二銭銅貨

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狂熱の季節

2008-12-13 | 邦画
狂熱の季節 ☆☆
1960.09.03 日活、白黒、横長サイズ
監督:蔵原惟繕、脚本:山田信夫、原作:河野典生
出演:川地民夫、松本典子、長門裕之、千代侑子(チシロユウコ)
   郷治

ギラギラした太陽。
夏の暑い1日。
空にそびえる木も、ビルも、
みんながみんな熱そうだが、
元気良く、
身をよじりながら、
情熱に身をまかせているかのよう。

空中に向かって口をパクパクしている若い男は川地民夫と郷治だ。
出所したばかり、シャバの空気を胸いっぱい吸っている。
夏の暑い空気だ。
街のチンピラだ。

最初から最後までアップテンポなジャズのスイング。
スイングしっぱなし、
リズムにのりっぱなしの川地民夫はただのチンピラっていう
わけではなく、ちょっと違う、
ジャズに魅入られたいわばジャズっ子。

品行方正風の長門裕之、
真面目一直線風の松本典子、
この2人のいわば常識的若者を対照に、
八方やぶれ、やぶれかぶれの自由奔放、
なんでもありのワイルド小僧の川地民夫と、
おなじく開放路線、あけっぴろげな千代侑子。

ジャズのスイングの爆発だ。

川地民夫のよれよれクネクネしたチンピラの芝居は、この1年後に作られた長門裕之の「豚と軍艦」のチンピラの芝居に似たところがある。川地民夫のはシャープで切れが良くパワーを感じるが、長門裕之のはフラフラよれよれとたより無い感じ。それぞれ個性が出ていておもしろい。その長門裕之がこの映画にも出ているところが興味深い。

激しいカメラの動き(手持ちカメラをつかったらしい)、
アップテンポなリズムとカット、
白と黒のタイトな情熱、
破天荒な川地民夫、強烈にハイ、芝居、動き、
個性的な松本典子、長門裕之、やんちゃな千代侑子、
全体をカバーするジャズの熱いスイング、
わけのわからない物語の展開。

ジャズが分かる人じゃないと分かんない映画かも知れない。

08.11.23 NFC

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