二銭銅貨

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皇帝ティートの慈悲/MET12-13舞台撮影

2013-09-14 | オペラ
皇帝ティートの慈悲/MET12-13舞台撮影

作曲:モーツァルト、演出:ジャン=ピエール・ポネル
指揮:ハリー・ビケット
出演:
ティート:ジュゼッペ・フィリアノーティ
セスト:エリーナ・ガランチャ
ヴィッテリア:バルバラ・フリットリ
アンニオ:ケイト・リンジー
セルヴィリア :ルーシー・クロウ

白い豪華な衣装から黒い横に大きく広がった中世風のスカートのドレスに変わり、最後にまた白に戻るフリットリの衣装がヴィッテリアの気持ちの変転を表す。邪悪な悪党のヴィッテリアだけれども、フリットリだと、それがとても誠実な悪党に見えて面白い。誠実と寛容をテーマとしたこのオペラに良く似合っていた。

誠実とはこの世の人間同士のインタラクションを効率良く実現するために必要な仕組みで、経済分野での信用と同じ効果がある。これによって社会活動の流通コストを大幅に下げることができ、梃の原理によって社会の活動力を飛躍的に拡大することができる。

寛容とは、この世の人々が数多くのチャレンジをたくさん繰り返すことが出来るようにするための仕組みである。チャレンジとは数多くの固体が増殖淘汰を繰り返して進化して行く時の、1つ1つの競争のことであるが、この進化には膨大な固体数と膨大な競争が必要となる。高等生物の発生個体数は下等生物に比べてそう多くはないので、膨大なチャレンジ数をどう実現するかが問題となる。寛容とは競争に負けた固体を排除しないで再チャレンジさせる仕組みで、高等生物の個体数を仮想的に増大させる効果がある。高等生物の進化にとって必須の仕組みである。

この2つをテーマにした割と真面目なオペラで、演出も真面目でオーソドックスなものだった。

フィリアノーティはレチタティーボをしっかり歌って印象的だった。まじめで誠実なイタリアっぽいテノールだった。フリットリもまじめで、なおかつ熱心で情熱的だった。ガランチャは美しく強く安定したメゾのズボン役。見た目はスマートでハンサム。リンジーは若さにあふれた情熱的な若者のメゾで強力な歌声だった。クロウは美しく強いソプラノだった。

演奏はメリハリのある強力なもので、弦がそろった時の大気を切り裂くような音に迫力があった。

13.08.18 東劇

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