二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

アラベッラ/新国立劇場10-11

2010-10-17 | オペラ
アラベッラ/新国立劇場10-11

別の表記:アラベラ
作曲:R.シュトラウス、演出:フィリップ・アルロー
指揮:ウルフ・シルマー、演奏:東京フィル
出演:アラベッラ:ミヒャエラ・カウネ
   ズデンカ:アグネーテ・ムンク・ラスムッセン 
   マンドリカ:トーマス・ヨハネス・マイヤー
   マッテオ:オリヴァー・リンゲルハーン
   父:妻屋秀和、母:竹本節子

舞台に輝く青の光。濃い青の光が柱や壁の白を妖しく照らす。理性の色。舞台装置のチリひとつ無いクリーンな印象は純白、清廉潔白の色。濃い赤は恋、熱い恋の薔薇の色。すべてはアラベッラとズデンカの色。

緩やかな曲線を主体とした美術はくっきりと純粋で気持ちよく、印象に残る照明とあいまって、シュトラウスの音楽と良いアンサンブルであった。

シュトラウスの音楽を聞いていると、オーケストラ・ピットが臓腑、舞台が精神を表しているように思える。あるいは前者が潜在意識、後者が顕在意識を表しているかのように感じる。歌が登場人物の気持ち、演奏が潜在的な心理模様。オペラ全体が心理描写で、歌と演奏で心を二通りに塗り分けて、そしてそのアンサブルで人間達の心理を描いている。

衣装は森英恵でどちらかというとシブめのクラシカルなしっかりとした感じのものだった。アラベッラの青のドレスは華やか。後ろの腰につけた大きなピンクの花が帯の結び目のようで愛らしい。一方のズデンカは白の質素なナイトウエアで素朴で可憐。美しい。アラベッラの青のドレスに良く映える。

アラベッラのカウネは濃い感じの強いソプラノ、ズデンカのラスムッセンは美しく純潔な印象のソプラノ。最初の二重唱が良い。トーマスはドスのきいたバリトン、リンゲルハーンはおとなしい感じのテノール。

天羽明恵は赤白の縦縞を貴重としたピエロっぽい衣装で、落ち着いた美術・衣装の中での紅一点、メリハリのある衣装で過激。歌も短いながら高音だらけ、芝居も動きまくりで滑稽なもの、やりすぎてはいけないし結構難しい役だったが頑張っていて良かった。

父役の妻屋は滑稽さのいる重要な役。こちらも頑張っていた。ちょっと仁ではない所を、芝居も歌も主役にひけをとらぬようしっかりやっていた。母役の竹本は安定した良いメゾで自信たっぷな感じの歌と芝居だった。この父母役は良かったと思う。

ズデンカちゃんが可愛らしく面白い。楽しいオペラだ。

10.10.08 新国立劇場

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 10地方公演10月/仮名手本... | トップ | ピーア・デ・トロメイ/昭和... »

コメントを投稿

オペラ」カテゴリの最新記事