アメリカに渡ったからといって豊かな生活ができるとは限らない、彼らの多くは、アメリカ社会の底辺に押し込められ、それが、現在にまで続いている。
資金や技術が無い者の生活は悲惨で、自らの肉体を使って僅かの賃金を得なければならない、そして、自分の子供にいい教育を受けさせ、ワン・ランクのupを図る。
だから、二代か三代、五〇年か六〇年が必要であろうか、それでも成功するとは限らない、そんな物語のひとつがMillion Dollar Baby。
この物語は、アイルランド系アメリカ女性のエピソードで現代のアメリカがよく描かれていると思う、特に、アメリカ社会の底辺で喘ぐ人々の人生が迫ってくる。
どんなにがんばっても這い上がることができない、だが、恨むことなく憎むことなく誇り高く生きようとする。
はち切れるような希望を抱いてリングに上がる、女性ボクサーとしての栄光と成功が、目の前にあった。