二銭銅貨

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魂のジュリエッタ

2007-10-16 | 洋画
魂のジュリエッタ ☆☆
Giulietta Degli Spiriti
1964 イタリア、カラー、横長サイズ
監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ、
脚本:エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネリ
   ブルネロ・ロンディ
出演:ジュリエッタ・マシーナ、サンドラ・ミーロ
   マリオ・ピス、シルヴァ・コシナ

中年の女性の心理を幻想的に、
幻覚的に映像として表現している。
不思議な、おとぎ話のような、SFのような。
はっきりとした色使い。
コンテンポラリな美術。
現代の映画としても全く古さの無い映像。

白い、ボウルを逆さまにしたような真っ白な帽子に、
真っ白なスーツのジュリエッタ・マシーナは、
海岸で休む女性。
まっさらな日差しの中、
眠りに落ちて、
ゆっくりと俯くジュリエッタの顔が、
除々に白い帽子に隠れていく。

中年の女性の心理を、おもに、表情で、
くりくりの眼と、きゅっと結ばれた唇と、
顔の動きで表現していくジュリエッタ・マシーナ。
あまり、大きな動きは無く、
少ない動きの中で、
気持ちの揺れ、大きな揺れ、
恐れ、悲しみ、怒り、欲望を表現していく。

ずっと、家を守り、家事をこなし、夫を愛し、
愛されていると思って、ここまで頑張ってきて、
それで裏切られる。
捨てられたらどうしよう。捨てたらどうなる?
浮気しかえそうか、捕まえてとっちめようか。

自宅に隣接する林の大きな木の緑が画面いっぱいに広がり、
その左隅に小さくジュリエッタの白い衣装が見える。
ジュリエッタの歩調に合わせて右にゆっくりパンすると、
どんどん、どんどん大木の緑が広がっていく。
いきいきとして、みずみずしく、
汚れ無い、嘘の無いイメージ。
ジュリエッタは孤独じゃない。
怖くも無い。
画面には映らないけれども、ジュリエッタは、
くりくりの眼に、
唇をしっかり結んで、
それで、にっこり微笑んでいる。
07.09.30 新文芸座
コメント
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