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魔笛/日本オペラ振興会2011

2011-12-10 | オペラ
魔笛/日本オペラ振興会2011

作曲:モーツアルト
演出:横山由和
指揮:星出豊
出演:パミーナ:大音絵莉、タミーノ:藤原海考
   夜の女王:乾ひろこ、ザラストロ:東原貞彦
   パパゲーノ:大石洋史、パパゲーナ:枝松瞳

シンプルな舞台で、中央にストーンヘンジのような石3個でできた門があり、両サイドに傾斜のある長い台が付いている。これらを全幕で使用していた。女王の第2のアリアとそれに続くザラストロのアリアでは台の一方を客席方向に置き換えて桟橋のようにして使っていた。一段と高くなったその先端部分で過激なアリアを歌うのが効果的だった。この女王とザラストロのアリアを並置して、しかも同じポジションで歌わせたので、この2つのアリアの対称性が良く出て面白かった。全体に分かりやすいオーソドックスな演出だった。

衣裳や小物のデザインは日本固有のものを使っていたが、時代はバラバラで平安時代と弥生時代が混ざっているようだった。侍女3人が持つのは3種の神器、笛は篠笛風、鈴は神社で使う鈴が一杯ついた手持ちの道具のようだった。何故か、ザラストロの頭には中国の皇帝の角帽のような帽子が使われていた。歌手が先生風でガウンのような衣裳だったこともあり、名門私学の公式行事に出てくる幹部教授のようでもあった。色の統一感も乏しく、やや支離滅裂な衣裳美術であったが、魔笛の支離滅裂な雰囲気に合わせたのかも知れない。

演奏はゆっくりめ。特に序曲はきわだってゆっくりであるように感じた。全体的に、しっかりと歌手の歌に合わせて演奏されていた。タミーノとパミーナの試練の場でのフルートもしっかりと演奏されて、このオペラのタイトルロールがフルートである事が再認識された。コーラスも人数のわりには迫力があって良かった。

乾は貫禄十分のコシノ・ジュンコ風メイクで、それが特に目を引く特徴的な女王であった。面白すぎる。第2のアリアは迫力十分に歌われ、特に最後はパワフルで良かった。良いツェルビネッタだった。藤原は真面目なタミーノで、良く声も通っていた。大音は美しい柔らかなソプラノで、ジャンニ・スキッキのラウレッタが良く似合うかも知れない。東原は強力で厳格な感じのバス、大石はまじめでいくらか地味な優等生風パパゲーノ、枝松はスーブレット役が似合いそうなハキハキとしたパパゲーナ。パパパの2重奏は、演出は地味で普通だったが、歌はハキハキと元気良く楽しい歌だった。オレンジの衣裳のモノスタトスの長谷川雅敏が歌に芝居にすごく頑張っていたのが印象的だった。

11.11.20 テアトロ・ジーリオー・ショウワ

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