の一生」を観てきました。

かの名台詞、

『誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩き出した道ですもの。間違いと知ったら自分で間違いでないようにしなくちゃ。』

が、どのような流れでしのぶさんの口から発せられるのか脚本に大変興味があったのですが、

めちゃくちゃ説得力がある脚本と台詞に感動しています。

ぶっちゃけ、てっきり説明台詞の多い昭和の古典的な脚本だと思っていたら、めちゃくちゃリアルな日常会話だったことが1番の驚きでした。ストーリーや台詞の運びが自然でした。

さすが文学座作品だけあって、役作りのし甲斐がある脚本だったと思いました。

これは、私が言わなくても、しのぶさんが生涯かけて演じないといけない役でもあり作品ですね。

しのぶさんは、少女役から老け役までけいの一生を丁寧に演じられていて、しかも、お婆さんの時は背中を丸めてお婆さんになりきっていて、栗山さんや蜷川さんの作品に出ている時の、私を見てっ!!と言わんばかりの力強い演技とは違う抑えた演技に役や杉村さんへのリスペクトを感じました。

しかも、脚本が杉村さんへのラブスクリプトであると同時に、世の女性を、特に日本女性を讃える応援歌にもなっているので、

戦前の、御主人様に忠実でなければならないといった封建的な女性の姿から、戦後、たとえ高齢になっても自分の意志で未来を生きる決意するまでを演じられていて、

昭和の脚本ではあるけども、令和の時代でも通用する説得力があるメッセージ性があり、演じ甲斐がある役だと思いました。

けいを見ていると自分のお婆ちゃんのことを思い出しました。お婆ちゃんの最初の旦那さんは戦争で亡くなり、旦那さんの弟と再婚しオカンが生まれてました。

今なら、相手の弟と再婚なんて考えにくいことですが、昔はそういう結婚話はよく耳にします。それくらい昔は親の言うとおりにしないといけない風潮が普通にあったんだと思います。

そしてそして、これは間違いなく私だけの感想ですが、

これって、密かに宝塚とコラボしてた???

と思ったくらい「蒼穹の昴」の裏ストーリー(日清戦争後の日本の生活事情)を観てる感覚だった。

まるで、「ルートヴィヒ」が花組作品と関連しまくっていたのと同様に、今回は、タイミング的にも雪組公演と関連していて…、

ちょうど日清戦争(1894から1895年)後の物語ということ、主人公が清国と貿易したり、台詞に“清国”が何度も出てきたり、袁世凱や孫文の名前も出てきた時には、マジ導かれてる!と思ったよ。

裏「蒼穹の昴」と思うくらい、日本側から見た清国でもあり中国といった世界情勢が背景にあり、「女の一生」では、日本の敗戦までを描いていますが、日本と中国との関係性もけいや他の登場人物の人生に深く関わってくるので、

片や松竹、片や宝塚(東宝)といったライバル同士の作品なのに、間違いなくたまたまなのに、めちゃくちゃ宝塚とコラボしてる感があって本当に驚いています。

実は、雪組公演を2回目を観てきたのですが、2回目は、歴史の復習をした後なのでめちゃくちゃ純粋に素直に見ることができました。

勘違いしていたことも整理できたし、当時の日本はまだ調子に乗る前だったということ、まだまだ純粋な気持ちで夢と希望を持てた時代であったことに気付いたので、2回目は純粋に感動することができました。

を踏まえた上で「女の一生」を観ると、日清戦争直後は、日本も精神的にも平和な時代だったことが分かったし、清国と積極的に貿易していたことも分かったので、「蒼穹の昴」の文秀が日本に亡命したことは決して悪いことではなかったことを「女の一生」からも学べました。

そう、この「女の一生」の面白いところというか、森本氏の脚本の妙は、清国から中国に変わったことで日本にも少なからずとも影響があったということを描いていること。高橋克実さんが象徴となる役ですね。ここの運びは非常に上手かった!清国(中国)エピソードが凄く活かされていた!

時代背景と人物を絡めるだけでなく、登場人物の一人一人の生き様や考え方、意見の相違、深層心理、1900年初頭の日本の社会の世相をしっかり描いていて、そんなに登場しないのに人物描写が大変素晴らしかった!

けいがいかに封建的な女性であったのかが象徴的に描いていたので、ラストシーンのけいの台詞はまるでチェーホフの「三人姉妹」や「ワーニャ伯父さん」みたいな悟りでもあり、哲学的な説得力がある台詞でした。あ、例の先に書いた名台詞ではないです。

世間では、第一幕ラストの先の名台詞だけがピックアップされていますが、これはほんの序章。二幕ラストの台詞にこそ価値深いものがあった。

本当に素晴らしい作品でした!

しのぶさんには、これからは、「女の一生」だけでなく、杉村春子さんが演じてこられた役も観たい。そう!

「ふるあめりかに袖はぬらさじ」のお園役は、間違いなくしのぶさんにピッタリ!

できれば、「欲望という名の電車」のブランチもリベンジで観たい!