ある公立学校に、成績の優劣をつけない先生がいるそうです。曰く「可哀想だから」「差別を助長するから」と頑なに自己の信念を貫き、生徒の家族、校長や教頭の言うことには耳を傾けず、全ての生徒の成績表に「A」をつけて渡しているそうです。
本人は、自分を良心的な教師だと考えているのでしょう。生徒に対して平等で、優しい教師であると自負しているそうです。
酷い話です。学校とは、子供が社会に出るに当たり必要な知識・経験を積ませる場所であるはずです。社会に出れば、子供たちは否応無しに競争社会という現実にぶち当たります。頭がイイだけでは通用しない社会であり、人より一歩先んじるものが勝利の果実を独占する社会でもあります。
残念ながら人の能力は、皆平等ではありません。人は誰しもその人生のなかで、他人より自分が劣る現実にぶち当たり、自分の努力が必ずしも報われない現実に傷つきます。おそらくは、どんな人であっても、大なり小なりそのような経験をしていくものです。
学校での競争は、そのような社会に対応していくための準備でもあるのです。それなのに「競争しなくてもいい」と生優しく育てられた子供たちが、社会に出て競走社会の現実に対応できなくなるのは当然といえるでしょう。
なんて酷い教師でしょう。本人は優しいつもりでしょうが、人より良い成績をとろうする努力を貶め、人より速く走ったり泳いだりする才能を卑しめる残酷な行為でもある事を、果たして認識しているのでしょうか?