二銭銅貨

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ファウストの劫罰/MET08-09舞台撮影

2009-09-18 | オペラ
ファウストの劫罰/MET08-09舞台撮影

作曲:ベルリオーズ、演出:ロベール・ルパージュ
指揮:ジェームズ・レヴァイン
出演:スーザン・グラハム、マルチェロ・ジョルダーニ、
   ジョン・レリエ

この演目はもともとオペラではなくオーケストラ用の楽曲だったとのことで、舞台劇には不向きな感じだった。オーケストラや合唱やソロがすばらしく美しいので目をつぶってじっくり聴きたいけれども、それだと舞台が見られなくなってしまうといった感じ。最初のスーザン・グラハムによるマルグリットのアリアは軽快で美しく、白の優しい衣装が良く似合う。最後の天使の合唱は透明な青い空の向こうの天国の世界だ。

美術は最先端でサーカスっぽい。シルクドソレイユと同じ技術で絢爛豪華。けれども人の気持ちの芯が感じられない。最後のフィナーレの白い衣装の人々には清純な天使っぽさが無く、背景には何か青い空が欲しいと感じたのに、そういう感じも無かった。最後のマルグリットがはしごを登って行くところには違和感があった。「マルグリットは鳶じゃないんだから、それは無いでしょ」と思った。

でも、美術のチャレンジには賛成だ。失敗を恐れずチャレンジする姿は見ていて気持ちが良い。仮にそれが気に入らなくても拍手したいと思う。技術自体は凄いと思うものばかりだった。全体にリアルタイムのCG画像を前と後ろから舞台上のスクリーンに映写していたようたが、舞台のセットと映像が良く融け合っていて、作りは非常に高度で精密なものであった。様々なショーの中では特に水中バレーが美しく、音楽に良く合っていた。

ジョン・レリエの悪魔はその衣装も含めてステディでしっかりものという感じ、心地良かった。声も歌も安定していて、すごく頼りになる悪魔だ。ファウストが誘惑されるのも無理はない。

09.09.05 東劇
コメント
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