カルメン/県民ホール2019
作曲:ビゼー 、指揮:ジャン・レイサム=ケーニック
演出:田尾下哲
美術、衣裳:マドリン・ボイド
演奏:神フィル
出演:カルメン:加藤のぞみ、ドン・ホセ:福井敬
エスカミーリョ:今井俊輔、ミカエラ:髙橋絵理
フラスキータ:清野友香莉、メルセデス:小泉詠子
モラレス:近藤圭、スニガ:斉木健詞
ダンカイロ:大沼徹、レメンダード:大川信之
ミュージカルのキャバレーのような雰囲気。ソリストも合唱団も派手な衣裳で歌って踊る。ダンサーは振り付けのキミホ・ハルバートを含めて7人しかいないので、実はソリストや合唱団がラインダンスみたいな事をやっていたらしい。確かに、普通のダンサーがやるにしては難易度の低い振り付けだったと、後で思った。もちろん踊らない合唱団のグループも混在していた。多数の歌歌いにダンスさせるとは、すごいチャレンジだ。歌手の向きも歌っている最中に変わるので、音の強さが不安定になるけれど、「それがどうしたっ」ていう演出。
衣裳は一部を除いて黒ばかり。椅子の多用や幕間の芝居などは田尾下演出に良く見られる特徴。1幕目では椅子を円形に並べたり、3幕目での荷物運びが椅子運びになったりしていた。ショウビジネスに読み替えているので、アリアや重唱は、そのまんまマイクの前で歌う設定になっていた。ミカエラのアリアはオーディションという設定。
最後は、ファンやメディア取材陣の前を、レッドカーペットの上をカルメン達が歩くという趣向。その後、殺されたカルメンにフラスキータがオスカー像のようなものを持って来たりする。
福井はいつも通りの声ながら、ストーカーっぽい歌と芝居が深刻で良かった。加藤は低音が安定していて声量もある。ハバネラ以外も安定していて良かった。今井は迫力ある堂々とした芝居と声。高橋は声が綺麗で強いソプラノ。清野は高音が綺麗、小泉は安定感。二人の重唱が美しかった。斉木の声量と安定感は注目された。
演奏は荒削りで若々しい感じ。
途中と最後のカルメンの歌詞に、自由(Libre)というのが出てくる。こういう言葉や、あるいはドンジョバンニの最期のNo、また、カヴァラドッシのVittoriaとか、物語の趣旨とは異なるけれど、欧州の自由主義のDNAの根強さを深く感じる。色んなオペラのそれぞれの物語とは別に、欧州人の「自由」への渇望や主張を強く感じる。
19.10.19 神奈川県民ホール
作曲:ビゼー 、指揮:ジャン・レイサム=ケーニック
演出:田尾下哲
美術、衣裳:マドリン・ボイド
演奏:神フィル
出演:カルメン:加藤のぞみ、ドン・ホセ:福井敬
エスカミーリョ:今井俊輔、ミカエラ:髙橋絵理
フラスキータ:清野友香莉、メルセデス:小泉詠子
モラレス:近藤圭、スニガ:斉木健詞
ダンカイロ:大沼徹、レメンダード:大川信之
ミュージカルのキャバレーのような雰囲気。ソリストも合唱団も派手な衣裳で歌って踊る。ダンサーは振り付けのキミホ・ハルバートを含めて7人しかいないので、実はソリストや合唱団がラインダンスみたいな事をやっていたらしい。確かに、普通のダンサーがやるにしては難易度の低い振り付けだったと、後で思った。もちろん踊らない合唱団のグループも混在していた。多数の歌歌いにダンスさせるとは、すごいチャレンジだ。歌手の向きも歌っている最中に変わるので、音の強さが不安定になるけれど、「それがどうしたっ」ていう演出。
衣裳は一部を除いて黒ばかり。椅子の多用や幕間の芝居などは田尾下演出に良く見られる特徴。1幕目では椅子を円形に並べたり、3幕目での荷物運びが椅子運びになったりしていた。ショウビジネスに読み替えているので、アリアや重唱は、そのまんまマイクの前で歌う設定になっていた。ミカエラのアリアはオーディションという設定。
最後は、ファンやメディア取材陣の前を、レッドカーペットの上をカルメン達が歩くという趣向。その後、殺されたカルメンにフラスキータがオスカー像のようなものを持って来たりする。
福井はいつも通りの声ながら、ストーカーっぽい歌と芝居が深刻で良かった。加藤は低音が安定していて声量もある。ハバネラ以外も安定していて良かった。今井は迫力ある堂々とした芝居と声。高橋は声が綺麗で強いソプラノ。清野は高音が綺麗、小泉は安定感。二人の重唱が美しかった。斉木の声量と安定感は注目された。
演奏は荒削りで若々しい感じ。
途中と最後のカルメンの歌詞に、自由(Libre)というのが出てくる。こういう言葉や、あるいはドンジョバンニの最期のNo、また、カヴァラドッシのVittoriaとか、物語の趣旨とは異なるけれど、欧州の自由主義のDNAの根強さを深く感じる。色んなオペラのそれぞれの物語とは別に、欧州人の「自由」への渇望や主張を強く感じる。
19.10.19 神奈川県民ホール