ヒロインは栄光の頂点から絶望のどん底に叩き落されてしまった、一生、ベッドの上で過ごさなければならない。
コーチのフランキーはつぶやく、
「ああ、神よ」
「わかってたんだ、おまえをトレーニングするのは間違いだった」
「そんなことを言わないでください」
「あなたと過ごした時間は、父を亡くしてから、唯一、誇らしく思える時間でした、本当ですヨ」
「それに、あたしたち、あの女をほとんど打ち負かす寸前までいったでしょう、ボス」
集中治療室のベッドの上のヒロインは、
「あと少しで、世界初のMillion Dollar Babyになれるところだった、大したことじゃあないですか」
彼女は微笑む、その唇が震えていた、
“Daddy’d been proud.”
「父も誇りに思ってくれたでしょう」
これほど悲惨な状況に落ちても、ケルトの魂を持つ主人公は、誰を恨むことなく、最後の瞬間まで、誇り高く生きようとする。