「横顔」。
私は、そのバラの写真のタイトルを、そう決めた。
10月末の秋バラは、もう枯れかけていて、
去年行ったローズガーデンより、
人影まばらな海沿いの公園は、
ただ青空だけが、気持ちよかった。
広報紙に書かれていた音楽イベントは、
やっていた気配すらなく、
売れなさそうな屋台が、2、3あるだけで、
つまらないほど、ゆっくりできた。
写真を撮ったバラの名前は、全てメモした。
有名人の名前や、色をそのままオシャレに言ったものや、
「ノックアウト」なんて、キザなのもあった。
私が、一番気に入ったのは、
たった一輪残された「ブラックティー」。
茶系のくすんだ赤は、まさに紅茶のようで、
色気のあるバラである。
撮りにくい位置に、スマホをかざした「それ」は、
まるで、綺麗な人の横顔のように思えた。
後から来た2人連れの女性が、
ブラックティーを見て、「綺麗。」と言っていた。
何という凛とした佇まいだろう。
枯れかけても、なお美しい。
私は、植物に、生き様を教えられた気がした。
私は、バラに負けている…。
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