二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

張込み

2007-10-04 | 邦画
張込み  ☆☆☆
1958.01.15 松竹、白黒、横長サイズ
監督:野村芳太郎、脚本:橋本忍、原作:松本清張
出演:高峰秀子、大木実、宮口精二、田村高広、高千穂ひづる

北九州、佐賀の強い日差しのもと、
くるくる楽しそうに回る日傘。
うきうきとした、
ドキドキとした気分。
平凡な暮らしの中の、
激情の立ち上がり。

夕暮れ前の、夕立の、豪雨の中、
大きな番傘が、はじく雨足。
下駄の鼻緒を切って、
けんけんで、大きな屋敷の前まで行って、
そこでしゃがんで、
何とか鼻緒を直す高峰秀子。
雷雨は容赦なく降りつけて、
その様子をじっと見つめる大木実。
でも、カラッと晴れてしまえば、
元の通りの好天気。
せっかく、大変な思いをして持って来た、
夫のための長靴と洋傘も用が無く、
わびしく、寂しげに、
その長靴と洋傘と一緒に、
夫の後をトボトボと付いて歩いて行く。

佐賀の山々の、自然の中で、
田村高広にきっぱりと自分の思いを伝える高峰秀子。
地味な雰囲気の中にも激情があり、
質素な容姿の中にもあふれる恋心がある。
死んでも離さないという強い気持ち。
こんどこそはと。

舞台は温泉。
茫然とする高峰秀子。
廊下の欄干に伏して泣き崩れる。
何も言うことの無い大木実。
やや後ろ髪を引かれつつ、
帰りのバス代を置いてそこを立ち去る。
再び部屋に戻った高峰秀子は、
壁につるさる質素な小さなシャツを茫然として見つめ、
そして、それから、
ゆっくりと着替えを始める。

平凡な暮らしが幸せなのか?
激流に身を任せるのが幸せなのか?

夏の暑い、汗の吹き出る1週。
張り込みの緊張。
宮口精二、大木実。
2人の刑事のねばりと執念。
まったりとした浦辺粂子。
流れる汗、見開く眼。
白と黒の画面。
汽車の煙。
列車の轟音。
鉄路の無常。
松本清張と野村芳太郎。

本来はサスペンスの映画だけれども、メロドラマでもある。社会性や様々な要素が1つの映画の中にうまく矛盾なく詰まっていて違和感がない。
07.09.15 NFC、05暮れ VTRビデオ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする