あぁ、びっくりした。
夜勤明けで、まだいたの?
他に1人しかいない休憩室で、あなたはテレビを見ていた。
「おはようございます。」疲れた声で挨拶されても、私は答えず。
あなたの視界をふさぐように、わざとテレビの前をゆっくり歩いたのに、
あなたは、視線を向けようともしなかった。
食後に食べようと思って、持って来ていた2つのバームロールのうち1つを、
あなたの目の前のテーブルに放り投げた。
斜め後ろから飛んで来た「それ」に気づいたあなたから、
「ありがとうございます。」と、又低く疲れた声がしたけれど、
おそらくあなたは、私の方を見てはいなかった。
私もそれを、背中で聞きながら、
「私じゃございません。」という風に、
知らんぷりで、お弁当を食べる用意をした。
2人とも、目も合わせず、何も話さず。
あなたが、そのお菓子を食べる食べないは、どうでもよかった。
ただ私が、ヨーグルトの件を怒っているのではなく、
本当は、あなたとしゃべりたいのに、「しゃべるまい」としている事が、
伝わればいいと思った。
この乱暴なお菓子の渡し方こそが、
今の私にできる、唯一のコミュニケーションだから。