令和4年7月25日
KDDI障害、補償は?
最大規模、復旧まで86時間
7月上旬に発生したKDDIの通信障害は、全国で最大約3915万回線がつながりにくくなり、完全復旧までに約86時間かかった。
過去最大規模の障害で、影響を受けた利用者に対する補償も最大規模になりそうだ。
障害はなぜ起きた。
定期メンテナンスで設備を交換する際の作業ミスで音声通話ができなくなる不具合が発生、これをきっかけに別の通信機器にもトラブルが連鎖的に起こった。
システムに負担がかかり過ぎないように通信制限をかけたことで、多くの人がサービスを利用しづらい状態になった。
復旧に約86時間もかかった。
通信障害は2日未明に発生し、4日午後に通信制限を解除した。ネットワークが正常に働いていることが確認された5日午後、ようやく完全復旧を宣言した。
影響の範囲は。
最大で約3915万回線というのは、KDDIの契約数全体の約6割に当たる。
110番や119番などの緊急通報ができないケースが相次いだほか、宅配便の配送システムにも支障が出るなど社会の広範囲に影響が及んだ。
大規模障害は過去にも?
最近では昨年にNTTドコモで発生した。完全復旧まで約29時間、延べ1290万人以上に影響した。
KDDIはドコモのトラブル後にシステムの設計を見直すなど対策を打ったが、教訓を十分に生かせなかった。
利用者への補償は。
KDDIは「約款」と呼ばれる契約者と結んだルールに、通信サービスが24時間以上、全く利用できなかった場合などに賠償すると記載している。
補償の対象者は数百万人に上り、さらに約款の賠償対象外の利用者にも返金などの対応を検討している。
過去に補償例はあるか。
ドコモの障害では、完全に利用できない状態が短かったとの理由で補償されなかった。
一方、2013年にKDDIが起こした障害では、一時使えなくなった最大約84万人に1回線当たり735円が返金された。