小さなフェアで、クビの無いマネキンが着ていた。
シャリ感と、ワインレッドが綺麗で、
衝動買いした「かりゆし」。
それまでは、政治家や官庁の、
わざとらしいクールビズとしか思っていなかったし、
和柄にも、興味無かった。
「かりゆし」は、遠目には「アロハ」に見えてしまうが、
私が買ったのは、身頃の片側だけに、
大きな花柄が縦に入っていて、品があり、
着てみると、沖縄産だけに涼しい。
(「かりゆし」の定義とは、沖縄で作られ、沖縄のモチーフをデザインする事らしい。)
あの人は、東北出身なのに、沖縄出身に見える。(笑)
私が最初に声をかけたのも、それをからかう冗談だった。
「かりゆし」を着たあの人が、目に浮かぶ。
似合い過ぎる!
誰もが、沖縄の人だと思って疑わないだろう。
あの人にそれを伝えても、今はもう、笑ってくれるかどうか。
それでも、止めていたメールを送ってしまう。
嫌われても、あの人に女が付く事を気にする。
あの人の幸せを、喜べない。
妄想の中で、あの人に「かりゆし」を着せる。
あの人はいつも、私だけのもの。