ツルの日記

38歳からはじめたバレエ。49歳の今年はポワントでバリエーションを踊り動画アップがノルマです

RIZE@シネマライズ

2006年02月02日 | Diary
TVはあまり見ないから本当にこのドキュメンタリー映画のCMを見たのは偶然だった。当然アフロ系ダンスを習っている私としてはやはり目がくぎ付けになった。上映時間を調べるときにこれがドキュメンタリー映画とわかった。ロサンゼルスでも特に治安の悪い地区の話だ。

いちおう中心となるのは元ヤクの売人で、服役後ピエロになってホームパーティーなどの出張サービスをしながら劣悪な生活環境にいる黒人の子供達にダンスを通じてぐれないようにしているトミーという人で、その人のクラウンズというグループで踊りを通じてつながっている子供から若者達だ。もうひとつ、クラウンズから分かれたクランパーズというグループ。ダンスが多少違う。

クラウンズが出張サービスする先の家庭はみんな楽しそうだ。小さい子たちもリズムにのって芸達者ぶりを発揮。ほほえましい。でも主要メンバーの境遇をみていると言葉を失う。働き者で尊敬していた父親が自殺してしまった子。両親とも刑務所で教会が世話している子。15年ヤク中だった母親に代わり5人の弟、妹の世話をし育て、母親がヤクをやってる溜まり場に迎えにいってた子・・・みんな子供が見たり経験するようなことじゃないことを避けられない環境にいた。

街では何も理由がなくても銃で撃たれて死んでしまったり、同じLAでも普通の街にはなじめず、仕事もない。学校にもギャングがいる。ダンスの基礎やバレエを教えてくれる学校もない。

ニュースや映画や本では聞いたことがある話だ。スパイク・リーの映画でも黒人コミュニティーの中の暴力、犯罪、家族、いろいろ出てくるが「勉強しなさい」「働きなさい」というしっかりもののお母さんが登場し、何となくほっとする部分があるんだけど、でもこれはドキュメンタリーだ。救いがない。トミーの家は強盗に入られるし、クラウンのメンバーの13歳の女の子はソーダを買いに行く途中銃殺。棺桶屋も出てくる。

そんな街の若者達がほぼ毎日集まって踊る。ちょっと暴力的なダンスもある。
若者のダンスは彼らに限らず、日本人でもやはりパワーを感じる。私が今からいくら練習しても得られないものだ。

でも映画に出てくる子達のダンスはものすごいエネルギーだ。ムーブメントは本当にアフリカルーツそのもので体躯を中心に腕や脚をその重さを利用して放り投げる感じ。キューバンサルサ、サンバのボディームーブメントに最近流行り(!)のレゲトンの腰の動き、それにヒップホップぽい動きも混ざる。

アフリカのどこかの部族が踊っている映像もあったから、確かに持って生まれたものもあるけど、日常の怒りをぶつけるためのものという子がいたけど、そんなに激しい怒りなのか。でもうまいだけじゃだめだそうだ。すごいけど素直に喜べないダンスだ。

最後のほうでゴスペルの太った大きな女の人がアメージング・グレースを歌ってたけど、思わず泣けそうになった。



コメント
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