二銭銅貨

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マノンレスコー/MET07-08舞台撮影

2009-09-22 | オペラ
マノンレスコー/MET07-08舞台撮影

作曲:プッチーニ、演出:エイドリアン・ノーブル
指揮:ジェームズ・レヴァイン
出演:カリタ・マッティラ、マルチェロ・ジョルダーニ、
   ドゥウェイン・クロフト、デイル・トラヴィス

黒に紫、まだら模様に染まる空、闇の中の北米の長い長い、細い砂漠の道は無常だ。殺伐として2人の瀕死の旅人を苦しめる。1人はマノンレスコー。どうにも脱水症状があるらしく熱にあえぎあえぎしながら死にそうだ。もう1人はデ・グリュー。その恋人のことが心配で心配でたまらない。プッチーニの究極の恋とは、その人の死をもって証を立てなければならなのか。マノンレスコーのカリタ・マッティラは息を引き取る寸前まで、全力で人生の理不尽、世のはかなさを歌い続けていた。そしてデ・グリューに過去の過ちの許しを請う。斜めに緩やかに下る坂道が無常だ。殺伐として乾いている。でも、その恋は死よりも強いと、プッチーニの音楽の最後の部分が言っている。

カリタ・マッティラはパワーとエネルギーがすごい。悪女というよりも太陽の感じ。その暑い熱で近寄る男を即座に焼き殺すというか、喰い殺すような強烈な印象。マルチェッロ・ジョルダーニはまじめで献身的で、強力なアリアで愛の強さを良く表現している。

ドゥェイン・クロフトはクールで硬い兄さん役。ちょっとというかだいぶワルだ。デイル・トラヴィスはマノンのパトロン役。キッパリした金持ち爺さん役。2人ともメリハリがあって隙間なくこの物語の背景を良く埋めている。

プッチーニの音楽は甘くて強い。恋愛至上主義だ。愛は何よりも強いと叫んでいた。

09.09.13 東劇
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